月別アーカイブ: 2017年11月

導体材料(絹巻線)と絶縁材料(雲母)について

導体材料としてアルミ、真鍮、鋼の板材や棒材に加え、錫やアルミの箔はよく使われます。

そして何よりよく使うのは、導線としてのエナメル線でしょう。太さは0.2~ 1.6mmくらいまでは入手しやすく、そのうちコイル巻きに使うのは0.3~0.6mmが適当でしょう。

*エナメル(enamel)とは、ニスに顔料などを混合した塗料のことで、銅線にその塗料が薄く被覆してあります。コイルを巻く時には線と線が接するので、そこでの導通を避けるためです。被覆する塗料が透明なものもあり、コイルに使用する時は、銅の色のものでもエナメル線と表示してあるものを購入してください。

またエナメル線でもU.E.W(ウレタンエナメルワイヤー)と呼ばれる、サンドペーパーで被覆を取り去らなくても少々長くハンダゴテを当てていると熱によって被覆が浮いてそのままハンダ付けができるものもあります。色は緑の濃淡、赤、透明(銅そのままの色)などがあります。

導線で、左側が絹巻線、右側がエナメル線です。

もしどこかでD.S.C.(ダブルシルクカヴァード)と呼ばれる1重絹巻き線が人手できると、昔のコイルみたいに作れるばかりか、すべらずにしっかりと巻くことができます。

*絹巻線のいろいろ。絹糸が青や赤、黄色、緑に染められているものと、染めていない状態のものです。

*絹巻線は銅線に被覆の役目をしている絹が巻かれています。

*絹巻線などを使用して作ったコイルのいろいろ。昔のコイルを参考に自作のものに加え、海外から購入したものも含まれます。左上の黄色の絹巻線を使用しているコイルは小林健二設計製作による「クラウンコイル(小林健二命名)」です。

*昔のコイル。真ん中のものは大小のコイルの位置を可変して、同調する役目をするもの。

コイルについて

 

*エナメル線や絹巻線などをコイル枠(画像ではスパイダーコイルの巻枠)に巻くときに、線が絡まないように進めることが大切です。

*こんな装置を木などで自作しておくと、コイル巻きの時に便利です。外形寸法に合わせて横棒の位置を可変できるように棒をさす穴が上下に空いています。

*絶縁材料にもいろいろありますが、気に入って使用しているのが雲母です。

マイカ(雲母mica)一一空気をはじめとして絶縁物はたくさんありますし、技術的に簡単と言うなら紙やセロファンもいいと思いますが、なかでもマイカは工作上美しいし、性能上も他を圧しているようにぼくは思います。

雲母は天然鉱物で鉱物学上これに属するものには本雲母群、脆雲母群等があって、実用に供されるのは本雲母群のものです。このなかには大きくわけて7種類があります。

 

白雲母muscOvite、曹達雲母paragonite、鱗雲母lepid01ite、鉄雲母lepidOmelane、チンワルド雲母zinnawaldite、黒雲母biotite、金雲母phlogOpiteで、日本画などで雲母末のことをきらと言うように、まさにキラキラしていてぼくの好きな鉱石の一つです。

雲母はインド、北アメリカ、カナダ、ブラジル、南米、アフリカ、ロシア、メキシコ等が有名ですが世界各地で産出します。日本ではあまりとれないのでもっぱら輸入にたよっています。白雲母は別名カリ雲母といって無色透明のものですが、黄や緑や赤の色を帯びることがあります。そのうちの赤色のマイカはルビー雲母rubymicaとも呼ばれ、 とても美しいものです。比重は276~4.0くらい、硬度は28~ 3.2です。金雲母は、マグネシア雲母、琥珀雲母amber micaとも呼ばれ、比重は275~ 2.90、硬度は25~27、少々ブラウン色に透きとおり、やはりとでもきれいです。

絶縁材料として使われる雲母

*ルビー色で美しい雲母

雲母を工作に使用する際には、むやみやたらとはがさないで、最初に半分にしてそれぞれをまた半分にするというように順にはがしてゆくと厚さをそろえやすく、好みの大きさに切る時は写真などを切断する小さな押し切りでよく切れます。厚いうちに切断しようとすると失敗することが多いので、使用する厚さになった後でカットするようにした方がよいでしょう。なお工作の際、マイカの表面に汗や油をつけないように気をつけましょう。

*雲母などを切断するときは、このような押し切り裁断機を使用すると綺麗に切れます。

このほか絶縁材料としては、ベークライト、エボナイト等、ガラスエポキシ、ポリカーボネイトなどがあります。

*小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集し、*印の文章や画像は新たに追記しています

KENJI KOBAYASHI

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

さぐり式鉱石検波器の二つのタイプ

鉱石ラジオの検波器として使える鉱物のいろいろ。

鉱石検波器の中で最もたくさん作られたタイプで、いろいろな形状のものが出現しました。

さぐり式の鉱石検波器には大きく分けて二つのカテゴリーがあります。開放式(オープンタイプ)と呼ばれる鉱石自身が表に出ているものと、鉱石の部分がガラスケースなどで覆ったりしてある封管式(クローズドタイプ)です。

 

鉱石検波器の鉱石は、主にハンダなどの台座に固定します。検波器用の鉱物を選んでいるところです。左に見えるサイコロ状の鉱物は「黄鉄鉱」で板の上に乗っているものは「方鉛鉱物」です。真ん中に見えるオレンジの透明な石はジンカイトと呼ばれ、出成不明な鉱物ですが感度良好です。

開放式はたいていの場合、針を動かせる範囲が大きく、また、鉱石の交換や調整が楽で、実験にとても適している反面、ホコリや水滴などで感度が落ちたり、本体やダイヤルを動かしたるする折に何かが触れると針が動いてしまったりすることがあります。

海外では、すでに台座に固定された状態の鉱石検波器用の鉱物が販売されていました。画像は「黄鉄鉱ーPyrite」です。

これらの鉱石検波器は小林健二の自作で、1920年代の型を参考。

さぐり式鉱石検波器の製作

 

封管式のものは安定性に優れていて製品としての受信機に向いていますが、工作が難しいのと調整や鉱石の交換なども面倒なところがあります。

海外で売られていた鉱石検波器で、クローズドタイプです。

海外で販売されていた鉱石検波器で、クローズドタイプ。

封管式鉱石検波器で、日本製。

固定式鉱石検波器の製作

接合型鉱石検波器の製作

*小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

KENJI KOBAYASHI

保存保存