接合型鉱石検波器の製作について

接合型鉱石検波器について

接合型鉱石検波器はぼくが実験した中でもっとも感度のよいものを作ることができました。ただ、工作上は少々難点が多く、たとえば鉱石と鉱石とを接触させ、お互いを破損させることなく安定して状態を維持しつづけるとなると構造のしっかりとしたものを要求されるからです。感度がよいのにもかかわらず、鉱石検波器が単体で市販されていた時代ですら一般的にはあまり普及しなかったのは、このような理由からだと思われます。

昔の鉱石ラジオの接合型検波部分

昔の鉱石ラジオの接合型検波部分

市販されていた接合型鉱石検波器

市販されていた接合型鉱石検波器

接合型鉱石検波器の製作

自作接合型鉱石検波器のホルダーは金属の鋳造で作ってみました。

自作接合型鉱石検波器のホルダーは金属の鋳造で作ってみました。

通常、金属の鋳造は高温を必要とするので一般的ではないのですが、ここでは融点が摂氏75度という低融点の金属を使いました。これは工作材料を売っている店などで大手できます。お湯の中で溶けるわけですから扱いも安全で楽ですが、ただちょっと高価です。

通常、金属の鋳造は高温を必要とするので一般的ではないのですが、ここでは融点が摂氏75度という低融点の金属を使いました。これは工作材料を売っている店などで大手できます。お湯の中で溶けるわけですから扱いも安全で楽ですが、ただちょっと高価です。型はシリコンで作ったほうが精密なものを作れますが、たくさん作るわけではないので、木の板を彫り粗い型として鋳込んだあとにドリルやヤスリで仕上げました。固まると思いのほか硬くて丈夫でした。

ホルダーに固定する鉱石には斑銅鉱を使用して、あらかじめ[さぐり式鉱石検波器の製作について]の木の板の型で作った方法で鉱石をハンダに埋め込んだものを作ります。それを真鍮の丸板にネジ(4mmX15mm)をつけた上にのせ、細いバーナーで軽くあぶってくっつけました。似たようにして、さぐり式では針金の部分に当たるところは紅亜鉛鉱で作ります。

真鍮の丸板にネジ(4mmX15mm)をつけた上に斑銅鉱をハンダの台にセットしたものを乗せている状態

真鍮の丸板にネジ(4mmX15mm)をつけた上に斑銅鉱をハンダの台にセットしたものを乗せている状態

似たようにして、さぐり式では針金の部分に当たるところは紅亜鉛鉱で作ります。細いバーナーで軽くあぶってくっつけている状態。

似たようにして、さぐり式では針金の部分に当たるところは紅亜鉛鉱で作ります。細いバーナーで軽くあぶってくっつけている状態。

接合型鉱石検波器のパーツが揃ったところ

接合型鉱石検波器のパーツが揃ったところ

上のほうのガラス管の切り口が黒いのは、ゴムペーストが塗ってあるためです。ゴムペーストはゴム靴の底を修理するときなどにも使うもので、これを塗ることによって金属とガラスといった硬いものどうしでも安全にキチッと止まります。

使い方は、紅亜鉛鉱のついた棒を少し引いてゆっくりと鉱石どうしを当てて手をはなすと、スプリングの力でその位置に止まります。それを繰り返して感度のよいところを探すわけです。

2つの鉱石のギャップは斑銅鉱の側のネジで調整し、スプリングの強さは2つの鉱石が当たっているときに、その力で欠けたりしない程度の力に調整します。

ここで不思議な鉱石についてお話しします。

英国の1920年代のメーカー製でとても端正に造られています。検波器は接合 型で感度もよいものです。H195xW175× D175(mm)

英国の1920年代のメーカー製でとても端正に造られています。検波器は接合 型で感度もよいものです。H195xW175× D175(mm)

このように立派に見える昔の鉱石ラジオもたいていは中にコイル1つだけということが多く、かえって不思議な感じがすることがあります。

このように立派に見える昔の鉱石ラジオもたいていは中にコイル1つだけということが多く、かえって不思議な感じがすることがあります。

未知の鉱物

昔の鉱石受信機や鉱石検波器用の鉱物を見ていると、方鉛鉱と黄鉄鉱がいちばん多く、紅亜鉛鉱や人エガレナと呼ばれるものもときおり見かけます。しかしどう見ても思い当たる鉱物がないものに出会ったことが2例ほどありました。

ひとつは上の写真の鉱石ラジオの接合型検波器についている鉱物

ひとつは上の写真の鉱石ラジオの接合型検波器についている鉱石

もうひとつはさぐり式検波器用の替え鉱石の中にあったものです

もうひとつはさぐり式検波器用の替え鉱石の中にあったものです

共に人工結晶とは思いにくい天然鉱物の外観を持ちながらも半透明で、電気的にも導通があるのです。いろいろと鉱物関係の知人に相談したりしてみましたが結局分からず、最後にX線分析によって成分検索をしてもらったところ、前者はカドミウムの硫化物、後者は亜鉛の酸化物という結果が出ました。それぞれ1920年代のもので、当時の文献にはどちらも現れていない物質なので興味深く思いました(酸化亜鉛についても当時は天然の紅亜鉛鉱しか使用されていないことになっています)。 とりわけこんなに透過性のある硫化カドミウムの単結晶はおそらく天然ではなく、人工でも現代に至るまであまり報告のないところを見ると、当時から公開理論とは別に開発の現場ではいろいろな試みが行われていたと考えられます。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

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KENJI KOBAYASHI

 

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