未知のマテリアルも古典材料もぼくらを豊かにしてくれる

新地球環境学UFO

未知のマテリアルも古典材料もぼくらを豊かにしてくれる

この地球の重い大気の中でさえ、スイスイと飛んでしまう飛行物体があるとしたら、その推進システムへの興味もさることながら、フィジカルな発熱や材料破壊に耐えるボディを作りあげている物質にも、ただならぬものを感じる。しばしば”その手の本”などを見ると、U.F.O.の墜落現場などには「アルミフォイルのような色や厚みで、とても強靭でハサミなどで切ることができず、折り目をつけてもすぐに戻り、跡は消えてしまう・・・。金属のようであるが、角度によっては全くの無色になり、電気的には低電圧では不導体であるが、特殊なダイオードのようにブレークポイントを越えると、急に超電導に変貌する・・・」というような、確かにどう見ても地球上には存在しえないだろうと思える物質が発見されている。しかし、その話だけで誰も見たことのないかもしれないエイリアン・クラフトが絶対アーシアン・クラフトにならないとは限らない。

なぜなら年々「新素材」と言われるものはどんどん開発され、また生産されているからだ(最もそのような特性の物質ができたとしても、それがその飛行物体にどのように関わっているかが分からなければ何にもならないわけだけど・・・)。

「新素材」その言葉は、新しい素材という意味ではあるが、何よりも天然には本来存在していないという意味もあるだろう。チタンやセラミックなどから言われ始め、形状記憶合金、マイスナーエフェクトの極低温システム、最近では、MA法アモルファス、レアアース(メタル)の酸化したイットリウム、ユーロピウム、セリウムやサマリウム、「イーソレックス」などの形状記憶樹脂、ポリサッカロイド可食性フィルム、やゴム・エストラマー、全く枚挙にいとまがない。これらのものが、本当に地球や人間を豊かにしてくれるものであって欲しいと思いたいが、全てがそうでないにしろ、コストダウンのため、とにかく大量に生産し、できてしまったものをその後さあ何に使おう的な背景がないわけではない。必ずしも必然性や、求めることによる発露からではなく、ただテクノロジーが先行し、経済機構に流されているようにも見える。

それはまるで、歩いても行けるところを、いつの間にか早く走ることだけが目的となってしまったリレーゲームのように息つく暇もなく、ただやみくもに苦しそうに走り続けている様を感じてしまう。このようなことは、アートの世界もけっして例外ではない。それがコンセンサスであるとすれば、大衆意識の反映であるのだから、否定することはできずとも、人それぞれの中にある求めるもの、知りたいもの、作りたいものという方向よりは、もうすでにできてしまった機構やシステム、見せ方や方法、というものに機械的に反応している傾向が少しずつでも増えてきているこの国の現状を、寂しく思う人もいるかもしれない。

古典材料を使うことが、内容まで古典的にする必要がないように、新しい材料に目を向けることが、即座に過去を否定することでもないはずだ。U.F.O.を作っているものも、ぼくらの知らないものばかりではないだろう。

UFOと直接に関係しているわけではないが、絵画材料の古典的なものを並べてみた。 ハイテク材料でも面白いものはたくさんあるが、それらはまたいずれご紹介予定。

左からサンダラック、エレミ、ダンマル、マスチック、トラガカントゴム、アラビアゴム、マニラコーパル、シェラック、マダガスカルコーパル、キリン血、コロフォニー、カナディアンバルサム、ベネチアンバルサム。

絵画材料として使用する樹脂のいろいろ。左からサンダラック、エレミ、ダンマル、マスチック、トラガカントゴム、アラビアゴム、マニラコーパル、シェラック、マダガスカルコーパル、キリン血、コロフォニー、カナディアンバルサム、ベネチアンバルサム。

左からドロマイト、アンチモン、リアルガー、オーピメント、アズライト、クリソコラ、シナバー、マイカ、ラピスラズリ、マラカイト。

鉱物顔料のいろいろ。左からドロマイト、アンチモン、リアルガー、オーピメント、アズライト、クリソコラ、シナバー、マイカ、ラピスラズリ、マラカイト。

小林健二

*1990年のメディア掲載記事より抜粋編集しております。

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