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[手の宇宙]

小林健二さんは、何をしている人なのか一言で説明するのは難しい。絵も描く、家具も作る、本も書く。最近の仕事では「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」を著した。この本を書くにあたって、もちろん鉱石ラジオも作った。

東京・小石川にある工房は、天井の高い広くて白い空間だ。壁面には茶色の試薬瓶が並び、木工機械や大工道具、角材、石などが、どれも使いやすそうに整理されて、出番を待っている。中でも大工道具は、日本のものだけでなく世界各国の古いものから新しいものまで、珍しいものがたくさんある。

1997年頃の小林健二アトリエ

1997年頃の小林健二アトリエ

1997年頃の小林健二アトリエ

1997年頃の小林健二アトリエ

小林健二の道具

イングランドのコンパスプレーン(鉋)。削るものの曲面に合わせて、ネジで反り具合を調節できる。

小林健二の道具

これもイングランドのコンパスプレーン。プレーンは日本語で鉋のこと。桶などを作る時など、曲面に合わせて反りを調節して削る。

海外の珍しい鉋など

海外の珍しい鉋など。

小林さんが道具に興味を持ち始めたのは20年くらい前からだという。

絵を描くのは子供の頃から好きだった。でももっと色々作ってみたい・・・本棚一つでも、作るとなれば鋸とか道具があれば便利だと思った。そうやって必要な道具を買い足していくと、もっと道具のことが知りたくなって、大工道具屋に足を運んだ。鉋といってもいろんな種類があることを知る。世の中にはいろんな工具があって、使い方、考え方、物へのアプローチの仕方、みんな違うことがわかる。

友達になった欧米人に工具のことなんか聞くと、意外にもみんな結構詳しい。自分の家の中のことくらいは自分で直したり、作ったりする習慣が根付いているからだ。

「日本でも昭和40年頃までは、みんなそうでしたよね。いつの間にかその感覚を忘れているような気がする。」と小林さんは言う。

東京田端新町の中古道具店にて、工具を探す小林健二。

東京田端新町の中古道具店にて、工具を探す小林健二。

骨董市などでも道具を専門に出している店がある。そこで中古の道具をみる小林健二。

骨董市などでも道具を専門に出している店がある。そこで中古の道具をみる小林健二。

20年前、小林さんが工具に興味を持ち始めた頃、それはちょうど電動工具が台頭してくる時代だ。通っていた大工道具屋が『どうせ売れないから』と、鉋なんかの手道具を安く出していたこともあったという。

「無くなってしまうものは残しておきたいんです。証を残したいというか、一つの道具が持っている背景を考えただけでも、それがあるのとないのとでは失うものが全然違うでしょう。」

小林さんはこうして集めたものが自分の持ち物という意識はあんまりないという。自分がたまたま出会って、預かっているような気がする。

「生活のことを考えたら、結構高価な道具も買っていたりした。でもなくなっちゃうかと思ったら、何とかしたくなる。」

もちろん実際に使っている。全部というわけではないけれど、用途に合わせて取り出して使う。他にも日常的に使う工具には独自の加工をして使いやすくしてある。そして仕事をしていない時でも、小林さんは常に何かしらの道具を手に持って触っているという。触れなれていると、怪我をしない。道具への接し方を、手が自然に覚えていく。

今、少年工作模型のキット作りとその本の出版を計画中だそうだ。小林さんがやっている様々なことを、何かの分野でくくろうとするのは難しい。けれど願いは一つ「人間の暮らしが、自分なりに手作りできる範囲の中に戻ってきてほしい。」ということだ。

*1997年のメディア掲載記事を抜粋編集し、画像を新たに付加しています。

Kenji-Kobayashi-Tools from Kenji Channel on Vimeo.

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[自作鉱石式受信機の解説]2

前回ご紹介した「[自作鉱石式受信機の解説]1」の続きです。

 

火星人式交信鉱石受信機(固定L型同調)

これは手前に件んでいる古風な火星人の腕の先にワイヤーを触れるように握手させると、メッセージが聴取できるというものです。それぞれの腕は基本的にコイルのタップで、しかも小さなインダクターによってあらかじめ局を固定してあります。

前出の蝶類標本型と同じで、これらの受信機のアンテナはあらかじめ決まったものを使用します。他のアンテナを使うとCやLの定数が合わなくなって放送が聞こえなくなることがあるからです。空飛ぶ円盤の中と台の中にコイルがあり、この2つのコイルを可動させることでヴァリオカップラーのようにある程度調整できると考えました。もっとも工作上の外観を重視したため、あまり効果は上がりませんでしたが・・・・。火星人の頭の中には固定式で作った感度のよい検波器が入っています。もし作ってみようと思う方がいたら、ダイオードを用いたほうがよい結果が出ると思います。

火星人式交信鉱石受信機W150×D150×H120(mm)

火星人式交信鉱石受信機
W150×D150×H120(mm)

火星人の手(足?)にワイヤーを接触(握手?)させているところです。

火星人の手(足?)にワイヤーを接触(握手?)させているところです。

超小型実験室型鉱石受信機

これは、鉱石ラジオを設計したり実験したりするために必要なだいたいの部品や材料が組み込まれた、持ち運びできる小さな実験室といったふうのものです。上部のガラスケースはステンドグラスの技法で作り、全体は木で作ってあります。この本の板は近所の印刷屋さんの前に積んである、紙を運ぶためのパレットと呼ばれるものをわけでもらいました。プレーナーのかかっていないザラザラの本の板が妙に懐かしい感じで好きなので、見かけよりずいぶんと手をかけで作ったものです。

中には3種類の太さの導線、7種類のコイル、5種のゲルマニウムダイオード、3種のヴァリコン、 10種のコンデンサーとインダクター、 7種20個の鉱石、タンタル、ニッタル、タングステンのワイヤー、雲母板、錫およびアルミ箔、鉱石を手入れするためのアルコール、各種ネジ金具、金属素材、ナイフ、 ドライバー、小型のニッパー、回路図を書き込んだ小さなノート、クリスタルイヤフォン、ツマミ、LC周波数割り出し表、鉛筆、消しゴムなどが入っています。

中心にあるメインコイルは引き出し式になっていて、その奥には秘密データが入っています。窓はプレパラート用の薄いガラスで作り、ノブは昔からある自分の机のものを使いました。底の部分にはコイルアンテナが埋め込んであり、ローディングコイルを用いた引き出し式のアンテナも備えであります。

全体の色は自作したテンペラ絵具で、牛乳から作ったガゼインと孔雀石を粉にしたマウンテングリーンでできています。ぼく以外の人にはあまり意味のない工作に思えますが、ぼくのお気に入りの一つです。ひまがあると少しずつ手を入れたり、また取り外したりして楽しんでいます。

超小型実験室型鉱石受信機 W195XD202×H98(mm)

超小型実験室型鉱石受信機
W195XD202×H98(mm)

フロントパネルをはずし中に入っている品々を出したようす。

フロントパネルをはずし中に入っている品々を出したようす。

緑色のコイルのLにある小さな引き出しの中には検波用鉱石が入っています。

緑色のコイルのLにある小さな引き出しの中には検波用鉱石が入っています。

盆栽式鉱石受信機

このような小さな盆栽は小品盆栽と呼ばれ、「石抱き」の形に作ったものを植え替えのとき石をうまくはずし、その部分に比較的水に強い黄鉄鉱などをうまく抱かせれば検波器として作っていけるでしょう。もちろん何年もかけてはじめから根を石にまわしてつくってもいいと思います。この場合、全体が金属質の鉱石というよりは、方解石や水晶などに共生しているようなものにした方がいいでしょう。

作例は香丁木と呼ばれる木ですが、ちょうどうす紫の花が咲き始めています。鉱石は魚眼石と水品に黄鉄鉱が共生しているものを使い、錫で裏打ちしてありますまた作例のように「根上がり」の状態に仕込んでおいて、中の鉱石を随時交換するという方法もあります。コイルはバンク巻きに作ってあり、鉢の下部に作ってあります。なにぶんにも盆栽は生きているので、木を痛めないように心がけています。

盆栽式鉱石受信機 W80×D80×H150(mm)

盆栽式鉱石受信機
W80×D80×H150(mm)

小鳥ラヂオ

15年くらい前、駒込は富士神社の縁日で邯鄲(かんたん)という小さな虫を買いました。コオロギの仲間ですが、淡い若草色の体と半透明なうすい羽をもったちいさくて細い弱々しい生き物でした。美しくリューリューと鳴くその声は今でも忘れられません。しかしその名の響きとは裏腹に飼うことはむずかしく、寿命だったのかぼくが悪かったのかわかりませんが、ひと月もするといけなくなりました。そのとき前年にもぼくがひやかしていたのを覚えていた夜店のおじさんが、古い虫かごをわけてくれてそれがずっと残っていたので、それを使ってこの小鳥ラジオを作ったわけです。

小鳥のくちばしは銀でできていて、水飲み用の錫製のカップには銅藍(コベリン)が入っています。下の方に絹巻き線でコイルが巻いであり、かごを吊るための線が空中線とアースになっています。小鳥の色はうぐいす色より少し明るい邯鄲の色にしてあります。感度はあまりよくありませんが、思い出のこもった受信機です。

小鳥ラヂオ W72×D60×H65(mm)

小鳥ラヂオ
W72×D60×H65(mm)

燐寸箱型鉱石受信器

これは古いマッチの箱を利用して作りました。ミュー同調式でぼくのパジャマのボタンがツマミになっています。中身はふだんは中にイヤフォンが入っています。

カプセルゲルマラデオ

これはグルマニウムダイオードを使い、ケースにカプセルを利用したものです。カプセルの外形は太さ8 mm長さ15 mmで、コイルのかわりにマイクロインダクターとセラミックコンデンサーを使っています。

鉛筆型鉱石受信機

これは1935年のアメリカの製作記事から作ってみたものです。ぼくなりに改良を加え、確かに聞こえるようにコイルのスライド部分を作りました。鉱石には方鉛鉱を使い、針には0.5mmのタングステンを使いました。とでも感度がよく気に入っています。

上から燐寸箱型鉱石受信機W56XD38×H18(mm) カプセルグルマラデオ(カプセルは大さ8 mm長さ10 mm) 鉛筆型鉱石受信機W146×D12×H12(mm)

上から燐寸箱型鉱石受信機W56XD38×H18(mm)
カプセルグルマラデオ(カプセルは大さ8 mm長さ10 mm)
鉛筆型鉱石受信機W146×D12×H12(mm)

コメットゲルマラデオ

これはツマミを動かすと中の彗星が動く小さな受信機です。もしあわただしくゲルマラジオの時代が過ぎ去っていかなければ、ブリキのおもちゃの一つとしてこのようなロボット風のラジオも作られたのではないかと思い、作ってみました。

COMET GERMA Radio W82X D70×H132(mm)(端子、ツマミを合み、アンテナは含まず)

COMET GERMA Radio
W82X D70×H132(mm)(端子、ツマミを合み、アンテナは含まず)

このように鉱石式受信機はいろいろなものを作ることができます。工作は技術と発想の工夫だと思います。どのみち現代においてはあまり実用的でも合理的でもないわけですから、逆に気楽にあそべるのではないでしょうか。

内外の古い鉱石ラジオの製作記事や資料を見ていると、思わず吹き出したり戸惑ったりすることがあります。たとえばネクタイラジオ、メガネラジオ、シルクハットにステッキラジオ、パイプラジオと身につけること力゛できるものなどもその一つです。たいてい紳士が身に付けて紹介されているのですが、どう考えても不格好でもし町でこんな紳士にばったり出会ったりしたら、ほとんどの人は足がすくむことでしょう。

小林健二「ぼくらの鉱石ラジオ」

このほか、クッション、コーヒーカップ、時計、本にノート、椅子や家具、上げて行くときりがありません。しかしそれらは、事物が産業革命以降、合理化の道を進んで行くのに対し、あくまでもキッチュを使いジョークを交えて対抗していたと思われます。そこがおそらく懐古的な意味もふくめてぼくが鉱石ラジオに惹かれる理由の一つかもしれません。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

[自作鉱石式受信機の解説]1

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[自作鉱石式受信機の解説]1

ぼくが昔の製作記事からヒントを得て作ったり、あるいは実験をしながら思いついて作ったりした鉱石式受信機のなかから、少し変わったものをいくつか紹介してみたいと思います。

ポストカード式ラヂオ

これはアメリカの製作記事をヒントに作りました。1945年の記事なのでまだダイオードを使わない、小さな鉱石さぐり式です。しかもインダクタンスをタップで可変するところが、いかにも実用的ではなくておもしろかったので作ってみました。

記事のタイトルに“LETTER” RADIO can be mailedと書いてあり、 しかも大きなヘッドフォンが横に置いであります。製作には自分の好きなポストカードを選んで作ると楽しいでしょう。もちろんゲルマニウムダイオードを検波に使えばもっと感度がよくなる可能性がありますし、もっと薄くも作れるでしょう。オリジナルの記事ではコイルのタップで同調するような仕組みでしたが、どうも調子がよくなかったので、カード紙に錫箔を貼ってセロファンでカバーしたヴァリコンを付け足して楽しんでいます。

実際に誰かに送ってみようと考えたこともありましたが、アンテナや受話器のことを思うと送っても送られてもお互い大変そうなので、未だに手元にある次第です。

ポストカード式ラヂオ160X105(mm)

ポストカード式ラヂオ160X105(mm)

コイルのタップにクリップを付けて同調を取ります。左端に出ている小さな板状のものはコンデンサーです。

コイルのタップにクリップを付けて同調を取ります。左端に出ている小さな板状のものはコンデンサーです。

透明ラヂオ

これは全体的に無色のラジオです。コイルは無色の石英ガラスの筒に銀の導線を使って作りました。ヴァリコンは自雲母の薄片に錫箔を貼り、セルロイドの透明な棒で回転体を作りました。検波器にはピーコックパイライトを使いました。

この鉱物標本は10年ほど前にパキスタンの業者から手に入れたもので、黄鉄鉱の表面がところどころ水色や紫色になっていて、しかも無色の水晶と共生していてとでも美しかったので使ってみたのです。鉱石の台は錫にアンチモンを加えたもので作り、支持体はガラスのカップを使いました。全体は無色の有機ガラスでできていて、有機ガラス板を曲げるのにはあらかじめ型を作る必要があります。また端子やツマミも、導体部分以外は透き通るようにポリエステルなどを使い工夫しました。この受信機を朝早くに聞くと、 とてもわくわくした気持ちになります。

透明ラデオW236×D138×H160(mm)

透明ラヂオW236×D138×H160(mm)

透明ラヂオ内部にあるピーコックパイライトを使用した検波器の部分です。

透明ラヂオ内部にあるピーコックパイライトを使用した検波器の部分です。

ベイブクリスタルセット

これはエマーソン社のベイビー・エマーソンという1球式のラジオの形がとても好きだったので、その形に似せて作ったものです。本来ならラジオの上部には真空管の一部が見えているのですが、その部分に鉱石検波器を取り付けてみました。大きさもエマーソン社のものよりずっと小さく作りました。筐体は木で作り、その上に麻布の日の細かいものを貼り、ニスを塗って仕上げました。パネルは紙にド図を描き、インスタントレタリングなどで文字を入れ、コピーでポジネガ反転してニスを塗って仕上げました。ちょっとみるととでも凝って作ってあるように見えます。

ツマミは市販品を使い、鉱石検波器のケースは試験管を切って作りました。 1つの大きめのヴァリコンと2列にタップを出したソレノイドコイルでできています。

ベイブクリスタルセットW173× D90(ツマミを含む)X H170(mm)

ベイブクリスタルセットW173× D90(ツマミを含む)X H170(mm)

鉱石受信機キット2種

この古めかしい鉱石ラジオは、共に1930~60年代のアメリカのクリスタルセットのキットを復刻するような形で作ってみました。この薄い木の板の上に作られたラジオの検波には剃刀の刃と鉛筆の芯が使用され、その他の部品にも安全ピンやクリップなどを使用していてとでもかわいらしい感じがします。この検波器は思ったより感度がよいので驚きました。

またもう一つの紙筒を利用したソレノイドコイルのものは、ゲルマニウムダイオードを検波に使っていたのですが、ぼくなりに初めて鉱石検波器を取り付けてみたものです。鉱石検波器は真鍮の20mmくらいの棒の中心に16mmの穴をあけて、方鉛鉱をハンダで固定して作りました。その後、人工鉱石を作ってみたところとでも感度がよかったので方鉛鉱と取り替え、最初使っていたニッケルのワイヤーをタングステンのワイヤーと交換して、ゲルマラジオより感度のよい鉱石ラジオ第1号となりました。

昔の米国製のキットの復刻ラジオ。剃刀と鉛筆の芯が検波器になっています。 W148×D98×H40(mm

昔の米国製のキットの復刻ラジオ。剃刀と鉛筆の芯が検波器になっています。
W148×D98×H40(mm

やはり昔のキット風のもので自作の人工鉱石が検波器に使用してあります。 W132×D137×H80(mm)

やはり昔のキット風のもので自作の人工鉱石が検波器に使用してあります。
W132×D137×H80(mm)

鉱石標本式受信機

これは検波のできる鉱石を探しているときに思いついたもので、鉱石による検波の違いを確かめようと作ってみたものです。この一見すると古めかしい鉱石標本箱の中には、検波のできる鉱石や電気すら通さない鉱石がいろいろ入っていて、それらにタンタルの金属針で触れていきます。LやCはすでに箱の中の見えないところにセットされていて、 JOAKとFENが聞けるように調整されています。コイルは昔式の紙を貼り合わせシェラックニスを塗った巻枠に、昔若草色だった風に2重絹巻き線を染めて作りました。鉱石の入っている標本箱の底全体には、見えないように厚さ0.1mmの錫箔がしわを付けて敷いであります。またコンデンサーはトリマーと呼ばれる半固定のものと固定のコンデンサーを使いました。単純な発想の受信機ですが、検波を初めて体験する人たちにはとても不思議に見えるようで好評です。

鉱石標本式受信機W225×D168(端子を含む)×H30(mm)

鉱石標本式受信機
W225×D168(端子を含む)×H30(mm)

針を鉱物に当てて検波できる石を探しています。

針を鉱物に当てて検波できる石を探しています。

蝶類標本型鉱石式受信機

標本の部分は一般的な方法で作づであり、蝶たちは命を失っても美しい姿をとどめています。ここにはぼくの好きな9つの個体が標本になっていて、このうちのいくつか(全での個体に当てはまる数だけの局を分離できなかったので)は、その個体を貫いている虫ピンに導線を触れることでラジオとして聴取することができるようになっています。虫ピンの裏側には固定したコンデンサーを直列にしたり並列にしたりすることで同調点を決定しています。この構造もそして機構も簡単なものですが、虫ピンに触れながらラジオを聴いているとちょっと不思議な心持ちになります。 トーマス・エジソンが晩年に霊界通信機を構想していたと言われていますが、もしそのような通信機がほんとうにあったとしたら、こんなに儚い有機質があしらってあるかもしれません。

蝶類標本型鉱石式受信機 W242×D195×H40(mm)

蝶類標本型鉱石式受信機
W242×D195×H40(mm)

ピンのところにクリップを付けたところ。蝶の名前は“W00D-NYMPH”(本の妖精)、 FENが聞こえています。

ピンのところにクリップを付けたところ。蝶の名前は“W00D-NYMPH”(木の妖精)、 FENが聞こえています。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

[自作鉱石式受信機の解説]2

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[すすめ!永遠の科学少年]

[サイラジオ:透質結晶受信機(PSYRADIOX:ICE CRYSTAL RECEIVER)] 木、合成樹脂、電子部品、他 (透質結晶が青く光りながら回転し、同時にラジオも受信する)

[サイラジオ:透質結晶受信機(PSYRADIOX:ICE CRYSTAL RECEIVER)]
木、合成樹脂、電子部品、他
(透質結晶が青く光りながら回転し、同時にラジオも受信する)

ー実験や工作は自分自身を見つめることでもあるんだ

小林さんはオブジェ的な魅力をもった作品の製作や、『ぼくらの鉱石ラジオ』をはじめとした著作を通して、実験、工作に対するこだわりの姿勢を貫いてきた。

小林健二「僕らの鉱石ラジオ」出版:筑摩書房

小林健二「ぼくらの鉱石ラジオ」出版:筑摩書房

小林健二「ぼくらの鉱石ラジオ」出版:筑摩書房

小林健二「ぼくらの鉱石ラジオ」出版:筑摩書房

「通常、日本語で”実験”といった場合、普通の人には、化学的な薬品の反応をみるといったような意味合いが強いかもしれない。だけどぼくは、”実験する”ということは、何かに向かい合って行こうとする姿勢みたいなものだと思う。つまり、人間が森羅万象を理解して行こうとする時に関わり合う”通路”、または”手続き”と言えばいいのかな。」

ー顕微鏡ひとつで、身の回りも世界が変わる

枯れた草に火をつけるということも、古代人にとっては、生きていく上での重要な”実験(試み)だった。だからみんなもあまり難しく考えないで、身近なところから始めてみてほしい、と小林さん。例えば、忙しい日々のさなか、ぽっかりと自分の時間がとれた時などに、机の上のものを顕微鏡で覗いて見るだけでもいい。

「新品の精密な顕微鏡を買おうものなら、下手な中古車ぐらいはかかるから、学童用の顕微鏡。または虫めがねでも十分。紙が細かい繊維でできていることを頭では知っていても、現実に目の当りにすると、多分驚くと思う。そういう新たな視点、見方から触発されたり、人生観が深まることだってあるからね。」

小林健二の自作プレパラートと顕微鏡

小林健二の自作プレパラートと顕微鏡

ー工作道具をいじっているだけで、心が安らぐ効果がある

「実験や工作に、あえて目標を定める必要はないんだ。ある意味では、自分自身と向き合うことでもあるんだから。例えば、サビた刃物を無心に研ぐだけで、気持ちが次第に楽になっていく。これは実際想像するよりはるかに効果的で、一度ためしてみる価値はあるよ。心が安らげるっていう受動的な立場でありながら、刃が研げるという能動的な結果も出る(笑)。」

小林さんはこうした実験、工作の醍醐味が味わえるようなキットを世に送り出している。中の材料からパッケージまで、オリジナル部品ばかりだ。品切れのものもあるが、今後のラインナップに期待したい。

鉱石ラジオキット[銀河1型] 6,000円(税抜き価格) 仕上がり寸法:H75XW190XD120mm 部品表 ケース/エナメル線/ツマミ(黒ベーク)/スパイダーコイル巻枠/鉱石ターミナル(赤2、黄1、緑1、青1)/ナット7個/ワッシャー(小)9枚/ワッシャー(大)4枚/バリコン/透明リング/ネジ(3×10/1個/バリコン用2個)/ドライバー/銅線 S字/鉱石検波器(本体+針)/説明書/クリスタルイヤフォン/シャフト/ベークカラー/ハンダ/サンドペーパー/ゲルマニウムダイオード キットの組み立てには、ハンダゴテやペンチなどの工具が必要の場合があります。 バリコン以外は鉱石ラジオ発足当時の原形をとどめるとも言えるキットです。黒色紙製スパイダーコイルにさぐり式検波器を装置しています。このさぐり式の鉱石ラジオは、最も象徴的な形式です。 この銀河通信社製鉱石ラジオは東洋に於いては始めて作られたさぐり式の鉱石ラジオキットです。当社では数種のさぐり式鉱石ラジオキットを製作しておりますが、安定性と感度を期待できる組立キットの1つと言えるでしょう。みなさんも、この結晶式受信機によってあなたの透明な通信を受け取ってください。(説明書より抜粋)

鉱石ラジオキット[銀河1型]
6,000円(税抜き価格)
仕上がり寸法:H75XW190XD120mm
部品表
ケース/エナメル線/ツマミ(黒ベーク)/スパイダーコイル巻枠/鉱石ターミナル(赤2、黄1、緑1、青1)/ナット7個/ワッシャー(小)9枚/ワッシャー(大)4枚/バリコン/透明リング/ネジ(3×10/1個/バリコン用2個)/ドライバー/銅線 S字/鉱石検波器(本体+針)/説明書/クリスタルイヤフォン/シャフト/ベークカラー/ハンダ/サンドペーパー/ゲルマニウムダイオード
キットの組み立てには、ハンダゴテやペンチなどの工具が必要の場合があります。
バリコン以外は鉱石ラジオ発足当時の原形をとどめるとも言えるキットです。黒色紙製スパイダーコイルにさぐり式検波器を装置しています。このさぐり式の鉱石ラジオは、最も象徴的な形式です。
「この銀河通信社製鉱石ラジオは東洋に於いては始めて作られたさぐり式の鉱石ラジオキットです。当社では数種のさぐり式鉱石ラジオキットを製作しておりますが、安定性と感度を期待できる組立キットの1つと言えるでしょう。みなさんも、この結晶式受信機によってあなたの透明な通信を受け取ってください。(説明書より抜粋)」

鉱石ラジオキット[銀河2型] 5,000円(税抜き価格) 仕上がり寸法:W11XD16XH9cm 部品表 ソレノイドコイル用紙筒 /エナメル線 /木の板 /バリコンセット(ポリバリコン+ツマミ)/鉱石検波器(本体+針)/クリスタルイヤフォン/鉱石ターミナル(黒2)/ハンダ/サンドペーパー /ゲルマニウムダイオード/画鋲 2個/銅線 S字/説明書/木工接着剤/鉱石ラジオ用ニス 尚、キットの組み立てには、ハンダゴテやペンチなどの工具が必要の場合があります。 バリコン以外は鉱石ラジオ発足当時の原形をとどめるとも言えるキットです。2型は紙筒ソレノイドコイルを使用し、さぐり式検波器を装置しています。このさぐり式の鉱石ラジオは、最も象徴的な形式ですが、今まで我国でキットとして発売されたことはありませんでした。当社でも初期に設計、デザインが仕上がった組立キットの1つです。 鉱石ラジオの構造が分かりやすく配置されており、子供から大人まで手作り感覚が楽しめるキットです。

鉱石ラジオキット[銀河2型]
5,000円(税抜き価格)
仕上がり寸法:W11XD16XH9cm
部品表
ソレノイドコイル用紙筒 /エナメル線 /木の板 /バリコンセット(ポリバリコン+ツマミ)/鉱石検波器(本体+針)/クリスタルイヤフォン/鉱石ターミナル(黒2)/ハンダ/サンドペーパー /ゲルマニウムダイオード/画鋲 2個/銅線 S字/説明書/木工接着剤/鉱石ラジオ用ニス
尚、キットの組み立てには、ハンダゴテやペンチなどの工具が必要の場合があります。
バリコン以外は鉱石ラジオ発足当時の原形をとどめるとも言えるキットです。2型は紙筒ソレノイドコイルを使用し、さぐり式検波器を装置しています。このさぐり式の鉱石ラジオは、最も象徴的な形式ですが、今まで我国でキットとして発売されたことはありませんでした。当社でも初期に設計、デザインが仕上がった組立キットの1つです。 鉱石ラジオの構造が分かりやすく配置されており、子供から大人まで手作り感覚が楽しめるキットです。

 

硝子結晶育成キット 2,500円(税抜き価格) パッケージサイズ:W14XH12XD18cm 約1週間から10日で母岩の上に高さ6cm前後の淡い緑色を帯びた結晶が群晶となって成長します。

硝子結晶育成キット
2,500円(税抜き価格)
パッケージサイズ:W14XH12XD18cm
約1週間から10日で母岩の上に高さ6cm前後の淡い緑色を帯びた結晶が群晶となって成長します。

6/4,11,19の小林健二トークの時に3回にわたって育成した「硝子結晶」

6/4,11,19の小林健二トークの時に3回にわたって育成した「硝子結晶」

「今は情報が溢れすぎているから、感覚が緩慢になっているところがある。エレガントなものや、繊細なものの現象があっても、それに気づかなかったりする。だからこそ、実験や工作をやることで、自分自身を見つめる機会があってもいい。鉋をかけた経験が一つあれば、神社や寺なんかの建築の細工に驚くこともあるかもしれない。そういうことに気づけたり、感動できる受け口は、いくらあってもいいんじゃないかな。」

*2001年のメディア記事を抜粋編集し、画像は新たに付加しております。また、キットのキャプションは銀河通信社サイトから転用しております。

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[原初の真空管をつくる]

原初の真空管をつくる オリジナル直熱3極管(ポリカーボネイト製固定枠に設置)

原初の真空管をつくる
オリジナル直熱3極管(ポリカーボネイト製固定枠に設置)

ー怪物のような真空管

ぼくはギターエフェクターのディストーションやテルミンのような特殊な楽器を組むとき以外、アンプやラジオは大抵トランジスターやICを使用します。それは以前真空管でセットを制作中に高圧に感電した経験があって、どうしても低電圧の回路に気持ちが入ってしまうからです。ですから真空管についてはそれほど多くの知識は持ち合わせていないのです。そんな真空管について素人であるぼくが、なぜこんな形をしたものに興味を抱いているかというと、ぼくにとっての「真空管」というものの魅力の一つは、その音質や性能というよりは、それがまだほぼ電球とそれほど違わなかった時代の、目に見えない熱電子のふるまいを感じさせるようなところにあります。そして当時のまるで原理模型のような、また怪物のような形態も、さらに心の引力に拍車をかけていると思います。

当初、酸素を使う専門のバーナーや真空ポンプ等をいろいろいじってみても、そう簡単にバルブなどは作れるものではありませんでした。そこで以前から特殊な放電球の政策を依頼していた技師の方に半ば無理やりに相談を持ちかけて、具体的な作業を行ってもらったのが今回のものです。

プレートの取り付け方など、1900年ころ米国で発表されたフレミングヴァルブをイメージさせるプリミティブな構造。

プレートの取り付け方など、1900年ころ米国で発表されたフレミングヴァルブをイメージさせるプリミティブな構造。金属円板の プレート、網状のグリッド、スパイラル状のタングステン材フィラメントで構成されている。ゲッター付きの高真空型というところが現代的。

魚焼き網を連想させるグリッド。マルコーニ5625(1927年)の構造を彷彿とさせる。スパイラル状のフィラメントは純タングステン材で、実物は眩しいほどに白熱発光する。

魚焼き網を連想させるグリッド。マルコーニ5625(1927年)の構造を彷彿とさせる。スパイラル状のフィラメントは純タングステン材で、実物は眩しいほどに白熱発光する。

このバルブがスペックが取れないのは、ぼくによるところの結果です。しかしそれはまたいいわけではなく、ぼくにとっては少しも失敗ではないと思っています。なぜかというとこの世に真空管が現れはじめ、「分子の影」や「エジソン効果」もまだ半分は謎の領域にあり、地球上の誰もがその効果や性能、そしてその将来の行く末も明らかでないものと対峙し始めた、そんな時代を追体験してみたかったからに他なりません。原理が発見された後は、理論や生産の合理化と競争になっていくのは人の世のならいであったのでしょう。僕としては、それら競い合う意識が未熟のまだぼんやりとして霞のかかった五月の朝のような、そんな時代を夢みるのが楽しく、便利さや合理性だけでは語れない世界に、どうしても今の時代が失ってしまった何かを感じてしまうのです。

小林健二氏によるオリジナル真空管の構想スケッチ。3極管の他にも2極管も製作中。

小林健二氏によるオリジナル真空管の構想スケッチ。3極管の他にも2極管も製作中。

今回、球形の2極管の写真は間に合いませんでしたが、風船玉やミジンコのようだったり、透明で何か小さな生き物のように何本もの裸線が触手のように出ているバルブを見ていると、何かウットリする気持ちになります。そしてこれらのいみじき者らが、本当に通電によって少しでも作動するということは、電子の世界の不思議さを感じさせてくれるのです。もちろんぼくはこんな気持ちを人に押し付けるつもりは少しもなく、ただ、何かよくわからない世界のことを日々考えていることが、子供の頃から好きでたまらないのです。

小林健二

*1999年のメディア掲載記事を抜粋編集しております。

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単一回路鉱石ラジオの製作(筐体+仕上げ編)

小林健二自作単一回路鉱石ラジオ

自作単一回路鉱石ラジオ。 作例のサイズを参考までに示すと、W140×D178(ツマミを含む)× H90(mm)です。

回路図です。

回路図です。

代表的な鉱石式受信機を紹介してみたいと思います。これまでの記事でこの受信機に使用するソレノイドコイルや鉱石検波器については紹介しているので、今回はケースや調整についてです。

ソレノイドコイルの製作

固定式鉱石検波器の製作

コイルのインダクタンスの調整によって同調をとり、感度を計るものです。作例では実際に1920年代に存在していた受信機のコイル部分を復元し、他の部品は今でも電気店などで購入できるもので代用しながら製作してみようと思います。

ケースの製作

ケースはどのような素材によって作られていてもかまわないので、ここではアクリルの板で作ってみます。

ケースについては、あらかじめできているものを使う場合は、最も目的に近い大きさのものを選ぶということになりますが、自分で作る場合はコイルなどの中に入るものの大きさや配置が決まってから、それに合わせて作れるという利点があります。

今回は黄色いアクリル板の5 mm厚のものを使いました。

まず、組み上がったコイルを見ながら、ケースのサイズを考えます。ケースの形は自分なりに考えるのが楽しいと思います。全体の大きさが決まったら、それぞれの板材のサイズを割り出してカットしてゆきます。

2~ 3 mm厚くらいの場合は、Pカッターなどで、きっかくようにして樹脂板に切れ日を入れ、切れ目にそって割るようにして手で切り離します。5mm厚となると少したいへんなので、あらかじめPカッターで筋目を少し入れておいてから、金ノコを使うとまっすぐに早く切ることができます。

2~ 3 mm厚くらいの場合は、Pカッターなどで、きっかくようにして樹脂板に切れ日を入れ、切れ目にそって割るようにして手で切り離します。5mm厚となると少したいへんなので、あらかじめPカッターで筋目を少し入れておいてから、金ノコを使うとまっすぐに早く切ることができます。切り口がぎぎぎぎになるの でサンドペーパーをかけて仕上げることを考えに入れて、サイズ付けのとき、こころもち大きめにマーキングをしておくとよいでしょう。

サンドペーパーで切り口を仕上げるとき、90度の出ているものにあてながら、平らなところにサンドペーパーを敷いて前後にゆっくり動かして削ると、 きちんと上がります。

サンドペーパーで切り口を仕上げるとき、90度の出ているものにあてながら、平らなところにサンドペーパーを敷いて前後にゆっくり動かして削ると、 きちんと上がります。

箱の板材が切れたら組み立てですが、その際90度が出るように小型のスコヤで計りましょう。

箱の板材が切れたら組み立てですが、その際90度が出るように小型のスコヤで計りましょう。

接着にはアクリル用接着剤として市販されている四塩化エチレンを使います。

この接着剤はアルコールのようにサラサラした揮発性の高い透明な液体で、アクリル材のすき間に流し込むようにして使用します。

この接着剤はアルコールのようにサラサラした揮発性の高い透明な液体で、アクリル材のすき間に流し込むようにして使用します。

 

あらかじめセロテープで軽く仮止めをしてずれないようにしてから作業するとずれなくて安心です。

あらかじめセロテープで軽く仮止めをしてずれないようにしてから作業するとずれなくて安心です。

そのまましばらく置いておけば完了です。このとき仮止めしたテープを伝ってよけいな場所に液が流れてしまわないように注意しましょう。

一面一面ていねいに仮組みをしたあとで組んでゆけば、しっかりとした箱になります。

ケースが組み上がりました。

ケースが組み上がりました。

作例ではこのままだと角が尖って手ざわりがよくないので、サンドペーパーで面をとって丸めておきました。

作例ではこのままだと角が尖って手ざわりがよくないので、サンドペーパーで面をとって丸めておきました。

全体の組み立て

組み上がったケースと内部のコイル、そして検波器を組み立て、配線をします(配線図を参照して下さい)。

ケース全体がつや消しになっているのは、はみ出した接着剤をサンドペーパーで取るときに、ついでに400番のペーパーを全体にかけてつやを落ちつかせたためです。ピカピカに仕上げたいときには、このあと800番、1200番くらいの耐水サンドペーパーを水につけながら全体にかけ、プラスチックポリッシュや金属用のつや出し剤をやわらかな布につけて磨きます。

向かっていちばん右のターミナルは紫色ですが、これは市販の白いものを樹脂染料で染めてみたものです。

向かっていちばん右のターミナルは紫色ですが、これは市販の白いものを樹脂染料で染めてみたものです。

配線図です。

配線図です。

調整と聞き方

組み立てが終了したら、念のため接続に誤りがないかハンダ付けはうまくできているかもう一度確かめます。アンテナ、アース、ヘッドフォンなどをそれぞれのターミナルに接続します。配線がうまくいっていれば、ヘッドフォンをかけた段階で小さくても何かしら放送が聞こえるはずです。

作例で用いたロータリースイッチは1回路12接点のタイプで、カチカチと同してゆくといくらでも回って、とくに止まるところがありません。ですからツマミをつけるときに、いちばん巻き数の少ないタップのところがきている位置にツマミを12時方向(じるしが真上にくる)にしたりして、自分でわかるように取り付けておくとよいでしょう。

調整はまずコイルのヘッドフォンヘとつながるタップのスイッチを、巻き数がいちばん小さなところへ合わせておきます。そして空中線のターミナルにつながるタップのツマミをひとつずつ静かに回して、いちばん大きく聞こえるところに合わせます。そしていちばん大きく聞こえるポイントを見つけたら、今度はアースのターミナルにつながるタップのツマミを回して、さらにいちばんよく聞こえるところを探し、その次に初めにいちばん巻き数を小さくしておいたツマミを動かし、次いでまたもう一巡、全体の作業を繰り返します。

もし全然音が聞こえないようなら、固定式鉱石検波器と金具の接点がしっかりとついているか調べてください。

固定式鉱石検波器がついているフロントパネル。

固定式鉱石検波器がついているフロントパネル。

音が聞こえても小さい場合や、フォックストンの接点もしっかりしているのに聞こえないときは、フォックストンを取り去り、そこにダイオードを入れてみてください(できたら仮にハンダ付けをして)。もしそれで聞こえるようなら、フォクストンの調子が悪いのです。

上記のことをすべてしても音が聞こえなかったりしたら、ハンダ付けか配線の不良がどこかにあると思います。あきらめないでもう一度チェックしてみてください。

なお、この回路ではそれほど多くの局は入らなくて、きっと1つか2つくらいが受信できると思います。 しかし、思いのほか分離がよいと思います。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

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直接結合回路鉱石受信機の製作(筐体+仕上げ編)

以前自作パーツ(クラウンコイル+探り式鉱石検波器+ヴァリコン)でご紹介した記事の筐体(ケース)を作ります。

クラウンコイルの製作

さぐり式鉱石検波器の製作

ヴァリコンの製作

ここではアンティークラジオのような形のものを木工によって作ってみました。まずケースの本体の木取りから始めます。

自作[直接結合回路鉱石受信機] 寸法はW155× D135× H200(mm)です(検波器端子は含まない)。

自作[直接結合回路鉱石受信機]
寸法はW155× D135× H200(mm)です(検波器端子は含まない)。

ケース前面、背面、底面、そして前面と背面をつなぐ木の棒です。板材は12mm厚のラワンベニヤで作り、断面が五角形のような棒は4cm×4cmの角材から作りました。

ケース前面、背面、底面、そして前面と背面をつなぐ木の棒です。板材は12mm厚のラワンベニヤで作り、断面が五角形のような棒は4cm×4cmの角材から作りました。

これらをボンドで接着します。頭の角材には工作途中でかなりの力をかけるので、くぎも打っておきます。

右に見えるのは、次の工程で側に曲げながら貼りつけるベニヤの板です。これは幅を本体の枠に合わせ、長さを多めにしてあります。 十分に水につけたあと、ラップにくるみ電子レンジで温めておくと曲げやすくなりま す。この作例が小さいため曲率が高いので大事をとったのですが、もっと大きなものなら水で湿す必要もないでしょう。

右に見えるのは、次の工程で側に曲げながら貼りつけるベニヤの板です。これは幅を本体の枠に合わせ、長さを多めにしてあります。十分に水につけたあと、ラップにくるみ電子レンジで温めておくと曲げやすくなります。この作例が小さいため曲率が高いので大事をとったのですが、もっと大きなものなら水で湿す必要もないでしょう。

作例は3mmのブナのベニヤを使いましたが、27mmのラワンベニヤか3mmのシナベニヤあたりが人手しやすいと思います。

本体の片側にボンドを塗って、下部の端をしっかりと合わせ、くぎで軽く仮止めします。そして徐々に上のほうへ向かって押しつけるようにして側板を密着させてゆきます。途中どうしてもすき間があいてしまうなら、そのつどくぎで仮止めをします。仮止めとは、細いくぎを半分くらい打ち込んでおき、ボンドが固まったあとでプライヤーやペンチで抜き取ってしまうやり方です。

写真13ではクリップやクランプで止めてありますが、実際はもっと簡単に、太い輪ゴムやひもでも固定できるでしょう。 このようにして片側を貼りおえたら、完全に乾くのを見計らい、上部に余っている ベニヤを切り取って、はみ出したボンドをきれいに削り取ります。そのあともう片側へ同じことを繰り返します。写真13の左のほうにもう片側に使うベニヤが筒に巻かれ、巻きぐせがつくようにしてあるのが見えます。

写真ではクリップやクランプで止めてありますが、実際はもっと簡単に、太い輪ゴムやひもでも固定できるでしょう。
このようにして片側を貼りおえたら、完全に乾くのを見計らい、上部に余っているベニヤを切り取って、はみ出したボンドをきれいに削り取ります。そのあともう片側へ同じことを繰り返します。写真左のほうにもう片側に使うベニヤが筒に巻かれ、巻きぐせがつくようにしてあるのが見えます。

写真14は両側の板を貼り乾かし、そしてサンドペーパーで仕上げた本体です。右側には本体からトレースしてベニヤを切り取って作りはじめたパネルが見えます。また本体の下のところの出っ張りは、あとでつけるパネルの厚み分の本片が接着されています。パネルがついたとき、同じ高さにするためです。パネルは3mmのベニヤを2枚貼り合わせるので、木片は6mmの厚みにしてあります。

写真は両側の板を貼り乾かし、そしてサンドペーパーで仕上げた本体です。右側には本体からトレースしてベニヤを切り取って作りはじめたパネルが見えます。また本体の下のところの出っ張りは、あとでつけるパネルの厚み分の本片が接着されています。パネルがついたとき、同じ高さにするためです。パネルは3mmのベニヤを2枚貼り合わせるので、木片は6mmの厚みにしてあります。

正面のパネルを作ります(写真15)。パネルのレイアウトをよく確かめて補強と装飾を兼ねてパネルの縁を二重にします。まずパネルと同寸の板をもう一枚切って、縁から一定の幅(作例では12mm)にケヒキなどでしるしをつけて、弓ノコなどで切り抜きます(写真16)。

正面のパネルを作ります。パネルのレイアウトをよく確かめて補強と装飾を兼ねてパネルの縁を二重にします。まずパネルと同寸の板をもう一枚切って、縁から一定の幅(作例では12mm)にケヒキなどでしるしをつけます。

小林健二の技法

ケヒキで印をつけたところを弓ノコなどで切り抜き、パネルには所定の位置に穴をあけます。

彫刻刀の丸刀などで面を取り、貼りつけます。

彫刻刀の丸刀などで面を取り、貼りつけます。

写真18のようにいろいろな断面をすでに削りだして棒状に形成した製品も面縁として売られています。

写真のようにいろいろな断面をすでに削りだして棒状に形成した製品も面縁として売られています。

写真19のようないろいろな面取り飽もまだ大工道具を売っているお店の隅に残っていることもあり、 1つ2つあるとなにかと楽しく工作ができるでしょう。

写真のようないろいろな面取り飽もまだ大工道具を売っているお店の隅に残っていることもあり、 1つ2つあるとなにかと楽しく工作ができるでしょう。

写真20は仕上げ前の本体とパネルです。本体下部の額縁のように面を取った部分は、工作材を彫刻刀で彫ったあと貼りつけたものです。本体にあいた穴の形がちがうのは、 パーツを仮に組んでみたらコイルが人らないので、設計変更をしたためです。

写真20は仕上げ前の本体とパネルです。本体下部の額縁のように面を取った部分は、工作材を彫刻刀で彫ったあと貼りつけたものです。本体にあいた穴の形がちがうのは、パーツを仮に組んでみたらコイルが人らないので、設計変更をしたためです。

写真52は全体のパーツが仕上がったところです。ヴァリコンはパネルにヴァーニャダイヤルであらかじめ取り付けておきます。ディテクターもついてます。背面パネルにはヘッドフォン用のターミナル2個とアンテナ用とアース用にそれぞれひとつずつのターミナルがつけであります。

写真は全体のパーツが仕上がったところです。ヴァリコンはパネルにヴァーニャダイヤルであらかじめ取り付けておきます。ディテクターもついてます。背面パネルにはヘッドフォン用のターミナル2個とアンテナ用とアース用にそれぞれひとつずつのターミナルがつけであります。

回路図と実体配線図を載せておきますので、参考に組み込んでください。

[直接結合回路鉱石受信機]回路図

[直接結合回路鉱石受信機]回路図

[直接結合回路鉱石受信機]実体配線図

[直接結合回路鉱石受信機]実体配線図

調整と聞き方

組み上がったあとの調整は、内部配線の接続を確かめ、アース線やアンテナ、ヘッドフォンの接続を確かめたあと、さぐり式の鉱石検波器の針を鉱石からはずしておいて、そこにダイオードを足を曲げて仮に取り付けておきます。コイルからヘッドフォンにつながるロータリースイッチをいちばん右(巻き数をいちばん小)にして、アースにつながるロータリースイッチは左から3番目くらいにして、ヴァリコンを動かしていちばん音が大きなところに合わせます。そしてそれぞれのロータリースイッチを動かしさらに分離がよく聞こえやすいところを探し、ふたたびヴァリコンを動かします。これを繰り返し、最もいいところを見つけたら、ダイオードを取り去り、さぐり用の針を鉱石にあてながら放送が最もよく聞こえるポイントを見つけます。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

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クラウンコイルの製作について

クラウンコイルの製作

このコイルはぼくが設計したもので、形が王冠のようなのでクラウンコイルと名づけました。Q(効果が高い時など「Q(キュー)がいい」といいます)もとてもよいので、ぜひ試してみてください。

作例のコイルのリングはたまたまホビー材料屋で見つけたもので、サイズは外径9cm、内径6.5cm、厚さ12mmでした。適当なものが入手できないときは、糸ノコで切るか、写真のように自在キリという道具で裏と表から木の板にかけて作ることもできます。

ボール盤に自在キリを取り付けて円形に木をカットしている様子。

ボール盤に自在キリを取り付けて円形に木をカットしている様子。

ニスを塗った木の輪に、 7mmくらいの深さの切り込みを19本入れます。切り込みの深さを一定にするためには、金ノコの背にあたる部分の両側にプラスチック片などを瞬間接着剤でとめて、ストッパーとしておくと仕事がやりやすいでしょう。

ニスを塗った木の輪に、 7mmくらいの深さの切り込みを19本入れます。切り込みの深さを一定にするためには、金ノコの背にあたる部分の両側にプラスチック片などを瞬間接着剤でとめて、ストッパーとしておくと仕事がやりやすいでしょう。

厚さ1mmのプラスチック板(作例では布入ベーク)を35mm×12mmの大きさに切ったものを19枚作って、 リングの切り込みに垂直に差し込んでゆきます。金ノコの 切り込みの幅が1mm弱なので、強く押し入れるとちょうどとまるはずですが、もし きつすぎるなら、同じプラスチック板の余りなどを差し込んで4、5回こするとサイズがよくなります。

厚さ1mmのプラスチック板(作例では布入ベーク)を35mm×12mmの大きさに切ったものを19枚作って、 リングの切り込みに垂直に差し込んでゆきます。金ノコの切り込みの幅が1mm弱なので、強く押し入れるとちょうどとまるはずですが、もしきつすぎるなら、同じプラスチック板の余りなどを差し込んで4、5回こするとサイズがよくなります。

それぞれの羽がしっかりとリングに埋め込まれたら、垂直に入っていることを確かめて、瞬間接着剤で固定します。

それぞれの羽がしっかりとリングに埋め込まれたら、垂直に入っていることを確かめて、瞬間接着剤で固定します。そして導線の巻き初めをビスなどで固定して、スパイダーコイルと同じように羽2つずつジグザグに編むようにして巻いてゆきます。

スパイダーコイルの製作

そして巻き初めの反対側のほうに、2列タップを出す位置を決めます。そして向かって左側に巻き初めから1周して最初にその位置がきたときから12回ごとにマジックなどでしるしをつけ、それを6回おこないます。

右側のほうは、前回ご紹介したソレノイドコイルのときのように、最初が18回目で、以降12回ずつ巻いて5回しるしをつけます。そして補強も兼ねてさらに12回ほど巻いて、巻き終わりの端を巻き初めのとなりあたりにネジで固定して巻き上がりとします。

ソレノイドコイルの製作

巻き上がったコイルのタップを出すために、羽と羽のあいだのしるしをつけた場所 に、マイカの1cm幅に切った小板を差し入れます。 ドライバーのマイナスなどであらかじめじるしのついたところの縁を持ち上げておくとょいでしょう。

巻き上がったコイルのタップを出すために、羽と羽のあいだのしるしをつけた場所に、マイカの1cm幅に切った小板を差し入れます。 ドライバーのマイナスなどであらかじめじるしのついたところの縁を持ち上げておくとょいでしょう。

コイルを本体に取り付けるための金具を作ります。幅1cm、厚さ1mmくらいの真鍮板を曲げて、コイルの木枠にネジで3カ所に取り付け、金具のそれぞれの端は90度に曲げ、径3mmのタップを立てておきます。

コイルを本体に取り付けるための金具を作ります。幅1cm、厚さ1mmくらいの真鍮板を曲げて、コイルの木枠にネジで3カ所に取り付け、金具のそれぞれの端は90度に曲げ、径3mmのタップを立てておきます。

「コイルのタップ」と同じタップという言葉なのでわかりにくいかもしれませんが、「タップを立てる」というのはタッピングツールで雌ネジを作ることを言います。

*方法は下記に紹介しておりますので、参考にしてみてください。

マイカ板の上のタップの部分に前ハンダをしておきます。

マイカ板の上のタップの部分に前ハンダをしておきます。

1回路6接点のロータリースイッチにヨリ線とエンパイヤーチューブで配線をするのですが、作例の場合はケースが小さく、手やハンダごての入るスペースがないために、ダミーケースを作ってあらかじめ配線を仕上げておきました。

1回路6接点のロータリースイッチにヨリ線とエンパイヤーチューブで配線をするのですが、作例の場合はケースが小さく、手やハンダごての入るスペースがないために、ダミーケースを作ってあらかじめ配線を仕上げておきました。

ダミーケースとはこの場合、コイルのタップからの引き出し線をいちばんいい長さでロータリースイッチに配線するために、余った板などでそのコイルとスインチの距離をシュミレートしたものを作っておいて、それに部品を仮に取り付け配線を先に済ませてしまうことで作業を楽にしようとするものです。

このようにしてあらかじめスイッチまでの配線が終了したコイルです。

このようにしてあらかじめスイッチまでの配線が終了したコイルです。

タップで雌ねじを作る

タップによって雌ねじを作ることができれば、金属と金属、あるいはいろいろな材料を接合するのにとても便利です。アルミとアルミのようにハンダ付けが難しい素材や、プラスチック、木でもある程度硬度があれば、たいていの場合ビスやボルトで接合ができます。タップで作業することを「タップを立てる」と言います。またこのようにしておくと、接着剤による接合と違って再び取り外しがきくので、工作の幅を広げることができます。

写真1は手前に並んでいるのがタップのカッターで、左から1、14、17、2、2 3、2 6、3、4、5、6、8、10、16 mmです。後ろにあるのがタップのホルダーあるいはハンドルと呼ばれるもので、タップの大きさに見合ったものを使います。通常よく使うサイズは2.6~6 mmまでの間で、とりわけ3mmはよく使います。

写真は手前に並んでいるのがタップのカッターで、左から1、14、17、2、2 3、2 6、3、4、5、6、8、10、16 mmです。後ろにあるのがタップのホルダーあるいはハンドルと呼ばれるもので、タップの大きさに見合ったものを使います。通常よく使うサイズは2.6~6 mmまでの間で、とりわけ3mmはよく使います。

作業はまず雌ねじを作りたい場所にそのねじの直径に0.8をかけた大きさの下穴をドリルであけます。たとえば3mmのタップの場合、あらかじめ3X0.8=2.4mm(あるいは2.5mm)の大きさの下穴をポンチ等でマーキングしてあけます。それからタップをできるだけ垂直になるようにして、ゆっくりと時計画りに回していきます。

タップの作業。

タップの作業。

金属や固い材の場合、3回まわしたら2回戻すというようにして少しずつあけていき、ひっかかるようなら油をさしながら作業します。3mm以下のタップは折れやすく、もし折れてしまうと厄介なので注意が必要です。細いねじの場合は、材のほうを回すほうがタップが折れにくい場合もあります。

写真はタップを横から見たものです。ねじを切り終わったら逆さに回してタップをはずし、切りくずを取って終了です。

写真はタップを横から見たものです。ねじを切り終わったら逆さに回してタップをはずし、切りくずを取って終了です。

ダイスで雄ねじを作る

ダイスで雄ねじを作ることはタップを使う頻度より少ないかもしれませんが、前回紹介したヴァリオカップラーの工作のようにダイスを使えると便利な時があります。もちろんダイスにも小さいものから大きいものまでサイズがいろいろあります。

ヴァリオカップラーの製作

ダイスの使い方は、もし真鍮で3mmのねじを作る場合なら、その3mm径の棒を万力などでくわえて固定し、棒にそってダイスを回します。

ダイスの使い方は、もし真鍮で3mmのねじを作る場合なら、その3mm径の棒を万力などでくわえて固定し、棒にそってダイスを回します。

所定の位置まで来たら反対に回してダイスをはずします。このようにダイスで作業することを「ダイスを通す」言います。

ダイスで長いねじを作るのは少々むずかしいのですが、ピッチをそろえてきれいに作りたい時はボール盤に棒をくわえて手でダイスを持って作業するとうまくいきます。

ぼくは所定の位置までダイスがとおったら、ぱっと両手を同時にはなしてボール盤のスイッチを切るという感じで作業をしているので、人が見たらとてもあぶなく見えると思います。

所定の位置は加工する品物にあらかじめマジックで印を付けておくと品物が回転してもわかります。

所定の位置は加工する品物にあらかじめマジックで印を付けておくと品物が回転してもわかります。

またダイスを通すほどでもない場合や、とても長いねじが必要な時は全ねじ棒といって全体がすでにねじになっているものがあります。

通常金属材料店で手に入るのは、径が2、2.6、3、4、5、6、8、10、12 mmですが、これでたいてい間に合うと思います。

通常金属材料店で手に入るのは、径が2、2.6、3、4、5、6、8、10、12 mmですが、これでたいてい間に合うと思います。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

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固定式鉱石検波器の製作について

固定式鉱石検波器は鉱石ラジオが最盛期を迎えた時代にもっとも普及しました。

上左から国産のフォクストン(古河電気工業)と呼ばれたものです。その右が米国ERLA製、その下の大きめのものはカーボランダムディテクターと呼ばれ、本来は0.lVくらいのバイアスをかけて使用します。3段目左は自作品、右は現在入手できるレプリカ品、4段日はともに自作品です。 自分なりにラベルを工夫したりすると楽しいと思います。

上左から国産のフォクストン(古河電気工業)と呼ばれたものです。その右が米国ERLA製、その下の大きめのものはカーボランダムディテクターと呼ばれ、本来は0.lVくらいのバイアスをかけて使用します。3段目左は自作品、右は現在入手できるレプリカ品、4段目はともに自作品です。
自分なりにラベルを工夫したりすると楽しいと思います。

ERLA製の固定検波器と自作の検波器を分解したもの。ERLA製のものは黄鉄鉱と燐青銅の0.6mmくらいの針の先をとがらせたもので作ってあり、自作のものは0.5mmタングステンで作ったスプリングと硫砒鉄鉱を使って作りました。このような構造だとねじを回し封じながら接点を取るので感度のいい場所でなかなかうまく止まってくれず大変ですが、いったん感度のいい点で止まると、タングステンのバネの利きがよくて少し落としたくらいでは位置がずれたりしません。

ERLA製の固定検波器と自作の検波器を分解したもの。ERLA製のものは黄鉄鉱と燐青銅の0.6mmくらいの針の先をとがらせたもので作ってあり、自作のものは0.5mmタングステンで作ったスプリングと硫砒鉄鉱を使って作りました。このような構造だとねじを回し封じながら接点を取るので感度のいい場所でなかなかうまく止まってくれず大変ですが、いったん感度のいい点で止まると、タングステンのバネの利きがよくて少し落としたくらいでは位置がずれたりしません。

昔のパッケージ入りの固定検波器など。

昔のパッケージ入りの固定検波器など。

フォックストン型鉱石検波器を作る前に、手慣らしとしてダイオードを使用したタイプを作ってみます。

ダイオードによる固定式検波器の製作

材料:プラスチックパイプ1本(太さ10mm長さ3-4cm)・ホック(スナップボタン)用オス金具2個・ゲルマニュームダイオード1本・金具用真鍮板1.5mm厚3cmくらい1枚と1mm厚8mmX7cmくらい1枚

 

まず、ホックのオスの裏側のへこんだところにハンダを溶かしながら埋め込んでおきます。このとき木の台などに穴をあけて、出っ張ったところを入れて安定して作業できるようにするとよいでしょう。

まず、ホックのオスの裏側のへこんだところにハンダを溶かしながら埋め込んでおきます。このとき木の台などに穴をあけて、出っ張ったところを入れて安定して作業できるようにするとよいでしょう。

このホックにダイオードの線が通る08~1mmくらいの穴を、ハンドドリルなどを使って貫通させておきます。

このホックにダイオードの線が通る0.8~1mmくらいの穴を、ハンドドリルなどを使って貫通させておきます。

アクリルなどのパイプ(作例では見やすいように透明)で、太さ10mm、長さ35mmくらいのものを用意します。中にダイオードを入れ両端から先ほどのホックをダイオードに通してホックとパイプとを瞬間接着剤でとめておきます。

アクリルなどのパイプ(作例では見やすいように透明)で、太さ10mm、長さ35mmくらいのものを用意します。中にダイオードを入れ両端から先ほどのホックをダイオードに通してホックとパイプとを瞬間接着剤でとめておきます。

ダイオードが真ん中にくるように調節して、両端のホックとダイオードとの線とをハンダ付けして余分な線は切ってしまいます。これでフォックストン型の検波器がで きます。

ダイオードが真ん中にくるように調節して、両端のホックとダイオードとの線とをハンダ付けして余分な線は切ってしまいます。これでフォックストン型の検波器がで
きます。

次にこのフォックストンをパネルにつける金具を作ってみましょう。

ここでは止める板はガラスエポキシ製の物を使用してますが、素材は自分の好みで決めてください。

ここでは止める板はガラスエポキシ製の物を使用してますが、素材は自分の好みで決めてください。

見るからに簡単な金具なのですが、今はもちろん市販されていません。この金具はバネのように弾力をもたせ、フォクストンの着脱をするために0.5mmの薄い真鍮板で作ります。そしてホックの出っ張りを入れて固定するため4mmの穴をあけるのですが、工作にはこんな簡単そうなところに思わぬ危険が隠れています。

ここに5mm厚と0.5mm厚の金属板があったとします。この板に直径4皿mの穴をあけようとしたとき、どちらのほうがあけやすいでしょう。ちょっと考えると薄いほうと思いがちですが、実はそうではありません。厚いほうは時間をかければハンドドリルでもいつかはあきます。しかし薄い金属板だと、ドリルが貫通しようとした瞬間、ドリルが材料に食い込み上部のほうへ急に持ちあげられたりして材料が変形したり、ひどい場合はドリルにからまって回転してしまい、材料を押さえていた手に思わぬケガをする危険があります。電動工具を用いて起こる事故の大半は、その危険な状態をイメージできないところから起きるのです。ですからここでは事故の少ない安全な方法を例として示してみたいと思います。

まず大きな板をしっかりと支えて先に穴をあけ、そのあとで必要なサイズにカット します。

まず大きな板をしっかりと支えて先に穴をあけ、そのあとで必要なサイズにカットします。

この場合は押し切りカッターを使っていますが、金切りばさみか、しっかりしたはさみで切ることができます。

この場合は押し切りカッターを使っていますが、金切りばさみか、しっかりしたはさみで切ることができます。

その後ペンチ等で途中を90°度に曲げてL字の形にしておきます。

その後ペンチ等で途中を90°度に曲げてL字の形にしておきます。

固定式鉱石検波器の製作

鉱石ラジオの要とも言うべき鉱石検波器を製作します。ここでは固定式のものを作ります。上記でダイオード使用の検波器を作ったのとほぼ同じ方法です。

材料:方鉛鉱の小さく割ったかたまり3~5 mmくらいのもの 1個・ホックのオス型のもの 2個・プラスチックの筒 外径10mm×35mmくらいのもの 1本・スプリング 筒の内径より少し細めのあまり強くないもの 1本(ここでは作ってみます)・取り付け金具 アルミのL字形押出材の15mmX15 mm 厚さ3mm長さ12mm

まずはダイオードで作った時のように、穴のあいた板の上などにホックを出っ張っ たほうを下にして安定させます。そしてハンダをハンダごてで溶かして入れます。次 に溶けてたまったハングの中にハンダごてを入れてハンダを液体にしておきながら、 ピンセットで鉱石をハンダの上に置き、少し押さえます。

まずはダイオードで作った時のように、穴のあいた板の上などにホックを出っ張ったほうを下にして安定させます。そしてハンダをハンダごてで溶かして入れます。次に溶けてたまったハングの中にハンダごてを入れてハンダを液体にしておきながら、ピンセットで鉱石をハンダの上に置き、少し押さえます。

1~ 2秒して鉱石も温まったら、ハンダごでをそこからはずし、ハンダが固まり鉱 石が安定するまでそのままピンセットで押さえておきます。

1~ 2秒して鉱石も温まったら、ハンダごでをそこからはずし、ハンダが固まり鉱石が安定するまでそのままピンセットで押さえておきます。

ハンダが冷えて固まれば作業は終了です。しかし、すぐに鉱石がはずれてしまうようなら、もう一度作業を繰り返してください。ただ、あまり鉱石を熱しすぎてしまうと、感度が落ちることがありますから注意してください。

鉱石は方鉛鉱のほか、黄鉄鉱や紅亜鉛鉱なども使用できます。いろいろな種類の鉱 石で作ったり、同じものでも複数作っておくとよいと思います。上は自作ケースにセットした検波器に使用する鉱石各種と下はやはり自作ケースにセットした台座付き検波器用鉱石各種。

鉱石は方鉛鉱のほか、黄鉄鉱や紅亜鉛鉱なども使用できます。いろいろな種類の鉱石で作ったり、同じものでも複数作っておくとよいと思います。上は自作ケースにセットした検波器に使用する鉱石各種と下はやはり自作ケースにセットした台座付き検波器用鉱石各種。

次にスプリングですが、内径より少し細めの市販のものを使います。材質はステンレスの線の細いものがいいでしょう。内径にくらべてあまり細いスプリングを使うと、スプリングの先が鉱石にうまく当たってくれないばかりか、中で曲がってしまって安定しません。作例では筒の内径が8mmで、市販のスプリングでぴったりのものがなかったので、作ることにしました。スプリングの材料は作例のようにタングステン線の0.2 mmくらいが理想ですが、入手がむずかしいのでステンレス線、あるいはニクロム線の細いもの(0.5 mmくらいまで)を使います。

スプリングを作るときは、この場合太さ6mmのネジにピッチに合わせて巻いてゆくと簡単にできます。

スプリングを作るときは、この場合太さ6mmのネジのピッチに合わせて巻いてゆくと簡単にできます。この写真では木の棒を使用。

内径より2まわりくらい小さいネジをゲージにします。手をはなすと少し広がりますので、あとは引っ張ったり押したりねじったりして大きさを合わせます。鉱石に当たるほうの端は、中心に尖った線の先がくるようにします。

鉱石のついたホックをパイプと瞬間接着剤で固定したあと、スプリングを入れ、蓋を開めるようにしてもう一方をホックで押さえ、セロテープで仮止めし、これまでにもしも自作したラジオがあれば、それで感度を確かめます。よい感度のときがくるまでスプリングの入れ方をいろいろと変え、よい感度が得られたときそのまま動かさずに接着剤で仮止めの部分を固定します。

鉱石のついたホックをパイプと瞬間接着剤で固定したあと、スプリングを入れ、蓋を開めるようにしてもう一方をホックで押さえ、セロテープで仮止めし、これまでにもしも自作したラジオがあれば、それで感度を確かめます。よい感度のときがくるまでスプリングの入れ方をいろいろと変え、よい感度が得られたときそのまま動かさずに接着剤で仮止めの部分を固定します。

ぼくらの鉱石ラジオ・小林健二

 

この検波器の取り付け金具は、アルミ製のL字棒を金ノコで切ってやすりで整えたあと、ドリルで本体につくほうに3mm、検波器のつくほうに4mmの穴をあけて作りました。

この検波器の取り付け金具は、アルミ製のL字棒を金ノコで切ってやすりで整えたあと、ドリルで本体につくほうに3mm、検波器のつくほうに4mmの穴をあけて作りました。

このようにして作った固定式鉱石検波器は、強く落としたりするとスプリングの位置が変わって感度を失うこともあります。そのようなことも考えて、昔は筒の中ほどに前もって2mmくらいの穴をあけておき、そこから針によって中のスプリングを動かして、感度のよい点に再び安定させたようです。

またいくつか作っておいて、いろいろ付け替えをして感度の違いを楽しんでみてください。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

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ソレノイドコイルの製作について

ソレノイドコイルとは、筒状の芯の上に導線を巻いた最もポピュラーなコイルのことです。

今回の材料です。

・コイルのボビン(直径7 cm 長さ10~12 cm) 1本(作例ではベークライトの筒ですが、このサイズに近い紙筒でも可)

・エナメル線(太さ0.6mm)30mほど(作例では緑色に染めた二重絹巻き線を使用)

・絶縁板としてマイカ(雲母)もしくはベークライトの薄い板(作例ではベークライトの厚さ0. 5mmを6mm X85mmに切ったものを用いました。竹串でもよいのですが、ある程度ハンダの熱に耐えるものが望ましいのです)。

・ロータリースイッチ 3個(1回線12接点タイプ)

ベークライトの筒(直径7cm長さ10-12cm),二重絹巻き線(太さ0.6mm長さ30m),ベークライトの細長い板(厚さ0.5mm,6x85mm),ロータリースイッチ3個(1回線12接点タイプ)

ベークライトの筒(直径7cm長さ10-12cm),二重絹巻き線(太さ0.6mm長さ30m),ベークライトの細長い板(厚さ0.5mm,6x85mm),ロータリースイッチ3個(1回線12接点タイプ)

まずコイルの巻き初めのところに線が通るほどの穴を2つあけ、線を巻きはじめます。このコイルのタップは線をボビンに巻きながら8回巻いてタップの場所にくるたびに絶縁板をスライドさせて押し入れてゆくようにして進めてゆきます。

線を8回筒に巻くごとに絶縁板を差し込んでまたぎ、とこれを繰り返します。

線を8回筒に巻くごとに絶縁板を差し込んでまたぎ、とこれを繰り返します。

タップが出るところは左右にあります。巻き初めから8回目、16回目、24回目というように8回ピッチでタップ位置がくるところと、最初のタップが12回目にきて、それから8回ピッチでタップがくるところです。それぞれのタップは12カ所出て巻き終わりとなり、そのあとに線はつづいて1回巻く毎にタップが12カ所出る部分がきで、全巻き数は8X12+12=108回となります。言葉や図で説明するとちょっと面倒のようですが、製作はそれほど大変ではありません。

これがコイルの巻き上がりです。

これがコイルの巻き上がりです。

タップの部分に写真では白い布が挟んであるのは、タップを出すところの目印にするためです。

それぞれのタップが出るところの被覆をはがし、写真の左上のタップ引出し部分のようにあらかじめ前ハンダをして、配線をするためのワイヤーをハンダ付けします。

それぞれのタップが出るところの被覆をはがし、写真の左上のタップ引出し部分のようにあらかじめ前ハンダをして、配線をするためのワイヤーをハンダ付けします。そしてコイルのタップの部分に配線用の線をハンダ付けしたところです。

コイルの線の初めと終わりの白い帯のようなラインは、タップを出すために下にくぐらせた絶縁板の端を押さえるためにタコ糸を巻いたもので、コイル全体の機械的安定性を高めるために昔の手巻きコイルにはときどき用いられていた方法です。

エナメル線でも二重絹巻き線でも単線ですので、あまり曲げたり伸ばしたり動かしたりしていると、途中で折れるように切れてしまったり、ハンダ付けしたところに力が加わってとれてしまったりするので、気をつけなければなりません。また1回毎の部分のハンダ付けをする際、先の尖ったナイフなどでこすってエナメルをはがし、位置をずらしながらハンダ付けをするとよいでしょう。

ロータリースイッチを内部パネルに取りつけ、4mm× 30mmのスペーサーを2本つないで60mmの長さとして使います。

ロータリースイッチを内部パネルに取りつけ、4mm× 30mmのスペーサーを2本つないで60mmの長さとして使います。

ロータリースイッチは写真で見るようにいろいろな形状があって使用する目的によって使い分けるとよいでしょう。

ロータリースイッチは写真で見るようにいろいろな形状があって使用する目的によって使い分けるとよいでしょう。

4mm× 60mmのスペーサーがあればそのほうがよく、また工作上配線のしやすい距離を得るためのものですので、細かい作業が得意な人は20mmくらいの狭いスペースでも配線ができると思います。スペースはたくさんあればあるほど工作は楽になりますが、その分こわれやすくなるかもしれません。

ロータリースイッチヘの配線手順

ロータリースイッチヘの配線手順

ロータリースイッチヘの配線は、まず余裕をもたせてコイノレにハンダ付けしてある線(10cmほど)をロータリースイッチの所定の位置まで指で持って合わせ、余分な部分を5mmほど残して長めに切り、先端の被覆をはがします。ピンセットなどで線をロータリースイッチのハンダ付けをする端子のところに運び、端子の穴に線を引っかけ、曲げて安定させてからハンダ付けをします。

このあと配線が正しいかどうか、ちゃんとハンダ付けができているかどうかを確かめて、コイル部分は完成です。

このあと配線が正しいかどうか、ちゃんとハンダ付けができているかどうかを確かめて、コイル部分は完成です。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

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