クラウンコイルの製作について

クラウンコイルの製作

このコイルはぼくが設計したもので、形が王冠のようなのでクラウンコイルと名づけました。Q(効果が高い時など「Q(キュー)がいい」といいます)もとてもよいので、ぜひ試してみてください。

作例のコイルのリングはたまたまホビー材料屋で見つけたもので、サイズは外径9cm、内径6.5cm、厚さ12mmでした。適当なものが入手できないときは、糸ノコで切るか、写真のように自在キリという道具で裏と表から木の板にかけて作ることもできます。

ボール盤に自在キリを取り付けて円形に木をカットしている様子。

ボール盤に自在キリを取り付けて円形に木をカットしている様子。

ニスを塗った木の輪に、 7mmくらいの深さの切り込みを19本入れます。切り込みの深さを一定にするためには、金ノコの背にあたる部分の両側にプラスチック片などを瞬間接着剤でとめて、ストッパーとしておくと仕事がやりやすいでしょう。

ニスを塗った木の輪に、 7mmくらいの深さの切り込みを19本入れます。切り込みの深さを一定にするためには、金ノコの背にあたる部分の両側にプラスチック片などを瞬間接着剤でとめて、ストッパーとしておくと仕事がやりやすいでしょう。

厚さ1mmのプラスチック板(作例では布入ベーク)を35mm×12mmの大きさに切ったものを19枚作って、 リングの切り込みに垂直に差し込んでゆきます。金ノコの 切り込みの幅が1mm弱なので、強く押し入れるとちょうどとまるはずですが、もし きつすぎるなら、同じプラスチック板の余りなどを差し込んで4、5回こするとサイズがよくなります。

厚さ1mmのプラスチック板(作例では布入ベーク)を35mm×12mmの大きさに切ったものを19枚作って、 リングの切り込みに垂直に差し込んでゆきます。金ノコの切り込みの幅が1mm弱なので、強く押し入れるとちょうどとまるはずですが、もしきつすぎるなら、同じプラスチック板の余りなどを差し込んで4、5回こするとサイズがよくなります。

それぞれの羽がしっかりとリングに埋め込まれたら、垂直に入っていることを確かめて、瞬間接着剤で固定します。

それぞれの羽がしっかりとリングに埋め込まれたら、垂直に入っていることを確かめて、瞬間接着剤で固定します。そして導線の巻き初めをビスなどで固定して、スパイダーコイルと同じように羽2つずつジグザグに編むようにして巻いてゆきます。

スパイダーコイルの製作

そして巻き初めの反対側のほうに、2列タップを出す位置を決めます。そして向かって左側に巻き初めから1周して最初にその位置がきたときから12回ごとにマジックなどでしるしをつけ、それを6回おこないます。

右側のほうは、前回ご紹介したソレノイドコイルのときのように、最初が18回目で、以降12回ずつ巻いて5回しるしをつけます。そして補強も兼ねてさらに12回ほど巻いて、巻き終わりの端を巻き初めのとなりあたりにネジで固定して巻き上がりとします。

ソレノイドコイルの製作

巻き上がったコイルのタップを出すために、羽と羽のあいだのしるしをつけた場所 に、マイカの1cm幅に切った小板を差し入れます。 ドライバーのマイナスなどであらかじめじるしのついたところの縁を持ち上げておくとょいでしょう。

巻き上がったコイルのタップを出すために、羽と羽のあいだのしるしをつけた場所に、マイカの1cm幅に切った小板を差し入れます。 ドライバーのマイナスなどであらかじめじるしのついたところの縁を持ち上げておくとょいでしょう。

コイルを本体に取り付けるための金具を作ります。幅1cm、厚さ1mmくらいの真鍮板を曲げて、コイルの木枠にネジで3カ所に取り付け、金具のそれぞれの端は90度に曲げ、径3mmのタップを立てておきます。

コイルを本体に取り付けるための金具を作ります。幅1cm、厚さ1mmくらいの真鍮板を曲げて、コイルの木枠にネジで3カ所に取り付け、金具のそれぞれの端は90度に曲げ、径3mmのタップを立てておきます。

「コイルのタップ」と同じタップという言葉なのでわかりにくいかもしれませんが、「タップを立てる」というのはタッピングツールで雌ネジを作ることを言います。

*方法は下記に紹介しておりますので、参考にしてみてください。

マイカ板の上のタップの部分に前ハンダをしておきます。

マイカ板の上のタップの部分に前ハンダをしておきます。

1回路6接点のロータリースイッチにヨリ線とエンパイヤーチューブで配線をするのですが、作例の場合はケースが小さく、手やハンダごての入るスペースがないために、ダミーケースを作ってあらかじめ配線を仕上げておきました。

1回路6接点のロータリースイッチにヨリ線とエンパイヤーチューブで配線をするのですが、作例の場合はケースが小さく、手やハンダごての入るスペースがないために、ダミーケースを作ってあらかじめ配線を仕上げておきました。

ダミーケースとはこの場合、コイルのタップからの引き出し線をいちばんいい長さでロータリースイッチに配線するために、余った板などでそのコイルとスインチの距離をシュミレートしたものを作っておいて、それに部品を仮に取り付け配線を先に済ませてしまうことで作業を楽にしようとするものです。

このようにしてあらかじめスイッチまでの配線が終了したコイルです。

このようにしてあらかじめスイッチまでの配線が終了したコイルです。

タップで雌ねじを作る

タップによって雌ねじを作ることができれば、金属と金属、あるいはいろいろな材料を接合するのにとても便利です。アルミとアルミのようにハンダ付けが難しい素材や、プラスチック、木でもある程度硬度があれば、たいていの場合ビスやボルトで接合ができます。タップで作業することを「タップを立てる」と言います。またこのようにしておくと、接着剤による接合と違って再び取り外しがきくので、工作の幅を広げることができます。

写真1は手前に並んでいるのがタップのカッターで、左から1、14、17、2、2 3、2 6、3、4、5、6、8、10、16 mmです。後ろにあるのがタップのホルダーあるいはハンドルと呼ばれるもので、タップの大きさに見合ったものを使います。通常よく使うサイズは2.6~6 mmまでの間で、とりわけ3mmはよく使います。

写真は手前に並んでいるのがタップのカッターで、左から1、14、17、2、2 3、2 6、3、4、5、6、8、10、16 mmです。後ろにあるのがタップのホルダーあるいはハンドルと呼ばれるもので、タップの大きさに見合ったものを使います。通常よく使うサイズは2.6~6 mmまでの間で、とりわけ3mmはよく使います。

作業はまず雌ねじを作りたい場所にそのねじの直径に0.8をかけた大きさの下穴をドリルであけます。たとえば3mmのタップの場合、あらかじめ3X0.8=2.4mm(あるいは2.5mm)の大きさの下穴をポンチ等でマーキングしてあけます。それからタップをできるだけ垂直になるようにして、ゆっくりと時計画りに回していきます。

タップの作業。

タップの作業。

金属や固い材の場合、3回まわしたら2回戻すというようにして少しずつあけていき、ひっかかるようなら油をさしながら作業します。3mm以下のタップは折れやすく、もし折れてしまうと厄介なので注意が必要です。細いねじの場合は、材のほうを回すほうがタップが折れにくい場合もあります。

写真はタップを横から見たものです。ねじを切り終わったら逆さに回してタップをはずし、切りくずを取って終了です。

写真はタップを横から見たものです。ねじを切り終わったら逆さに回してタップをはずし、切りくずを取って終了です。

ダイスで雄ねじを作る

ダイスで雄ねじを作ることはタップを使う頻度より少ないかもしれませんが、前回紹介したヴァリオカップラーの工作のようにダイスを使えると便利な時があります。もちろんダイスにも小さいものから大きいものまでサイズがいろいろあります。

ヴァリオカップラーの製作

ダイスの使い方は、もし真鍮で3mmのねじを作る場合なら、その3mm径の棒を万力などでくわえて固定し、棒にそってダイスを回します。

ダイスの使い方は、もし真鍮で3mmのねじを作る場合なら、その3mm径の棒を万力などでくわえて固定し、棒にそってダイスを回します。

所定の位置まで来たら反対に回してダイスをはずします。このようにダイスで作業することを「ダイスを通す」言います。

ダイスで長いねじを作るのは少々むずかしいのですが、ピッチをそろえてきれいに作りたい時はボール盤に棒をくわえて手でダイスを持って作業するとうまくいきます。

ぼくは所定の位置までダイスがとおったら、ぱっと両手を同時にはなしてボール盤のスイッチを切るという感じで作業をしているので、人が見たらとてもあぶなく見えると思います。

所定の位置は加工する品物にあらかじめマジックで印を付けておくと品物が回転してもわかります。

所定の位置は加工する品物にあらかじめマジックで印を付けておくと品物が回転してもわかります。

またダイスを通すほどでもない場合や、とても長いねじが必要な時は全ねじ棒といって全体がすでにねじになっているものがあります。

通常金属材料店で手に入るのは、径が2、2.6、3、4、5、6、8、10、12 mmですが、これでたいてい間に合うと思います。

通常金属材料店で手に入るのは、径が2、2.6、3、4、5、6、8、10、12 mmですが、これでたいてい間に合うと思います。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

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KENJI KOBAYASHI

 

 

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