クラウンコイルの製作
このコイルはぼくが設計したもので、形が王冠のようなのでクラウンコイルと名づけました。Q(効果が高い時など「Q(キュー)がいい」といいます)もとてもよいので、ぜひ試してみてください。
作例のコイルのリングはたまたまホビー材料屋で見つけたもので、サイズは外径9cm、内径6.5cm、厚さ12mmでした。適当なものが入手できないときは、糸ノコで切るか、写真のように自在キリという道具で裏と表から木の板にかけて作ることもできます。
そして巻き初めの反対側のほうに、2列タップを出す位置を決めます。そして向かって左側に巻き初めから1周して最初にその位置がきたときから12回ごとにマジックなどでしるしをつけ、それを6回おこないます。
右側のほうは、前回ご紹介したソレノイドコイルのときのように、最初が18回目で、以降12回ずつ巻いて5回しるしをつけます。そして補強も兼ねてさらに12回ほど巻いて、巻き終わりの端を巻き初めのとなりあたりにネジで固定して巻き上がりとします。
「コイルのタップ」と同じタップという言葉なのでわかりにくいかもしれませんが、「タップを立てる」というのはタッピングツールで雌ネジを作ることを言います。
*方法は下記に紹介しておりますので、参考にしてみてください。
ダミーケースとはこの場合、コイルのタップからの引き出し線をいちばんいい長さでロータリースイッチに配線するために、余った板などでそのコイルとスインチの距離をシュミレートしたものを作っておいて、それに部品を仮に取り付け配線を先に済ませてしまうことで作業を楽にしようとするものです。
タップで雌ねじを作る
タップによって雌ねじを作ることができれば、金属と金属、あるいはいろいろな材料を接合するのにとても便利です。アルミとアルミのようにハンダ付けが難しい素材や、プラスチック、木でもある程度硬度があれば、たいていの場合ビスやボルトで接合ができます。タップで作業することを「タップを立てる」と言います。またこのようにしておくと、接着剤による接合と違って再び取り外しがきくので、工作の幅を広げることができます。
作業はまず雌ねじを作りたい場所にそのねじの直径に0.8をかけた大きさの下穴をドリルであけます。たとえば3mmのタップの場合、あらかじめ3X0.8=2.4mm(あるいは2.5mm)の大きさの下穴をポンチ等でマーキングしてあけます。それからタップをできるだけ垂直になるようにして、ゆっくりと時計画りに回していきます。
金属や固い材の場合、3回まわしたら2回戻すというようにして少しずつあけていき、ひっかかるようなら油をさしながら作業します。3mm以下のタップは折れやすく、もし折れてしまうと厄介なので注意が必要です。細いねじの場合は、材のほうを回すほうがタップが折れにくい場合もあります。
ダイスで雄ねじを作る
ダイスで雄ねじを作ることはタップを使う頻度より少ないかもしれませんが、前回紹介したヴァリオカップラーの工作のようにダイスを使えると便利な時があります。もちろんダイスにも小さいものから大きいものまでサイズがいろいろあります。
所定の位置まで来たら反対に回してダイスをはずします。このようにダイスで作業することを「ダイスを通す」言います。
ダイスで長いねじを作るのは少々むずかしいのですが、ピッチをそろえてきれいに作りたい時はボール盤に棒をくわえて手でダイスを持って作業するとうまくいきます。
ぼくは所定の位置までダイスがとおったら、ぱっと両手を同時にはなしてボール盤のスイッチを切るという感じで作業をしているので、人が見たらとてもあぶなく見えると思います。
またダイスを通すほどでもない場合や、とても長いねじが必要な時は全ねじ棒といって全体がすでにねじになっているものがあります。
*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。