電気回路・金工専門工具

基盤は筆者が20年前に製作した楽器用エフェクター回路

基盤は筆者が20年前に製作した楽器用エフェクター回路

工作が楽しくなる工具たち

いろいろな事物に触れ、思慮し工夫を重ねながら自分の求めている「何か」を探す旅のような工作の世界。それは楽しくまたとても意義深いものです。 子供の頃より工作好きの方はもとより、第二、弟三の人生を充実させようと考えている方々にもより工作を楽しむ手懸りにしてもらえればと思い、いくつかの工具を紹介してみたいと思います。工作とは、本来各人の趣味や価値観によって様々な取り組み方があるはずなのですが、いかなる場合も想いだけではなかなか具体化しづらいという側面があるのではないでしょうか。たとえば材料に穴をあけたり切断したりといっても、念力などによって思うように出来るという人は少ないはずだからです。そこで工具の登場となるわけですが同じ切ると言ってもその素材の違い、たとえば木や金属、あるいはプラスチック、ガラス等のように異なる要素が多くあります。また穴をあけると一口に言っても、同質の材料でさえその径や材料の厚みなどにより先端を変えるのは当り前ですが、さらに、それらを取り付ける機具自身を変更しなければならない事もよくあります。工具を使用する際、大事なのはその目的に合った工具選びです。間違った方法や無理な使用方法によっては仕上がりが悪くなるばかりか失敗をまねく事もありますし、とりわけ電動工具に至っては、危険や時には事故にまでなってしまうケースもあるからです。当然の事ですが、たいてい人間の皮膚や身体より金属やプラスチックの方が丈夫にできています。素材を加工する刃物たちに対して理解を持つ事が大切です。だからと言って反対に恐れ過ぎるのではなく、どんどんと深く接する事によって、得ていけると言う事も忘れてはならないでしょう。今回は電気工作やケース加工等によく使用される工具を選んでみました。もちろんこれらの工具は、ぼくがいつも使っているものから選んだので、見方によっては偏っているかも知れません。またあくまでも机上での工作を中心として考えているので、ボール盤程度の中型機械も紙幅の関係上も含め省き、また資料的にはおもしろくとも一般的ではないものも同じ扱いにしてあります。工具は本来とても単用途のものから応用性の高いものまであるので、電気工作や金属加工に関したもののいくつかは、次回以降に登場する場合もあります。とにかくいろいろな工具の存在を知ってもらう事で、工作に対する興味や意欲が出てきたりしていただければと願っています。もちろん工作とは便利な工具によってだけ成されるものではなく、何よりも工作者たちの努力や工夫によるという事が最も重要であることは、いつの時代も変わらないでしょう。そして工作を求める心の中にも、いつも夢が隠れているということも。

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ちょっとしたハンダ付けをリード線などにするときや、小さな部品を一時的に支持しておきたいときにはとても便利なホルダー

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単線にカーブをつけるときに使うプライヤーでカーブの大きさがいろいろある。

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フォーミング・プライヤー2種。左のものは比較的太い(1.5~2.5mm)線の物で、基板に放熱などの理由で浮かせてパーツを取り付けたいときや同じ位置にあまり沈み込まないようにするために使う。右は細いタイプ用。

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右のタイプでフォーミングしたところ。このように凸型に線が曲がる。

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フォーミング後、基板に部品を取り付けた例。

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このタイプはジグザグに線をフォーミングする。

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ランドノーズ・プライヤー。線をキズつけずに曲げる時の工具。それぞれ色々なタイプが長さ・太さ別にある。

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ワイヤーループ・プライヤーあるいはリングベンディング・プライヤーと呼ばれるもので、下の写真のように線の端をリング状にする時にとてもきれいに作業できる。たいてい一つのプライヤーに大・中・小といった具合に線径に適したサイズに作ってある。また上の写真のようにフォーミングに使用できるプライヤーも多種ある。

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右からカット・アンド・クリンチツール。これはハンドルを握るとバネの力でカッターが出て基板の裏のリード線を2mmくらいにカットした後曲げるので、RやCを基板から外れないようにする工具。中と左はカット・アンド・ホールド・ニッパーで、やはりリード線が基板から抜け落ちないように切った後、線をつぶすことで同じ効果を上げるもの。

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真ん中の工具を使用しているところ。その右には使用後のつぶれて広がったワイヤーが写っている。

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右端の工具。ワイヤーの部分に工具を当てているところと使用後の状態。

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ワイヤーホールディング・ニッパー3例。このニッパーは切った線を飛ばすことなく切断することができる。線の切れ端が目に入ったり、基板上や床に落ちるなどの問題を安全に解決できる。

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このように切ったワイヤーを保持する。

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リードベンダー・ツール。ポインター(写真中2本の黒く見える部分)の先を基板の穴の位置に向かって右側のノブで合わせた後、上部にあるくぼみにコンデンサーや抵抗、あるいはジャンパー線を乗せ、グリップを握るとちょうどポインターの幅にリード線を曲げることができる。

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リード線がコの字型に曲がっている。

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ワイヤー・ストリッパーのいろいろ。それぞれに特徴がある。左下のカバーカッターはキャプタイア・コードのまわりの被膜を切るのに使う。

ワイヤーストリッパーは各種比較するならRSコンポーネンツが便利かも。

ワイヤー・ストリッパーとは

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上部、右から2番目。このタイプは長く被膜を取り去るのに向いている。

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上部、左から2番目。昔はワイヤー・ストリッパーと言えばこのタイプが中心。被膜線を挟みさらにグリップハンドルを握ると自動的に作業できる。

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上部、左。今一般的な物はこのタイプ。頭の後ろにあるノブで線径を調整できる。右端のタイプは細い線専門。ある程度の線径の違いは自動調整できる。

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それぞれの基板に合わせ、いったんホールに押し込んで引き抜くと被膜がゼンマイのカッターで切られてむける。

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圧着端子をカシメる工具。圧着端子の種類によっていくつかのタイプがある。

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使用している様子。ワイヤーのは端末にハンダを使用しないでも機械的に接合できる。

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ケーブルタイ・ツールと言って結束帯を取り付ける工具。締め付ける強さも調整できる。

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調整した締め具合になると自動的に不要部をカットしてくれる。

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ドライバー各種、上より2本はホールディング・ドライバー(マイナス)。中央3本は絶縁タイプ、下方2種は調整用。

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フォールディング・ドライバー(マイナス)は手元のノブを押すと先端の厚みが増し、マイナスタイプのビスを保持できる。

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コイルコア調整用でプラスチックによって作られ、チップはベリリウム合金で帯磁しないようにできている。下は半固定ボリューム用。

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ナットやビス(プラス)のホールデイング・ツール。手が入らないところやとどかないところに使用する。

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上はビス(プラス)をドライバーの先につけておくことができ、中(右)と下はそれぞれ三ツ爪と四ツ爪で六角のナットや四角の座金でそれぞれ安定して使える。また左のタイプはナットの内径よりバネによって内径3~10mmくらいまでのナットをしっかり保持する。

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上から3本はすでに頭のつぶれてしまったネジにハンマーで打ち込んで新たに手掛かりをつけて回すためのもの。下のものはインパクト・ドライバーと言ってハンマーでたたくとビットが少し回転する仕組みになっていて、外れにくいビスなどに有効。

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ピンセット状工具のいろいろ。左より3本はノブをスライドさせたり、バネの力によって品物やリード線をそのまま保持することができる。右端のものは小さなエンドカッターになっている。

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一番左のピンセット状工具のアップ。配線や前ハンダするのに便利。ヒートシンクや絶縁も兼ねている。

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一見オモチャのように見えるが、絶縁工具の一種で通電中の調整に役立つ。左よりジュラコン、ナイロン、ベークライト、カーボン。

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いろいろなプライヤー、左よりフォーミングプライヤー、ニードルポイント・プライヤー、細いラジオペンチの一種、品物を挟んだ状態で保持できるもの。右端はダックノーズ・プライヤーで、先端がアヒルのくちばしのように広がっている。

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エンドカッター。食い切り工具で角度や線径や材質によって多種ある。

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マイクロノーズ・プライヤーの一部。先端がとりわけ細く、繊細な作業に向いている。用途はより多種のものがある。

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ロングノーズド・プライヤーのいろいろ。このプライヤーは先が長くまた細くなっているものもある。大きさや細さは使用目的に応じて使い分けるとよい。

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ロッキング・プライヤーはエンドにあるノブを回して、挟みたい品物のサイズに合わせて握りこむと、挟んだものを保持し続けることができる。はずす時には、リリースレバーを引くと外せる。本来左のもののように大型が多いが、この例のように全長が10cm前後のものもある。上のものは口が常に平行に開く構造になっている。

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プライヤーやペンチ、ニッパーなど。左はエレクトリック・プライヤーと呼ばれるもので、その隣2本は普通のペンチと呼ぶが、欧米ではライナーズ・プライヤーと言って側に硬線切理が付いている。

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カウンターシンク。サラネジを沈めるためのサラ取りやバリ取りに使う。上は90度、下左は82度、下右は60度。サラネジは本来82度、90度だとまわりに隙間が空いてしまうので82度のものを使うのが理想。

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右は普通の118度のドリルだが、材のかたさやねばりによって90度〜140度くらいまで削って使用する。中のものはブレッドヘッドと呼ばれる薄物用で、左はスズなどの軟質材用のフォスナー・ビット。

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薄物の金属は118度のドリルで穴をあけると貫通する際、品物が持ち上げられてとても危険。その場合はこのようなドリル(一つ上の画像の中)を使う。

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シャーシパンチでアルミの薄板(1mm)に30mmの穴をあけたところ。薄い材料に大きな穴をきれいにあけるのは、ホールソーを使用しても難しく、また危険な作業。

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シャーシパンチの構造は臼台と呼ばれる凹型(下部)とカッター(上部)とをネジで接合し、ネジを回してその圧力で、徐々に押し切るというもの。

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ネジ部のシャンクは穴があいていて、棒を入れて回すようになっているが、レンチなどで六角の部分をしっかりつかんだ方が確実。

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小さめの穴、薄物の場合でも有効。この小さめのシャーシパンチは電子工作には一揃え欲しいもの。サイズは左より、7-8mm(下穴4mm)、9-10mm(下穴5mm)、12-13mm(下穴6mm)、14-15mm(下穴6mm)。

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シャーシパンチは大きな穴をあけるときに使う。入手しやすいはサイズ20mm。写真は右より16,18,21,25,30mmなどがあり、下穴に10mmの穴をあけてから使う。アルミで2mm厚まできれいにあけられる。

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中古のチャックや壊れたオートドリルの先端のコレットなどにドライバーの柄やハンドルを付けたもの。このようなものを作っておくといろいろと便利。

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リーマーなどに柄を付けた工具。バリ取りにも利用できる。

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オートポンチ各種。目的によって当てる強さを変えることができる。また材料や材質によってポイントの角度を研いで使用する。

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使い古したり、中古や廉価で入手したペンチやプライヤー、ニッパーなどを細く削り研いだりして、自分の使いやすいように加工したもの。

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バリ取り工具各種。

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直線用のツール。

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厚みのある材を両面バリ取りするツール。

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数百円で買える一般的なバリ取りツール。

 

小林健二 2002年

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