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鉱物から絵の具を作る

顔料になる鉱物の色々

この記事は岩手のミュージアムで開催された「鉱物から絵の具を作る」小林健二ワークショップをもとに編集しており、画像は新たに付加しています。

とても人気があった企画であっという間に定員に達し、地元のみならず他府県からも多数参加されたようです。「鉱物」というと、何か植物や動物とは違った、動かない、生命を感じないと思いがちで、何か日常とは無関係に思われるような気もします。しかしながら、この地球で長い時間をかけて生成され、そして今私たちの前に姿を現わしている鉱物たちは、宝飾品としてだけではなく、実にいろいろな形をとって生活のなかで生きずいているのです。その一つに、絵の具があげられるでしょう。

石と賢治のミュージアム(岩手)で開催された小林健二ワークショップのチラシです。

この時に実際に使用された鉱物は「マラカイト」と「プルプライト」です。

顔料になる鉱物に関しては下記の別記事を参考にしてください。

マラカイト(Marachite) 岩緑青(いわろくしょう)・主成分:含水酸基炭酸銅・マウンテングリーンとも呼ばれます。緑色の鉱物でその断面まるで孔雀の羽のような縞模様があることから孔雀石と一般的に呼ばれます。かつてクレオパトラがアイシャドウに使ったということで有名な緑色顔料です。マラカイトは彫刻をほどこしたり箱などの工芸品として加工されたりするのでその削った粉やかけらから顔料にしやすい鉱物です。・標本産地:Kolweiz,Shaba,Zaire
プルプライト(Purpurite) 紫石(むらさき石) 写真で見るとまさに名が示す通りのむらさき色ですが、粉体にすると、マルス・ヴィオレットのような色です。セラミックやダイヤモンド砥石で削ると顔料にすることができます。タマゴ・テンペラなどで使えるかもしれません。標本産地:Noumas pegmatite,nearcapeteun,Republic of South Africa

上の画像のような鉱物標本は美しいので顔料にしてしまうのは正直惜しいです。ですのでヤスリ掛けがしやす程度の大きさがある小ぶりな標本で、そして混じり合う他の鉱物が少なく、色彩が象徴的なものを選んぶといいかもしれません。

マラカイトをヤスリで削って顔料を作っているところ

小林健二自作の火山の形をした不思議な実験道具。

噴火口にオレンジの粉末を入れて点火すると緑色の粉体が吹き出してきました。この緑の粉末も顔料になるのです。

用意された材料はヤスリや顔料のローアンバー、テールベルト、ウルトラマリン、そして練るための溶剤となる溶液と親水性を増すための溶液、練り台と、盛り沢山。多めに用意された溶液で、持ち帰った後も工夫により新たな「自分なりの絵の具」が生まれているかも知れません。

顔料ウルトラマリンを溶剤と混ぜているところ。

この時に作った絵の具は「アブソルバンキャンバス(吸収性の支持体)」にも描くことができます。これもワークショップの記事を下記しますので参考にしてみてください。

モレットと呼ばれる絵の具を練るための道具。それぞれに小林健二自作の素敵なケースが仕立てられている。
モレットを使ってこの大理石の板の上で顔料を練って絵の具を作る。これらもまた、専用の小林健二自作のケース付き。20代の頃に作ったもので使い込まれて年季が感じられる。
硬度が低めの鉱物は、このような鉄鉢(てっぱち)で砕いて粉状にすりつぶして顔料にすることもできる。


顔料と絵の具を練る媒材を作るための樹脂などが入った瓶の棚。貴重なものもある。
ラピスラズリの顔料
絵の具を練る練り板は大理石ばかりではない。小林健二愛用のこのパレット?の上で溶剤と顔料が混ぜられ練られてキャンバスに描かれることも多い。木製だがこれもまた使い込まれていい味が出ている。

文+編集:Ipsylon