CC : 守護者或は守護物といった物は自自または自他が支え合うという意味で、2020年以降の不安定な時勢の中で重要度の増したものの一つかもと感じます。そういった守護者の映るそれぞれの作品は各々に様々な技法を含み、ユニークな振動を放っているよう感じます。幾つかの作品における具体的な技法とそれが奏でる影響についてご自身なりの狙いというものがあれば聞かせてください。
CC : 仰るよう1点ずつが独立した波動のようなものを持っていますし、それらが並んだ時にいわゆる連作的な作品群とは異なる響き合い方があり、個性とか協調といった感覚が明るく胸に飛び込んできました。そういった印象の背景と関連するのでしょうか、作品と色彩の関係についても興味があります。これまで多くの国を訪ね或は国内においても多くを歩き、小林さんのスタジオは沢山の色が溢れています。作品における色というものの役割や色を扱う際に意識をしていることがあれば聞かせてください。
CC : なるほど。それらの技法とも関わり合う要素としての文字或は文字的なものについてもお話を聞かせてください。これまでも多くの作品に文字または文字のようなものが表れていましたが、この新作群でもそれらが強く印象的な役割を果たしているように感じます。また文字のない作品においても、画面上に刻まれる多くの線がどこか文字のように鑑賞者の身体に飛び込んでくる感覚があります。今作品群に表現されている文字の意味、或は線に込められた思いのようなものがあれば教えてください。
CC : 2020年から続く世の中のムードについて、或はこれから私たちが心を配るべき振舞いについて、これらの作品群の持つ意義や願いの様なものがあれば聞かせてください。
小林 : 自分を見つめる時間や、この世の色々な側面を考える時間もとても必要なことだと感じますね。
CC : 僕が小林さんの作品に出会ってから20年弱、長い時間があった後の2019年にようやくお会いすることが出来ました。20年前或は作家として活動を始めた40年以上前と現在と、制作にあたってどのような変化があるのか或は無いのか、湧き上がる美しさの源に興味がつきません。そのあたりでお話があれば聞かせてください。
「土星標本箱」1991*左下のスイッチを押している間中、土星が青く光って回転している作品[九三式土星望遠鏡」1993*窓から見える青く光る土星が緩やかに不思議な回転をする作品「星のいる室内」1993(点灯している状態。室内に明かりが灯っています)「星のいる室内(部分)」1993*ドールズハウスのように仕上げられた作品の天窓から覗いた状態。やはり土星が回っています。「土星のいる部屋」1997[土星装置」1997*この青く光りながら回転する土星の他に、輝く星が見えています。「九八式土星望遠鏡(無限への同調-IN TUNE WITH THE INFINITE)」1998「SATURN OF CEPHEIDS」2000「八八式土星望遠鏡」1988-2006*真っ暗な部屋でこの作品を見ていると、土星に手が届きそうな感覚になります。「九一式土星望遠鏡」1991-2006*土星があたかも目の前に飛び出してくるような感覚に襲われます。「土星夜」2015*地球外からの電波を受信する不思議な装置。自作の大きなレンズの中に土星が青く光って回っています。「土星夜」を正面から見た状態。左下に見える自作結晶が色彩をゆっくりと変えていきます。「土星夜」の部分。「土星装置」2019*今回展示される作品です。