Crystal Set」タグアーカイブ

[自作鉱石式受信機の解説]1

ぼくが昔の製作記事からヒントを得て作ったり、あるいは実験をしながら思いついて作ったりした鉱石式受信機のなかから、少し変わったものをいくつか紹介してみたいと思います。

ポストカード式ラヂオ

これはアメリカの製作記事をヒントに作りました。1945年の記事なのでまだダイオードを使わない、小さな鉱石さぐり式です。しかもインダクタンスをタップで可変するところが、いかにも実用的ではなくておもしろかったので作ってみました。

記事のタイトルに“LETTER” RADIO can be mailedと書いてあり、 しかも大きなヘッドフォンが横に置いであります。製作には自分の好きなポストカードを選んで作ると楽しいでしょう。もちろんゲルマニウムダイオードを検波に使えばもっと感度がよくなる可能性がありますし、もっと薄くも作れるでしょう。オリジナルの記事ではコイルのタップで同調するような仕組みでしたが、どうも調子がよくなかったので、カード紙に錫箔を貼ってセロファンでカバーしたヴァリコンを付け足して楽しんでいます。

実際に誰かに送ってみようと考えたこともありましたが、アンテナや受話器のことを思うと送っても送られてもお互い大変そうなので、未だに手元にある次第です。

ポストカード式ラヂオ160X105(mm)

ポストカード式ラヂオ160X105(mm)

コイルのタップにクリップを付けて同調を取ります。左端に出ている小さな板状のものはコンデンサーです。

コイルのタップにクリップを付けて同調を取ります。左端に出ている小さな板状のものはコンデンサーです。

透明ラヂオ

これは全体的に無色のラジオです。コイルは無色の石英ガラスの筒に銀の導線を使って作りました。ヴァリコンは自雲母の薄片に錫箔を貼り、セルロイドの透明な棒で回転体を作りました。検波器にはピーコックパイライトを使いました。

この鉱物標本は10年ほど前にパキスタンの業者から手に入れたもので、黄鉄鉱の表面がところどころ水色や紫色になっていて、しかも無色の水晶と共生していてとでも美しかったので使ってみたのです。鉱石の台は錫にアンチモンを加えたもので作り、支持体はガラスのカップを使いました。全体は無色の有機ガラスでできていて、有機ガラス板を曲げるのにはあらかじめ型を作る必要があります。また端子やツマミも、導体部分以外は透き通るようにポリエステルなどを使い工夫しました。この受信機を朝早くに聞くと、 とてもわくわくした気持ちになります。

透明ラデオW236×D138×H160(mm)

透明ラヂオW236×D138×H160(mm)

透明ラヂオ内部にあるピーコックパイライトを使用した検波器の部分です。

透明ラヂオ内部にあるピーコックパイライトを使用した検波器の部分です。

ベイブクリスタルセット

これはエマーソン社のベイビー・エマーソンという1球式のラジオの形がとても好きだったので、その形に似せて作ったものです。本来ならラジオの上部には真空管の一部が見えているのですが、その部分に鉱石検波器を取り付けてみました。大きさもエマーソン社のものよりずっと小さく作りました。筐体は木で作り、その上に麻布の日の細かいものを貼り、ニスを塗って仕上げました。パネルは紙にド図を描き、インスタントレタリングなどで文字を入れ、コピーでポジネガ反転してニスを塗って仕上げました。ちょっとみるととでも凝って作ってあるように見えます。

ツマミは市販品を使い、鉱石検波器のケースは試験管を切って作りました。 1つの大きめのヴァリコンと2列にタップを出したソレノイドコイルでできています。

ベイブクリスタルセットW173× D90(ツマミを含む)X H170(mm)

ベイブクリスタルセットW173× D90(ツマミを含む)X H170(mm)

鉱石受信機キット2種

この古めかしい鉱石ラジオは、共に1930~60年代のアメリカのクリスタルセットのキットを復刻するような形で作ってみました。この薄い木の板の上に作られたラジオの検波には剃刀の刃と鉛筆の芯が使用され、その他の部品にも安全ピンやクリップなどを使用していてとでもかわいらしい感じがします。この検波器は思ったより感度がよいので驚きました。

またもう一つの紙筒を利用したソレノイドコイルのものは、ゲルマニウムダイオードを検波に使っていたのですが、ぼくなりに初めて鉱石検波器を取り付けてみたものです。鉱石検波器は真鍮の20mmくらいの棒の中心に16mmの穴をあけて、方鉛鉱をハンダで固定して作りました。その後、人工鉱石を作ってみたところとでも感度がよかったので方鉛鉱と取り替え、最初使っていたニッケルのワイヤーをタングステンのワイヤーと交換して、ゲルマラジオより感度のよい鉱石ラジオ第1号となりました。

昔の米国製のキットの復刻ラジオ。剃刀と鉛筆の芯が検波器になっています。 W148×D98×H40(mm

昔の米国製のキットの復刻ラジオ。剃刀と鉛筆の芯が検波器になっています。
W148×D98×H40(mm

やはり昔のキット風のもので自作の人工鉱石が検波器に使用してあります。 W132×D137×H80(mm)

やはり昔のキット風のもので自作の人工鉱石が検波器に使用してあります。
W132×D137×H80(mm)

鉱石標本式受信機

これは検波のできる鉱石を探しているときに思いついたもので、鉱石による検波の違いを確かめようと作ってみたものです。この一見すると古めかしい鉱石標本箱の中には、検波のできる鉱石や電気すら通さない鉱石がいろいろ入っていて、それらにタンタルの金属針で触れていきます。LやCはすでに箱の中の見えないところにセットされていて、 JOAKとFENが聞けるように調整されています。コイルは昔式の紙を貼り合わせシェラックニスを塗った巻枠に、昔若草色だった風に2重絹巻き線を染めて作りました。鉱石の入っている標本箱の底全体には、見えないように厚さ0.1mmの錫箔がしわを付けて敷いであります。またコンデンサーはトリマーと呼ばれる半固定のものと固定のコンデンサーを使いました。単純な発想の受信機ですが、検波を初めて体験する人たちにはとても不思議に見えるようで好評です。

鉱石標本式受信機W225×D168(端子を含む)×H30(mm)

鉱石標本式受信機
W225×D168(端子を含む)×H30(mm)

針を鉱物に当てて検波できる石を探しています。

針を鉱物に当てて検波できる石を探しています。

蝶類標本型鉱石式受信機

標本の部分は一般的な方法で作づであり、蝶たちは命を失っても美しい姿をとどめています。ここにはぼくの好きな9つの個体が標本になっていて、このうちのいくつか(全での個体に当てはまる数だけの局を分離できなかったので)は、その個体を貫いている虫ピンに導線を触れることでラジオとして聴取することができるようになっています。虫ピンの裏側には固定したコンデンサーを直列にしたり並列にしたりすることで同調点を決定しています。この構造もそして機構も簡単なものですが、虫ピンに触れながらラジオを聴いているとちょっと不思議な心持ちになります。 トーマス・エジソンが晩年に霊界通信機を構想していたと言われていますが、もしそのような通信機がほんとうにあったとしたら、こんなに儚い有機質があしらってあるかもしれません。

蝶類標本型鉱石式受信機 W242×D195×H40(mm)

蝶類標本型鉱石式受信機
W242×D195×H40(mm)

ピンのところにクリップを付けたところ。蝶の名前は“W00D-NYMPH”(本の妖精)、 FENが聞こえています。

ピンのところにクリップを付けたところ。蝶の名前は“W00D-NYMPH”(木の妖精)、 FENが聞こえています。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

[自作鉱石式受信機の解説]2

HOME

KENJI KOBAYASHI

 

 

[すすめ!永遠の科学少年]

[サイラジオ:透質結晶受信機(PSYRADIOX:ICE CRYSTAL RECEIVER)] 木、合成樹脂、電子部品、他 (透質結晶が青く光りながら回転し、同時にラジオも受信する)

[サイラジオ:透質結晶受信機(PSYRADIOX:ICE CRYSTAL RECEIVER)]
木、合成樹脂、電子部品、他
(透質結晶が青く光りながら回転し、同時にラジオも受信する)

ー実験や工作は自分自身を見つめることでもあるんだ

小林さんはオブジェ的な魅力をもった作品の製作や、『ぼくらの鉱石ラジオ』をはじめとした著作を通して、実験、工作に対するこだわりの姿勢を貫いてきた。

小林健二「僕らの鉱石ラジオ」出版:筑摩書房

小林健二「ぼくらの鉱石ラジオ」出版:筑摩書房

小林健二「ぼくらの鉱石ラジオ」出版:筑摩書房

小林健二「ぼくらの鉱石ラジオ」出版:筑摩書房

「通常、日本語で”実験”といった場合、普通の人には、化学的な薬品の反応をみるといったような意味合いが強いかもしれない。だけどぼくは、”実験する”ということは、何かに向かい合って行こうとする姿勢みたいなものだと思う。つまり、人間が森羅万象を理解して行こうとする時に関わり合う”通路”、または”手続き”と言えばいいのかな。」

ー顕微鏡ひとつで、身の回りも世界が変わる

枯れた草に火をつけるということも、古代人にとっては、生きていく上での重要な”実験(試み)だった。だからみんなもあまり難しく考えないで、身近なところから始めてみてほしい、と小林さん。例えば、忙しい日々のさなか、ぽっかりと自分の時間がとれた時などに、机の上のものを顕微鏡で覗いて見るだけでもいい。

「新品の精密な顕微鏡を買おうものなら、下手な中古車ぐらいはかかるから、学童用の顕微鏡。または虫めがねでも十分。紙が細かい繊維でできていることを頭では知っていても、現実に目の当りにすると、多分驚くと思う。そういう新たな視点、見方から触発されたり、人生観が深まることだってあるからね。」

小林健二の自作プレパラートと顕微鏡

小林健二の自作プレパラートと顕微鏡

ー工作道具をいじっているだけで、心が安らぐ効果がある

「実験や工作に、あえて目標を定める必要はないんだ。ある意味では、自分自身と向き合うことでもあるんだから。例えば、サビた刃物を無心に研ぐだけで、気持ちが次第に楽になっていく。これは実際想像するよりはるかに効果的で、一度ためしてみる価値はあるよ。心が安らげるっていう受動的な立場でありながら、刃が研げるという能動的な結果も出る(笑)。」

小林さんはこうした実験、工作の醍醐味が味わえるようなキットを世に送り出している。中の材料からパッケージまで、オリジナル部品ばかりだ。品切れのものもあるが、今後のラインナップに期待したい。

鉱石ラジオキット[銀河1型] 6,000円(税抜き価格) 仕上がり寸法:H75XW190XD120mm 部品表 ケース/エナメル線/ツマミ(黒ベーク)/スパイダーコイル巻枠/鉱石ターミナル(赤2、黄1、緑1、青1)/ナット7個/ワッシャー(小)9枚/ワッシャー(大)4枚/バリコン/透明リング/ネジ(3×10/1個/バリコン用2個)/ドライバー/銅線 S字/鉱石検波器(本体+針)/説明書/クリスタルイヤフォン/シャフト/ベークカラー/ハンダ/サンドペーパー/ゲルマニウムダイオード キットの組み立てには、ハンダゴテやペンチなどの工具が必要の場合があります。 バリコン以外は鉱石ラジオ発足当時の原形をとどめるとも言えるキットです。黒色紙製スパイダーコイルにさぐり式検波器を装置しています。このさぐり式の鉱石ラジオは、最も象徴的な形式です。 この銀河通信社製鉱石ラジオは東洋に於いては始めて作られたさぐり式の鉱石ラジオキットです。当社では数種のさぐり式鉱石ラジオキットを製作しておりますが、安定性と感度を期待できる組立キットの1つと言えるでしょう。みなさんも、この結晶式受信機によってあなたの透明な通信を受け取ってください。(説明書より抜粋)

鉱石ラジオキット[銀河1型]
6,000円(税抜き価格)
仕上がり寸法:H75XW190XD120mm
部品表
ケース/エナメル線/ツマミ(黒ベーク)/スパイダーコイル巻枠/鉱石ターミナル(赤2、黄1、緑1、青1)/ナット7個/ワッシャー(小)9枚/ワッシャー(大)4枚/バリコン/透明リング/ネジ(3×10/1個/バリコン用2個)/ドライバー/銅線 S字/鉱石検波器(本体+針)/説明書/クリスタルイヤフォン/シャフト/ベークカラー/ハンダ/サンドペーパー/ゲルマニウムダイオード
キットの組み立てには、ハンダゴテやペンチなどの工具が必要の場合があります。
バリコン以外は鉱石ラジオ発足当時の原形をとどめるとも言えるキットです。黒色紙製スパイダーコイルにさぐり式検波器を装置しています。このさぐり式の鉱石ラジオは、最も象徴的な形式です。
「この銀河通信社製鉱石ラジオは東洋に於いては始めて作られたさぐり式の鉱石ラジオキットです。当社では数種のさぐり式鉱石ラジオキットを製作しておりますが、安定性と感度を期待できる組立キットの1つと言えるでしょう。みなさんも、この結晶式受信機によってあなたの透明な通信を受け取ってください。(説明書より抜粋)」

鉱石ラジオキット[銀河2型] 5,000円(税抜き価格) 仕上がり寸法:W11XD16XH9cm 部品表 ソレノイドコイル用紙筒 /エナメル線 /木の板 /バリコンセット(ポリバリコン+ツマミ)/鉱石検波器(本体+針)/クリスタルイヤフォン/鉱石ターミナル(黒2)/ハンダ/サンドペーパー /ゲルマニウムダイオード/画鋲 2個/銅線 S字/説明書/木工接着剤/鉱石ラジオ用ニス 尚、キットの組み立てには、ハンダゴテやペンチなどの工具が必要の場合があります。 バリコン以外は鉱石ラジオ発足当時の原形をとどめるとも言えるキットです。2型は紙筒ソレノイドコイルを使用し、さぐり式検波器を装置しています。このさぐり式の鉱石ラジオは、最も象徴的な形式ですが、今まで我国でキットとして発売されたことはありませんでした。当社でも初期に設計、デザインが仕上がった組立キットの1つです。 鉱石ラジオの構造が分かりやすく配置されており、子供から大人まで手作り感覚が楽しめるキットです。

鉱石ラジオキット[銀河2型]
5,000円(税抜き価格)
仕上がり寸法:W11XD16XH9cm
部品表
ソレノイドコイル用紙筒 /エナメル線 /木の板 /バリコンセット(ポリバリコン+ツマミ)/鉱石検波器(本体+針)/クリスタルイヤフォン/鉱石ターミナル(黒2)/ハンダ/サンドペーパー /ゲルマニウムダイオード/画鋲 2個/銅線 S字/説明書/木工接着剤/鉱石ラジオ用ニス
尚、キットの組み立てには、ハンダゴテやペンチなどの工具が必要の場合があります。
バリコン以外は鉱石ラジオ発足当時の原形をとどめるとも言えるキットです。2型は紙筒ソレノイドコイルを使用し、さぐり式検波器を装置しています。このさぐり式の鉱石ラジオは、最も象徴的な形式ですが、今まで我国でキットとして発売されたことはありませんでした。当社でも初期に設計、デザインが仕上がった組立キットの1つです。 鉱石ラジオの構造が分かりやすく配置されており、子供から大人まで手作り感覚が楽しめるキットです。

 

硝子結晶育成キット 2,500円(税抜き価格) パッケージサイズ:W14XH12XD18cm 約1週間から10日で母岩の上に高さ6cm前後の淡い緑色を帯びた結晶が群晶となって成長します。

硝子結晶育成キット
2,500円(税抜き価格)
パッケージサイズ:W14XH12XD18cm
約1週間から10日で母岩の上に高さ6cm前後の淡い緑色を帯びた結晶が群晶となって成長します。

6/4,11,19の小林健二トークの時に3回にわたって育成した「硝子結晶」

6/4,11,19の小林健二トークの時に3回にわたって育成した「硝子結晶」

「今は情報が溢れすぎているから、感覚が緩慢になっているところがある。エレガントなものや、繊細なものの現象があっても、それに気づかなかったりする。だからこそ、実験や工作をやることで、自分自身を見つめる機会があってもいい。鉋をかけた経験が一つあれば、神社や寺なんかの建築の細工に驚くこともあるかもしれない。そういうことに気づけたり、感動できる受け口は、いくらあってもいいんじゃないかな。」

*2001年のメディア記事を抜粋編集し、画像は新たに付加しております。また、キットのキャプションは銀河通信社サイトから転用しております。

HOME

KENJI KOBAYASHI

[原初の真空管をつくる]

原初の真空管をつくる オリジナル直熱3極管(ポリカーボネイト製固定枠に設置)

原初の真空管をつくる
オリジナル直熱3極管(ポリカーボネイト製固定枠に設置)

ー怪物のような真空管

ぼくはギターエフェクターのディストーションやテルミンのような特殊な楽器を組むとき以外、アンプやラジオは大抵トランジスターやICを使用します。それは以前真空管でセットを制作中に高圧に感電した経験があって、どうしても低電圧の回路に気持ちが入ってしまうからです。ですから真空管についてはそれほど多くの知識は持ち合わせていないのです。そんな真空管について素人であるぼくが、なぜこんな形をしたものに興味を抱いているかというと、ぼくにとっての「真空管」というものの魅力の一つは、その音質や性能というよりは、それがまだほぼ電球とそれほど違わなかった時代の、目に見えない熱電子のふるまいを感じさせるようなところにあります。そして当時のまるで原理模型のような、また怪物のような形態も、さらに心の引力に拍車をかけていると思います。

当初、酸素を使う専門のバーナーや真空ポンプ等をいろいろいじってみても、そう簡単にバルブなどは作れるものではありませんでした。そこで以前から特殊な放電球の政策を依頼していた技師の方に半ば無理やりに相談を持ちかけて、具体的な作業を行ってもらったのが今回のものです。

プレートの取り付け方など、1900年ころ米国で発表されたフレミングヴァルブをイメージさせるプリミティブな構造。

プレートの取り付け方など、1900年ころ米国で発表されたフレミングヴァルブをイメージさせるプリミティブな構造。金属円板の プレート、網状のグリッド、スパイラル状のタングステン材フィラメントで構成されている。ゲッター付きの高真空型というところが現代的。

魚焼き網を連想させるグリッド。マルコーニ5625(1927年)の構造を彷彿とさせる。スパイラル状のフィラメントは純タングステン材で、実物は眩しいほどに白熱発光する。

魚焼き網を連想させるグリッド。マルコーニ5625(1927年)の構造を彷彿とさせる。スパイラル状のフィラメントは純タングステン材で、実物は眩しいほどに白熱発光する。

このバルブがスペックが取れないのは、ぼくによるところの結果です。しかしそれはまたいいわけではなく、ぼくにとっては少しも失敗ではないと思っています。なぜかというとこの世に真空管が現れはじめ、「分子の影」や「エジソン効果」もまだ半分は謎の領域にあり、地球上の誰もがその効果や性能、そしてその将来の行く末も明らかでないものと対峙し始めた、そんな時代を追体験してみたかったからに他なりません。原理が発見された後は、理論や生産の合理化と競争になっていくのは人の世のならいであったのでしょう。僕としては、それら競い合う意識が未熟のまだぼんやりとして霞のかかった五月の朝のような、そんな時代を夢みるのが楽しく、便利さや合理性だけでは語れない世界に、どうしても今の時代が失ってしまった何かを感じてしまうのです。

小林健二氏によるオリジナル真空管の構想スケッチ。3極管の他にも2極管も製作中。

小林健二氏によるオリジナル真空管の構想スケッチ。3極管の他にも2極管も製作中。

今回、球形の2極管の写真は間に合いませんでしたが、風船玉やミジンコのようだったり、透明で何か小さな生き物のように何本もの裸線が触手のように出ているバルブを見ていると、何かウットリする気持ちになります。そしてこれらのいみじき者らが、本当に通電によって少しでも作動するということは、電子の世界の不思議さを感じさせてくれるのです。もちろんぼくはこんな気持ちを人に押し付けるつもりは少しもなく、ただ、何かよくわからない世界のことを日々考えていることが、子供の頃から好きでたまらないのです。

小林健二

*1999年のメディア掲載記事を抜粋編集しております。

HOME

KENJI KOBAYASHI

単一回路鉱石ラジオの製作(筐体+仕上げ編)

小林健二自作単一回路鉱石ラジオ

自作単一回路鉱石ラジオ。 作例のサイズを参考までに示すと、W140×D178(ツマミを含む)× H90(mm)です。

回路図です。

回路図です。

代表的な鉱石式受信機を紹介してみたいと思います。これまでの記事でこの受信機に使用するソレノイドコイルや鉱石検波器については紹介しているので、今回はケースや調整についてです。

ソレノイドコイルの製作

固定式鉱石検波器の製作

コイルのインダクタンスの調整によって同調をとり、感度を計るものです。作例では実際に1920年代に存在していた受信機のコイル部分を復元し、他の部品は今でも電気店などで購入できるもので代用しながら製作してみようと思います。

ケースの製作

ケースはどのような素材によって作られていてもかまわないので、ここではアクリルの板で作ってみます。

ケースについては、あらかじめできているものを使う場合は、最も目的に近い大きさのものを選ぶということになりますが、自分で作る場合はコイルなどの中に入るものの大きさや配置が決まってから、それに合わせて作れるという利点があります。

今回は黄色いアクリル板の5 mm厚のものを使いました。

まず、組み上がったコイルを見ながら、ケースのサイズを考えます。ケースの形は自分なりに考えるのが楽しいと思います。全体の大きさが決まったら、それぞれの板材のサイズを割り出してカットしてゆきます。

2~ 3 mm厚くらいの場合は、Pカッターなどで、きっかくようにして樹脂板に切れ日を入れ、切れ目にそって割るようにして手で切り離します。5mm厚となると少したいへんなので、あらかじめPカッターで筋目を少し入れておいてから、金ノコを使うとまっすぐに早く切ることができます。

2~ 3 mm厚くらいの場合は、Pカッターなどで、きっかくようにして樹脂板に切れ日を入れ、切れ目にそって割るようにして手で切り離します。5mm厚となると少したいへんなので、あらかじめPカッターで筋目を少し入れておいてから、金ノコを使うとまっすぐに早く切ることができます。切り口がぎぎぎぎになるの でサンドペーパーをかけて仕上げることを考えに入れて、サイズ付けのとき、こころもち大きめにマーキングをしておくとよいでしょう。

サンドペーパーで切り口を仕上げるとき、90度の出ているものにあてながら、平らなところにサンドペーパーを敷いて前後にゆっくり動かして削ると、 きちんと上がります。

サンドペーパーで切り口を仕上げるとき、90度の出ているものにあてながら、平らなところにサンドペーパーを敷いて前後にゆっくり動かして削ると、 きちんと上がります。

箱の板材が切れたら組み立てですが、その際90度が出るように小型のスコヤで計りましょう。

箱の板材が切れたら組み立てですが、その際90度が出るように小型のスコヤで計りましょう。

接着にはアクリル用接着剤として市販されている四塩化エチレンを使います。

この接着剤はアルコールのようにサラサラした揮発性の高い透明な液体で、アクリル材のすき間に流し込むようにして使用します。

この接着剤はアルコールのようにサラサラした揮発性の高い透明な液体で、アクリル材のすき間に流し込むようにして使用します。

 

あらかじめセロテープで軽く仮止めをしてずれないようにしてから作業するとずれなくて安心です。

あらかじめセロテープで軽く仮止めをしてずれないようにしてから作業するとずれなくて安心です。

そのまましばらく置いておけば完了です。このとき仮止めしたテープを伝ってよけいな場所に液が流れてしまわないように注意しましょう。

一面一面ていねいに仮組みをしたあとで組んでゆけば、しっかりとした箱になります。

ケースが組み上がりました。

ケースが組み上がりました。

作例ではこのままだと角が尖って手ざわりがよくないので、サンドペーパーで面をとって丸めておきました。

作例ではこのままだと角が尖って手ざわりがよくないので、サンドペーパーで面をとって丸めておきました。

全体の組み立て

組み上がったケースと内部のコイル、そして検波器を組み立て、配線をします(配線図を参照して下さい)。

ケース全体がつや消しになっているのは、はみ出した接着剤をサンドペーパーで取るときに、ついでに400番のペーパーを全体にかけてつやを落ちつかせたためです。ピカピカに仕上げたいときには、このあと800番、1200番くらいの耐水サンドペーパーを水につけながら全体にかけ、プラスチックポリッシュや金属用のつや出し剤をやわらかな布につけて磨きます。

向かっていちばん右のターミナルは紫色ですが、これは市販の白いものを樹脂染料で染めてみたものです。

向かっていちばん右のターミナルは紫色ですが、これは市販の白いものを樹脂染料で染めてみたものです。

配線図です。

配線図です。

調整と聞き方

組み立てが終了したら、念のため接続に誤りがないかハンダ付けはうまくできているかもう一度確かめます。アンテナ、アース、ヘッドフォンなどをそれぞれのターミナルに接続します。配線がうまくいっていれば、ヘッドフォンをかけた段階で小さくても何かしら放送が聞こえるはずです。

作例で用いたロータリースイッチは1回路12接点のタイプで、カチカチと同してゆくといくらでも回って、とくに止まるところがありません。ですからツマミをつけるときに、いちばん巻き数の少ないタップのところがきている位置にツマミを12時方向(じるしが真上にくる)にしたりして、自分でわかるように取り付けておくとよいでしょう。

調整はまずコイルのヘッドフォンヘとつながるタップのスイッチを、巻き数がいちばん小さなところへ合わせておきます。そして空中線のターミナルにつながるタップのツマミをひとつずつ静かに回して、いちばん大きく聞こえるところに合わせます。そしていちばん大きく聞こえるポイントを見つけたら、今度はアースのターミナルにつながるタップのツマミを回して、さらにいちばんよく聞こえるところを探し、その次に初めにいちばん巻き数を小さくしておいたツマミを動かし、次いでまたもう一巡、全体の作業を繰り返します。

もし全然音が聞こえないようなら、固定式鉱石検波器と金具の接点がしっかりとついているか調べてください。

固定式鉱石検波器がついているフロントパネル。

固定式鉱石検波器がついているフロントパネル。

音が聞こえても小さい場合や、フォックストンの接点もしっかりしているのに聞こえないときは、フォックストンを取り去り、そこにダイオードを入れてみてください(できたら仮にハンダ付けをして)。もしそれで聞こえるようなら、フォクストンの調子が悪いのです。

上記のことをすべてしても音が聞こえなかったりしたら、ハンダ付けか配線の不良がどこかにあると思います。あきらめないでもう一度チェックしてみてください。

なお、この回路ではそれほど多くの局は入らなくて、きっと1つか2つくらいが受信できると思います。 しかし、思いのほか分離がよいと思います。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

HOME

KENJI KOBAYASHI

 

 

 

直接結合回路鉱石受信機の製作(筐体+仕上げ編)

以前自作パーツ(クラウンコイル+探り式鉱石検波器+ヴァリコン)でご紹介した記事の筐体(ケース)を作ります。

クラウンコイルの製作

さぐり式鉱石検波器の製作

ヴァリコンの製作

ここではアンティークラジオのような形のものを木工によって作ってみました。まずケースの本体の木取りから始めます。

自作[直接結合回路鉱石受信機] 寸法はW155× D135× H200(mm)です(検波器端子は含まない)。

自作[直接結合回路鉱石受信機]
寸法はW155× D135× H200(mm)です(検波器端子は含まない)。

ケース前面、背面、底面、そして前面と背面をつなぐ木の棒です。板材は12mm厚のラワンベニヤで作り、断面が五角形のような棒は4cm×4cmの角材から作りました。

ケース前面、背面、底面、そして前面と背面をつなぐ木の棒です。板材は12mm厚のラワンベニヤで作り、断面が五角形のような棒は4cm×4cmの角材から作りました。

これらをボンドで接着します。頭の角材には工作途中でかなりの力をかけるので、くぎも打っておきます。

右に見えるのは、次の工程で側に曲げながら貼りつけるベニヤの板です。これは幅を本体の枠に合わせ、長さを多めにしてあります。 十分に水につけたあと、ラップにくるみ電子レンジで温めておくと曲げやすくなりま す。この作例が小さいため曲率が高いので大事をとったのですが、もっと大きなものなら水で湿す必要もないでしょう。

右に見えるのは、次の工程で側に曲げながら貼りつけるベニヤの板です。これは幅を本体の枠に合わせ、長さを多めにしてあります。十分に水につけたあと、ラップにくるみ電子レンジで温めておくと曲げやすくなります。この作例が小さいため曲率が高いので大事をとったのですが、もっと大きなものなら水で湿す必要もないでしょう。

作例は3mmのブナのベニヤを使いましたが、27mmのラワンベニヤか3mmのシナベニヤあたりが人手しやすいと思います。

本体の片側にボンドを塗って、下部の端をしっかりと合わせ、くぎで軽く仮止めします。そして徐々に上のほうへ向かって押しつけるようにして側板を密着させてゆきます。途中どうしてもすき間があいてしまうなら、そのつどくぎで仮止めをします。仮止めとは、細いくぎを半分くらい打ち込んでおき、ボンドが固まったあとでプライヤーやペンチで抜き取ってしまうやり方です。

写真13ではクリップやクランプで止めてありますが、実際はもっと簡単に、太い輪ゴムやひもでも固定できるでしょう。 このようにして片側を貼りおえたら、完全に乾くのを見計らい、上部に余っている ベニヤを切り取って、はみ出したボンドをきれいに削り取ります。そのあともう片側へ同じことを繰り返します。写真13の左のほうにもう片側に使うベニヤが筒に巻かれ、巻きぐせがつくようにしてあるのが見えます。

写真ではクリップやクランプで止めてありますが、実際はもっと簡単に、太い輪ゴムやひもでも固定できるでしょう。
このようにして片側を貼りおえたら、完全に乾くのを見計らい、上部に余っているベニヤを切り取って、はみ出したボンドをきれいに削り取ります。そのあともう片側へ同じことを繰り返します。写真左のほうにもう片側に使うベニヤが筒に巻かれ、巻きぐせがつくようにしてあるのが見えます。

写真14は両側の板を貼り乾かし、そしてサンドペーパーで仕上げた本体です。右側には本体からトレースしてベニヤを切り取って作りはじめたパネルが見えます。また本体の下のところの出っ張りは、あとでつけるパネルの厚み分の本片が接着されています。パネルがついたとき、同じ高さにするためです。パネルは3mmのベニヤを2枚貼り合わせるので、木片は6mmの厚みにしてあります。

写真は両側の板を貼り乾かし、そしてサンドペーパーで仕上げた本体です。右側には本体からトレースしてベニヤを切り取って作りはじめたパネルが見えます。また本体の下のところの出っ張りは、あとでつけるパネルの厚み分の本片が接着されています。パネルがついたとき、同じ高さにするためです。パネルは3mmのベニヤを2枚貼り合わせるので、木片は6mmの厚みにしてあります。

正面のパネルを作ります(写真15)。パネルのレイアウトをよく確かめて補強と装飾を兼ねてパネルの縁を二重にします。まずパネルと同寸の板をもう一枚切って、縁から一定の幅(作例では12mm)にケヒキなどでしるしをつけて、弓ノコなどで切り抜きます(写真16)。

正面のパネルを作ります。パネルのレイアウトをよく確かめて補強と装飾を兼ねてパネルの縁を二重にします。まずパネルと同寸の板をもう一枚切って、縁から一定の幅(作例では12mm)にケヒキなどでしるしをつけます。

小林健二の技法

ケヒキで印をつけたところを弓ノコなどで切り抜き、パネルには所定の位置に穴をあけます。

彫刻刀の丸刀などで面を取り、貼りつけます。

彫刻刀の丸刀などで面を取り、貼りつけます。

写真18のようにいろいろな断面をすでに削りだして棒状に形成した製品も面縁として売られています。

写真のようにいろいろな断面をすでに削りだして棒状に形成した製品も面縁として売られています。

写真19のようないろいろな面取り飽もまだ大工道具を売っているお店の隅に残っていることもあり、 1つ2つあるとなにかと楽しく工作ができるでしょう。

写真のようないろいろな面取り飽もまだ大工道具を売っているお店の隅に残っていることもあり、 1つ2つあるとなにかと楽しく工作ができるでしょう。

写真20は仕上げ前の本体とパネルです。本体下部の額縁のように面を取った部分は、工作材を彫刻刀で彫ったあと貼りつけたものです。本体にあいた穴の形がちがうのは、 パーツを仮に組んでみたらコイルが人らないので、設計変更をしたためです。

写真20は仕上げ前の本体とパネルです。本体下部の額縁のように面を取った部分は、工作材を彫刻刀で彫ったあと貼りつけたものです。本体にあいた穴の形がちがうのは、パーツを仮に組んでみたらコイルが人らないので、設計変更をしたためです。

写真52は全体のパーツが仕上がったところです。ヴァリコンはパネルにヴァーニャダイヤルであらかじめ取り付けておきます。ディテクターもついてます。背面パネルにはヘッドフォン用のターミナル2個とアンテナ用とアース用にそれぞれひとつずつのターミナルがつけであります。

写真は全体のパーツが仕上がったところです。ヴァリコンはパネルにヴァーニャダイヤルであらかじめ取り付けておきます。ディテクターもついてます。背面パネルにはヘッドフォン用のターミナル2個とアンテナ用とアース用にそれぞれひとつずつのターミナルがつけであります。

回路図と実体配線図を載せておきますので、参考に組み込んでください。

[直接結合回路鉱石受信機]回路図

[直接結合回路鉱石受信機]回路図

[直接結合回路鉱石受信機]実体配線図

[直接結合回路鉱石受信機]実体配線図

調整と聞き方

組み上がったあとの調整は、内部配線の接続を確かめ、アース線やアンテナ、ヘッドフォンの接続を確かめたあと、さぐり式の鉱石検波器の針を鉱石からはずしておいて、そこにダイオードを足を曲げて仮に取り付けておきます。コイルからヘッドフォンにつながるロータリースイッチをいちばん右(巻き数をいちばん小)にして、アースにつながるロータリースイッチは左から3番目くらいにして、ヴァリコンを動かしていちばん音が大きなところに合わせます。そしてそれぞれのロータリースイッチを動かしさらに分離がよく聞こえやすいところを探し、ふたたびヴァリコンを動かします。これを繰り返し、最もいいところを見つけたら、ダイオードを取り去り、さぐり用の針を鉱石にあてながら放送が最もよく聞こえるポイントを見つけます。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

HOME

KENJI KOBAYASHI

 

 

クラウンコイルの製作について

クラウンコイルの製作

このコイルはぼくが設計したもので、形が王冠のようなのでクラウンコイルと名づけました。Q(効果が高い時など「Q(キュー)がいい」といいます)もとてもよいので、ぜひ試してみてください。

作例のコイルのリングはたまたまホビー材料屋で見つけたもので、サイズは外径9cm、内径6.5cm、厚さ12mmでした。適当なものが入手できないときは、糸ノコで切るか、写真のように自在キリという道具で裏と表から木の板にかけて作ることもできます。

ボール盤に自在キリを取り付けて円形に木をカットしている様子。

ボール盤に自在キリを取り付けて円形に木をカットしている様子。

ニスを塗った木の輪に、 7mmくらいの深さの切り込みを19本入れます。切り込みの深さを一定にするためには、金ノコの背にあたる部分の両側にプラスチック片などを瞬間接着剤でとめて、ストッパーとしておくと仕事がやりやすいでしょう。

ニスを塗った木の輪に、 7mmくらいの深さの切り込みを19本入れます。切り込みの深さを一定にするためには、金ノコの背にあたる部分の両側にプラスチック片などを瞬間接着剤でとめて、ストッパーとしておくと仕事がやりやすいでしょう。

厚さ1mmのプラスチック板(作例では布入ベーク)を35mm×12mmの大きさに切ったものを19枚作って、 リングの切り込みに垂直に差し込んでゆきます。金ノコの 切り込みの幅が1mm弱なので、強く押し入れるとちょうどとまるはずですが、もし きつすぎるなら、同じプラスチック板の余りなどを差し込んで4、5回こするとサイズがよくなります。

厚さ1mmのプラスチック板(作例では布入ベーク)を35mm×12mmの大きさに切ったものを19枚作って、 リングの切り込みに垂直に差し込んでゆきます。金ノコの切り込みの幅が1mm弱なので、強く押し入れるとちょうどとまるはずですが、もしきつすぎるなら、同じプラスチック板の余りなどを差し込んで4、5回こするとサイズがよくなります。

それぞれの羽がしっかりとリングに埋め込まれたら、垂直に入っていることを確かめて、瞬間接着剤で固定します。

それぞれの羽がしっかりとリングに埋め込まれたら、垂直に入っていることを確かめて、瞬間接着剤で固定します。そして導線の巻き初めをビスなどで固定して、スパイダーコイルと同じように羽2つずつジグザグに編むようにして巻いてゆきます。

スパイダーコイルの製作

そして巻き初めの反対側のほうに、2列タップを出す位置を決めます。そして向かって左側に巻き初めから1周して最初にその位置がきたときから12回ごとにマジックなどでしるしをつけ、それを6回おこないます。

右側のほうは、前回ご紹介したソレノイドコイルのときのように、最初が18回目で、以降12回ずつ巻いて5回しるしをつけます。そして補強も兼ねてさらに12回ほど巻いて、巻き終わりの端を巻き初めのとなりあたりにネジで固定して巻き上がりとします。

ソレノイドコイルの製作

巻き上がったコイルのタップを出すために、羽と羽のあいだのしるしをつけた場所 に、マイカの1cm幅に切った小板を差し入れます。 ドライバーのマイナスなどであらかじめじるしのついたところの縁を持ち上げておくとょいでしょう。

巻き上がったコイルのタップを出すために、羽と羽のあいだのしるしをつけた場所に、マイカの1cm幅に切った小板を差し入れます。 ドライバーのマイナスなどであらかじめじるしのついたところの縁を持ち上げておくとょいでしょう。

コイルを本体に取り付けるための金具を作ります。幅1cm、厚さ1mmくらいの真鍮板を曲げて、コイルの木枠にネジで3カ所に取り付け、金具のそれぞれの端は90度に曲げ、径3mmのタップを立てておきます。

コイルを本体に取り付けるための金具を作ります。幅1cm、厚さ1mmくらいの真鍮板を曲げて、コイルの木枠にネジで3カ所に取り付け、金具のそれぞれの端は90度に曲げ、径3mmのタップを立てておきます。

「コイルのタップ」と同じタップという言葉なのでわかりにくいかもしれませんが、「タップを立てる」というのはタッピングツールで雌ネジを作ることを言います。

*方法は下記に紹介しておりますので、参考にしてみてください。

マイカ板の上のタップの部分に前ハンダをしておきます。

マイカ板の上のタップの部分に前ハンダをしておきます。

1回路6接点のロータリースイッチにヨリ線とエンパイヤーチューブで配線をするのですが、作例の場合はケースが小さく、手やハンダごての入るスペースがないために、ダミーケースを作ってあらかじめ配線を仕上げておきました。

1回路6接点のロータリースイッチにヨリ線とエンパイヤーチューブで配線をするのですが、作例の場合はケースが小さく、手やハンダごての入るスペースがないために、ダミーケースを作ってあらかじめ配線を仕上げておきました。

ダミーケースとはこの場合、コイルのタップからの引き出し線をいちばんいい長さでロータリースイッチに配線するために、余った板などでそのコイルとスインチの距離をシュミレートしたものを作っておいて、それに部品を仮に取り付け配線を先に済ませてしまうことで作業を楽にしようとするものです。

このようにしてあらかじめスイッチまでの配線が終了したコイルです。

このようにしてあらかじめスイッチまでの配線が終了したコイルです。

タップで雌ねじを作る

タップによって雌ねじを作ることができれば、金属と金属、あるいはいろいろな材料を接合するのにとても便利です。アルミとアルミのようにハンダ付けが難しい素材や、プラスチック、木でもある程度硬度があれば、たいていの場合ビスやボルトで接合ができます。タップで作業することを「タップを立てる」と言います。またこのようにしておくと、接着剤による接合と違って再び取り外しがきくので、工作の幅を広げることができます。

写真1は手前に並んでいるのがタップのカッターで、左から1、14、17、2、2 3、2 6、3、4、5、6、8、10、16 mmです。後ろにあるのがタップのホルダーあるいはハンドルと呼ばれるもので、タップの大きさに見合ったものを使います。通常よく使うサイズは2.6~6 mmまでの間で、とりわけ3mmはよく使います。

写真は手前に並んでいるのがタップのカッターで、左から1、14、17、2、2 3、2 6、3、4、5、6、8、10、16 mmです。後ろにあるのがタップのホルダーあるいはハンドルと呼ばれるもので、タップの大きさに見合ったものを使います。通常よく使うサイズは2.6~6 mmまでの間で、とりわけ3mmはよく使います。

作業はまず雌ねじを作りたい場所にそのねじの直径に0.8をかけた大きさの下穴をドリルであけます。たとえば3mmのタップの場合、あらかじめ3X0.8=2.4mm(あるいは2.5mm)の大きさの下穴をポンチ等でマーキングしてあけます。それからタップをできるだけ垂直になるようにして、ゆっくりと時計画りに回していきます。

タップの作業。

タップの作業。

金属や固い材の場合、3回まわしたら2回戻すというようにして少しずつあけていき、ひっかかるようなら油をさしながら作業します。3mm以下のタップは折れやすく、もし折れてしまうと厄介なので注意が必要です。細いねじの場合は、材のほうを回すほうがタップが折れにくい場合もあります。

写真はタップを横から見たものです。ねじを切り終わったら逆さに回してタップをはずし、切りくずを取って終了です。

写真はタップを横から見たものです。ねじを切り終わったら逆さに回してタップをはずし、切りくずを取って終了です。

ダイスで雄ねじを作る

ダイスで雄ねじを作ることはタップを使う頻度より少ないかもしれませんが、前回紹介したヴァリオカップラーの工作のようにダイスを使えると便利な時があります。もちろんダイスにも小さいものから大きいものまでサイズがいろいろあります。

ヴァリオカップラーの製作

ダイスの使い方は、もし真鍮で3mmのねじを作る場合なら、その3mm径の棒を万力などでくわえて固定し、棒にそってダイスを回します。

ダイスの使い方は、もし真鍮で3mmのねじを作る場合なら、その3mm径の棒を万力などでくわえて固定し、棒にそってダイスを回します。

所定の位置まで来たら反対に回してダイスをはずします。このようにダイスで作業することを「ダイスを通す」言います。

ダイスで長いねじを作るのは少々むずかしいのですが、ピッチをそろえてきれいに作りたい時はボール盤に棒をくわえて手でダイスを持って作業するとうまくいきます。

ぼくは所定の位置までダイスがとおったら、ぱっと両手を同時にはなしてボール盤のスイッチを切るという感じで作業をしているので、人が見たらとてもあぶなく見えると思います。

所定の位置は加工する品物にあらかじめマジックで印を付けておくと品物が回転してもわかります。

所定の位置は加工する品物にあらかじめマジックで印を付けておくと品物が回転してもわかります。

またダイスを通すほどでもない場合や、とても長いねじが必要な時は全ねじ棒といって全体がすでにねじになっているものがあります。

通常金属材料店で手に入るのは、径が2、2.6、3、4、5、6、8、10、12 mmですが、これでたいてい間に合うと思います。

通常金属材料店で手に入るのは、径が2、2.6、3、4、5、6、8、10、12 mmですが、これでたいてい間に合うと思います。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

HOME

KENJI KOBAYASHI

 

 

固定式鉱石検波器の製作について

固定式鉱石検波器は鉱石ラジオが最盛期を迎えた時代にもっとも普及しました。

上左から国産のフォクストン(古河電気工業)と呼ばれたものです。その右が米国ERLA製、その下の大きめのものはカーボランダムディテクターと呼ばれ、本来は0.lVくらいのバイアスをかけて使用します。3段目左は自作品、右は現在入手できるレプリカ品、4段日はともに自作品です。 自分なりにラベルを工夫したりすると楽しいと思います。

上左から国産のフォクストン(古河電気工業)と呼ばれたものです。その右が米国ERLA製、その下の大きめのものはカーボランダムディテクターと呼ばれ、本来は0.lVくらいのバイアスをかけて使用します。3段目左は自作品、右は現在入手できるレプリカ品、4段目はともに自作品です。
自分なりにラベルを工夫したりすると楽しいと思います。

ERLA製の固定検波器と自作の検波器を分解したもの。ERLA製のものは黄鉄鉱と燐青銅の0.6mmくらいの針の先をとがらせたもので作ってあり、自作のものは0.5mmタングステンで作ったスプリングと硫砒鉄鉱を使って作りました。このような構造だとねじを回し封じながら接点を取るので感度のいい場所でなかなかうまく止まってくれず大変ですが、いったん感度のいい点で止まると、タングステンのバネの利きがよくて少し落としたくらいでは位置がずれたりしません。

ERLA製の固定検波器と自作の検波器を分解したもの。ERLA製のものは黄鉄鉱と燐青銅の0.6mmくらいの針の先をとがらせたもので作ってあり、自作のものは0.5mmタングステンで作ったスプリングと硫砒鉄鉱を使って作りました。このような構造だとねじを回し封じながら接点を取るので感度のいい場所でなかなかうまく止まってくれず大変ですが、いったん感度のいい点で止まると、タングステンのバネの利きがよくて少し落としたくらいでは位置がずれたりしません。

昔のパッケージ入りの固定検波器など。

昔のパッケージ入りの固定検波器など。

フォックストン型鉱石検波器を作る前に、手慣らしとしてダイオードを使用したタイプを作ってみます。

ダイオードによる固定式検波器の製作

材料:プラスチックパイプ1本(太さ10mm長さ3-4cm)・ホック(スナップボタン)用オス金具2個・ゲルマニュームダイオード1本・金具用真鍮板1.5mm厚3cmくらい1枚と1mm厚8mmX7cmくらい1枚

 

まず、ホックのオスの裏側のへこんだところにハンダを溶かしながら埋め込んでおきます。このとき木の台などに穴をあけて、出っ張ったところを入れて安定して作業できるようにするとよいでしょう。

まず、ホックのオスの裏側のへこんだところにハンダを溶かしながら埋め込んでおきます。このとき木の台などに穴をあけて、出っ張ったところを入れて安定して作業できるようにするとよいでしょう。

このホックにダイオードの線が通る08~1mmくらいの穴を、ハンドドリルなどを使って貫通させておきます。

このホックにダイオードの線が通る0.8~1mmくらいの穴を、ハンドドリルなどを使って貫通させておきます。

アクリルなどのパイプ(作例では見やすいように透明)で、太さ10mm、長さ35mmくらいのものを用意します。中にダイオードを入れ両端から先ほどのホックをダイオードに通してホックとパイプとを瞬間接着剤でとめておきます。

アクリルなどのパイプ(作例では見やすいように透明)で、太さ10mm、長さ35mmくらいのものを用意します。中にダイオードを入れ両端から先ほどのホックをダイオードに通してホックとパイプとを瞬間接着剤でとめておきます。

ダイオードが真ん中にくるように調節して、両端のホックとダイオードとの線とをハンダ付けして余分な線は切ってしまいます。これでフォックストン型の検波器がで きます。

ダイオードが真ん中にくるように調節して、両端のホックとダイオードとの線とをハンダ付けして余分な線は切ってしまいます。これでフォックストン型の検波器がで
きます。

次にこのフォックストンをパネルにつける金具を作ってみましょう。

ここでは止める板はガラスエポキシ製の物を使用してますが、素材は自分の好みで決めてください。

ここでは止める板はガラスエポキシ製の物を使用してますが、素材は自分の好みで決めてください。

見るからに簡単な金具なのですが、今はもちろん市販されていません。この金具はバネのように弾力をもたせ、フォクストンの着脱をするために0.5mmの薄い真鍮板で作ります。そしてホックの出っ張りを入れて固定するため4mmの穴をあけるのですが、工作にはこんな簡単そうなところに思わぬ危険が隠れています。

ここに5mm厚と0.5mm厚の金属板があったとします。この板に直径4皿mの穴をあけようとしたとき、どちらのほうがあけやすいでしょう。ちょっと考えると薄いほうと思いがちですが、実はそうではありません。厚いほうは時間をかければハンドドリルでもいつかはあきます。しかし薄い金属板だと、ドリルが貫通しようとした瞬間、ドリルが材料に食い込み上部のほうへ急に持ちあげられたりして材料が変形したり、ひどい場合はドリルにからまって回転してしまい、材料を押さえていた手に思わぬケガをする危険があります。電動工具を用いて起こる事故の大半は、その危険な状態をイメージできないところから起きるのです。ですからここでは事故の少ない安全な方法を例として示してみたいと思います。

まず大きな板をしっかりと支えて先に穴をあけ、そのあとで必要なサイズにカット します。

まず大きな板をしっかりと支えて先に穴をあけ、そのあとで必要なサイズにカットします。

この場合は押し切りカッターを使っていますが、金切りばさみか、しっかりしたはさみで切ることができます。

この場合は押し切りカッターを使っていますが、金切りばさみか、しっかりしたはさみで切ることができます。

その後ペンチ等で途中を90°度に曲げてL字の形にしておきます。

その後ペンチ等で途中を90°度に曲げてL字の形にしておきます。

固定式鉱石検波器の製作

鉱石ラジオの要とも言うべき鉱石検波器を製作します。ここでは固定式のものを作ります。上記でダイオード使用の検波器を作ったのとほぼ同じ方法です。

材料:方鉛鉱の小さく割ったかたまり3~5 mmくらいのもの 1個・ホックのオス型のもの 2個・プラスチックの筒 外径10mm×35mmくらいのもの 1本・スプリング 筒の内径より少し細めのあまり強くないもの 1本(ここでは作ってみます)・取り付け金具 アルミのL字形押出材の15mmX15 mm 厚さ3mm長さ12mm

まずはダイオードで作った時のように、穴のあいた板の上などにホックを出っ張っ たほうを下にして安定させます。そしてハンダをハンダごてで溶かして入れます。次 に溶けてたまったハングの中にハンダごてを入れてハンダを液体にしておきながら、 ピンセットで鉱石をハンダの上に置き、少し押さえます。

まずはダイオードで作った時のように、穴のあいた板の上などにホックを出っ張ったほうを下にして安定させます。そしてハンダをハンダごてで溶かして入れます。次に溶けてたまったハングの中にハンダごてを入れてハンダを液体にしておきながら、ピンセットで鉱石をハンダの上に置き、少し押さえます。

1~ 2秒して鉱石も温まったら、ハンダごでをそこからはずし、ハンダが固まり鉱 石が安定するまでそのままピンセットで押さえておきます。

1~ 2秒して鉱石も温まったら、ハンダごでをそこからはずし、ハンダが固まり鉱石が安定するまでそのままピンセットで押さえておきます。

ハンダが冷えて固まれば作業は終了です。しかし、すぐに鉱石がはずれてしまうようなら、もう一度作業を繰り返してください。ただ、あまり鉱石を熱しすぎてしまうと、感度が落ちることがありますから注意してください。

鉱石は方鉛鉱のほか、黄鉄鉱や紅亜鉛鉱なども使用できます。いろいろな種類の鉱 石で作ったり、同じものでも複数作っておくとよいと思います。上は自作ケースにセットした検波器に使用する鉱石各種と下はやはり自作ケースにセットした台座付き検波器用鉱石各種。

鉱石は方鉛鉱のほか、黄鉄鉱や紅亜鉛鉱なども使用できます。いろいろな種類の鉱石で作ったり、同じものでも複数作っておくとよいと思います。上は自作ケースにセットした検波器に使用する鉱石各種と下はやはり自作ケースにセットした台座付き検波器用鉱石各種。

次にスプリングですが、内径より少し細めの市販のものを使います。材質はステンレスの線の細いものがいいでしょう。内径にくらべてあまり細いスプリングを使うと、スプリングの先が鉱石にうまく当たってくれないばかりか、中で曲がってしまって安定しません。作例では筒の内径が8mmで、市販のスプリングでぴったりのものがなかったので、作ることにしました。スプリングの材料は作例のようにタングステン線の0.2 mmくらいが理想ですが、入手がむずかしいのでステンレス線、あるいはニクロム線の細いもの(0.5 mmくらいまで)を使います。

スプリングを作るときは、この場合太さ6mmのネジにピッチに合わせて巻いてゆくと簡単にできます。

スプリングを作るときは、この場合太さ6mmのネジのピッチに合わせて巻いてゆくと簡単にできます。この写真では木の棒を使用。

内径より2まわりくらい小さいネジをゲージにします。手をはなすと少し広がりますので、あとは引っ張ったり押したりねじったりして大きさを合わせます。鉱石に当たるほうの端は、中心に尖った線の先がくるようにします。

鉱石のついたホックをパイプと瞬間接着剤で固定したあと、スプリングを入れ、蓋を開めるようにしてもう一方をホックで押さえ、セロテープで仮止めし、これまでにもしも自作したラジオがあれば、それで感度を確かめます。よい感度のときがくるまでスプリングの入れ方をいろいろと変え、よい感度が得られたときそのまま動かさずに接着剤で仮止めの部分を固定します。

鉱石のついたホックをパイプと瞬間接着剤で固定したあと、スプリングを入れ、蓋を開めるようにしてもう一方をホックで押さえ、セロテープで仮止めし、これまでにもしも自作したラジオがあれば、それで感度を確かめます。よい感度のときがくるまでスプリングの入れ方をいろいろと変え、よい感度が得られたときそのまま動かさずに接着剤で仮止めの部分を固定します。

ぼくらの鉱石ラジオ・小林健二

 

この検波器の取り付け金具は、アルミ製のL字棒を金ノコで切ってやすりで整えたあと、ドリルで本体につくほうに3mm、検波器のつくほうに4mmの穴をあけて作りました。

この検波器の取り付け金具は、アルミ製のL字棒を金ノコで切ってやすりで整えたあと、ドリルで本体につくほうに3mm、検波器のつくほうに4mmの穴をあけて作りました。

このようにして作った固定式鉱石検波器は、強く落としたりするとスプリングの位置が変わって感度を失うこともあります。そのようなことも考えて、昔は筒の中ほどに前もって2mmくらいの穴をあけておき、そこから針によって中のスプリングを動かして、感度のよい点に再び安定させたようです。

またいくつか作っておいて、いろいろ付け替えをして感度の違いを楽しんでみてください。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

HOME

KENJI KOBAYASHI

 

 

ソレノイドコイルの製作について

ソレノイドコイルとは、筒状の芯の上に導線を巻いた最もポピュラーなコイルのことです。

今回の材料です。

・コイルのボビン(直径7 cm 長さ10~12 cm) 1本(作例ではベークライトの筒ですが、このサイズに近い紙筒でも可)

・エナメル線(太さ0.6mm)30mほど(作例では緑色に染めた二重絹巻き線を使用)

・絶縁板としてマイカ(雲母)もしくはベークライトの薄い板(作例ではベークライトの厚さ0. 5mmを6mm X85mmに切ったものを用いました。竹串でもよいのですが、ある程度ハンダの熱に耐えるものが望ましいのです)。

・ロータリースイッチ 3個(1回線12接点タイプ)

ベークライトの筒(直径7cm長さ10-12cm),二重絹巻き線(太さ0.6mm長さ30m),ベークライトの細長い板(厚さ0.5mm,6x85mm),ロータリースイッチ3個(1回線12接点タイプ)

ベークライトの筒(直径7cm長さ10-12cm),二重絹巻き線(太さ0.6mm長さ30m),ベークライトの細長い板(厚さ0.5mm,6x85mm),ロータリースイッチ3個(1回線12接点タイプ)

まずコイルの巻き初めのところに線が通るほどの穴を2つあけ、線を巻きはじめます。このコイルのタップは線をボビンに巻きながら8回巻いてタップの場所にくるたびに絶縁板をスライドさせて押し入れてゆくようにして進めてゆきます。

線を8回筒に巻くごとに絶縁板を差し込んでまたぎ、とこれを繰り返します。

線を8回筒に巻くごとに絶縁板を差し込んでまたぎ、とこれを繰り返します。

タップが出るところは左右にあります。巻き初めから8回目、16回目、24回目というように8回ピッチでタップ位置がくるところと、最初のタップが12回目にきて、それから8回ピッチでタップがくるところです。それぞれのタップは12カ所出て巻き終わりとなり、そのあとに線はつづいて1回巻く毎にタップが12カ所出る部分がきで、全巻き数は8X12+12=108回となります。言葉や図で説明するとちょっと面倒のようですが、製作はそれほど大変ではありません。

これがコイルの巻き上がりです。

これがコイルの巻き上がりです。

タップの部分に写真では白い布が挟んであるのは、タップを出すところの目印にするためです。

それぞれのタップが出るところの被覆をはがし、写真の左上のタップ引出し部分のようにあらかじめ前ハンダをして、配線をするためのワイヤーをハンダ付けします。

それぞれのタップが出るところの被覆をはがし、写真の左上のタップ引出し部分のようにあらかじめ前ハンダをして、配線をするためのワイヤーをハンダ付けします。そしてコイルのタップの部分に配線用の線をハンダ付けしたところです。

コイルの線の初めと終わりの白い帯のようなラインは、タップを出すために下にくぐらせた絶縁板の端を押さえるためにタコ糸を巻いたもので、コイル全体の機械的安定性を高めるために昔の手巻きコイルにはときどき用いられていた方法です。

エナメル線でも二重絹巻き線でも単線ですので、あまり曲げたり伸ばしたり動かしたりしていると、途中で折れるように切れてしまったり、ハンダ付けしたところに力が加わってとれてしまったりするので、気をつけなければなりません。また1回毎の部分のハンダ付けをする際、先の尖ったナイフなどでこすってエナメルをはがし、位置をずらしながらハンダ付けをするとよいでしょう。

ロータリースイッチを内部パネルに取りつけ、4mm× 30mmのスペーサーを2本つないで60mmの長さとして使います。

ロータリースイッチを内部パネルに取りつけ、4mm× 30mmのスペーサーを2本つないで60mmの長さとして使います。

ロータリースイッチは写真で見るようにいろいろな形状があって使用する目的によって使い分けるとよいでしょう。

ロータリースイッチは写真で見るようにいろいろな形状があって使用する目的によって使い分けるとよいでしょう。

4mm× 60mmのスペーサーがあればそのほうがよく、また工作上配線のしやすい距離を得るためのものですので、細かい作業が得意な人は20mmくらいの狭いスペースでも配線ができると思います。スペースはたくさんあればあるほど工作は楽になりますが、その分こわれやすくなるかもしれません。

ロータリースイッチヘの配線手順

ロータリースイッチヘの配線手順

ロータリースイッチヘの配線は、まず余裕をもたせてコイノレにハンダ付けしてある線(10cmほど)をロータリースイッチの所定の位置まで指で持って合わせ、余分な部分を5mmほど残して長めに切り、先端の被覆をはがします。ピンセットなどで線をロータリースイッチのハンダ付けをする端子のところに運び、端子の穴に線を引っかけ、曲げて安定させてからハンダ付けをします。

このあと配線が正しいかどうか、ちゃんとハンダ付けができているかどうかを確かめて、コイル部分は完成です。

このあと配線が正しいかどうか、ちゃんとハンダ付けができているかどうかを確かめて、コイル部分は完成です。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

HOME

KENJI KOBAYASHI

 

 

スパイダーコイルの製作について

スパイダーコイルの製作

スパイダーコイルは、筒型のソレノイドコイルとくらべると、いかにも鉱石ラジオ的な雰囲気をもっています。ソレノイド型と比較して、かならずしもすべてのスパイダーコイルがクオリティの面で優れているというわけではありませんが、巻き数が増えるたびに直径も増えてゆく構造なのでインダクタンスの増加率が高く、小型に作ることができます。

現在ではこのスパイダーコイルの巻き枠だけを買い求めることは難しいので、やはり自作をしなければなりませんが、それほど困難なことではありません。しかも、昔よりももっと上等のスパイダーの巻き枠を作ることもできます。

というのは、型抜きによって作られていた昔の巻き枠は薄いものが多く、そのため線と線との距離がとれず、コイルが密着して巻かれてしまうので、発生するコンデンサー成分も多く、かえってコイルのQ(クオリティ)を下げてしまうこともあるからです。これは巻き枠の厚みを増やすことで改良できます。それに、自分で作るから大きさや形、羽の数(奇数であれば可)などを変えて、いろいろと実験ができます。昔のスパイダーの巻き枠は、内径が32~ 35 mmくらいが普通でしたが、もっと大きめの内径から始めれば、全体の巻き数を減らしても最初のタップからインダクタンスを稼げるようになります。

かつて売られていたコイルの巻き枠

かつて売られていたコイルの巻き枠

全体的に透明感のある素材で仕上げた自作ラジオ(検波器はフォックストン型のゲルマニュームダイオード使用)

全体的に透明感のある素材で仕上げた自作ラジオ(検波器はフォックストン型のゲルマニュームダイオード使用)

丸で囲ってある部分が今回作るスパイダーコイルの枠です。

丸で囲ってある部分が今回作るスパイダーコイルの枠です。

スパイダーコイルの巻き枠を作る

スパイダーコイルの羽の数と全体の大きさを決めて製図をします。たとえば内径が35 mm、外径が85 mmで羽の数が15枚の場合、それぞれの円を同心円に作図し、外周の円周を15等分します。

円周を15等分するのは、普通のコンパスでは少々大変なので比例コンパスを使います。

この比例コンパスのラインズの15のところに目盛りを合わせ、X型に開いて、大きく開くほうをその円の半径に合わせると、小さく開くほうがその15等分した円周のひとつの単位を示します。しかしながら特殊なコンパスは持っていないと思いますので、その時は上の画像(かつて売られていたスパイダーコイル枠をプリントしたり、工夫してみてください。)

この比例コンパスのラインズの15のところに目盛りを合わせ、X型に開いて、大きく開くほうをその円の半径に合わせると、小さく開くほうがその15等分した円周のひとつの単位を示します。しかしながらかなり特殊なコンパスのため、お持ちでない場合は上の画像(かつて売られていたスパイダーコイル枠や付録として掲載した下の図をプリントしたりと工夫してみてください。)

スパイダーコイルの巻枠の図(付録)

スパイダーコイルの巻枠の図(付録)

円周のプロットができたら、それをそれぞれの中心点と結んでおきます。

製図ができたら、それを直接貼ったり、カーボン紙をはさんでなぞったり、針で印をつけたりして厚紙に写します。

内側の円との交点を2~ 6mmくらいのポンチで抜いていきます(厚い場合は大きめの穴にする)。何枚か厚紙を貼り合わせた台紙の場合は、表と裏から少しずつポンチを打てばされいにできます。

内側の円との交点を2~ 6mmくらいのポンチで抜いていきます(厚い場合は大きめの穴にする)。何枚か厚紙を貼り合わせた台紙の場合は、表と裏から少しずつポンチを打てばきれいにできます。

外周部をサークルカッターもしくは普通のカッターなどでまるく切り取ります。 中心点から今あけた穴の両端を通り、外側の円へと向かう直線にそってカッターナイフなどで切り取ります。

外周部をサークルカッターもしくは普通のカッターなどでまるく切り取ります。
中心点から今あけた穴の両端を通り、外側の円へと向かう直線にそってカッターナイフなどで切り取ります。

またコイルを巻くときのことを考え、あまり手触りがトグトグしているようなら、巻き枠の角や切り口をサンドペーパーなどでなめらかにするとよいでしょう。

必ずしも必要というわけではありませんが、補強と絶縁性を高めるために全体をラッカーあるいはシェラックニスなどに浸し、よく乾燥させればさらに上等のものとなります。

必ずしも必要というわけではありませんが、補強と絶縁性を高めるために全体をラッカーあるいはシェラックニスなどに浸し、よく乾燥させればさらに上等のものとなります。

スパイダーコイルの巻き方

スパイダーコイルを巻いてゆきます。

今回は二重絹巻き線太さ0.4mmのもの使用

今回は二重絹巻き線太さ0.4mmのもの使用。まき枠もF.R.P.(強化プラスチック)をカットして作っています。

作例では見やすいように透明なF.R.P.(強化プラスチック)の1mm厚で作った巻き枠を使っています。F.RP.やベークライト板などの固いもので巻き枠を作る場合は、穴はドリルであけ、金ノコで切ります。スパイダーの巻き枠にコイルを巻く方向はどちらでもかまいません。ただ、 15本ある羽を2枚おきにとばしながら交互に線を交差するようにして巻いてゆきます。そして15周巻くごとに、タップを10 cmくらいねじって出してそれを4回繰り返します。4本目のタップが出たあとは巻き枠いっぱいまで線を巻きます。

この際、巻く回数はあまり厳密なものではありませんが、途中で何回巻いたのかわからなくなった場合は、どこか羽のところで見えている線の数に4を掛けると全体の巻き数がわかります。

これは巻き上がったスパイダーコイルです。

これは巻き上がったスパイダーコイルです。

上部のほうにタップが出ています。このように1つの羽のところにタップがそろっていると、工作上とでも都合がいいのですが、実はなかなかそうはなってくれません。

ですからこの場合はそれぞれのタップが出ている巻き数は15回日、30回日、46回日、62回日、101回日となっています。

このように大ざっぱでいいのだろうかと疑間が出てきそうですが、 1、2回巻き数が前後することはさほど問題ではないので、あまり巻き数を気にしないで結構です。4回日のタップの後、巻き終わりまでの巻き数も、 75回でも80回でもいいのです。

スパイダーコイルの巻き方

スパイダーコイルの巻き方。羽を二つ飛びに巻いていきます。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

HOME

KENJI KOBAYASHI

 

 

接合型鉱石検波器の製作について

接合型鉱石検波器について

接合型鉱石検波器はぼくが実験した中でもっとも感度のよいものを作ることができました。ただ、工作上は少々難点が多く、たとえば鉱石と鉱石とを接触させ、お互いを破損させることなく安定して状態を維持しつづけるとなると構造のしっかりとしたものを要求されるからです。感度がよいのにもかかわらず、鉱石検波器が単体で市販されていた時代ですら一般的にはあまり普及しなかったのは、このような理由からだと思われます。

昔の鉱石ラジオの接合型検波部分

昔の鉱石ラジオの接合型検波部分

市販されていた接合型鉱石検波器

市販されていた接合型鉱石検波器

接合型鉱石検波器の製作

自作接合型鉱石検波器のホルダーは金属の鋳造で作ってみました。

自作接合型鉱石検波器のホルダーは金属の鋳造で作ってみました。

通常、金属の鋳造は高温を必要とするので一般的ではないのですが、ここでは融点が摂氏75度という低融点の金属を使いました。これは工作材料を売っている店などで大手できます。お湯の中で溶けるわけですから扱いも安全で楽ですが、ただちょっと高価です。

通常、金属の鋳造は高温を必要とするので一般的ではないのですが、ここでは融点が摂氏75度という低融点の金属を使いました。これは工作材料を売っている店などで大手できます。お湯の中で溶けるわけですから扱いも安全で楽ですが、ただちょっと高価です。型はシリコンで作ったほうが精密なものを作れますが、たくさん作るわけではないので、木の板を彫り粗い型として鋳込んだあとにドリルやヤスリで仕上げました。固まると思いのほか硬くて丈夫でした。

ホルダーに固定する鉱石には斑銅鉱を使用して、あらかじめ[さぐり式鉱石検波器の製作について]の木の板の型で作った方法で鉱石をハンダに埋め込んだものを作ります。それを真鍮の丸板にネジ(4mmX15mm)をつけた上にのせ、細いバーナーで軽くあぶってくっつけました。似たようにして、さぐり式では針金の部分に当たるところは紅亜鉛鉱で作ります。

真鍮の丸板にネジ(4mmX15mm)をつけた上に斑銅鉱をハンダの台にセットしたものを乗せている状態

真鍮の丸板にネジ(4mmX15mm)をつけた上に斑銅鉱をハンダの台にセットしたものを乗せている状態

似たようにして、さぐり式では針金の部分に当たるところは紅亜鉛鉱で作ります。細いバーナーで軽くあぶってくっつけている状態。

似たようにして、さぐり式では針金の部分に当たるところは紅亜鉛鉱で作ります。細いバーナーで軽くあぶってくっつけている状態。

接合型鉱石検波器のパーツが揃ったところ

接合型鉱石検波器のパーツが揃ったところ

上のほうのガラス管の切り口が黒いのは、ゴムペーストが塗ってあるためです。ゴムペーストはゴム靴の底を修理するときなどにも使うもので、これを塗ることによって金属とガラスといった硬いものどうしでも安全にキチッと止まります。

使い方は、紅亜鉛鉱のついた棒を少し引いてゆっくりと鉱石どうしを当てて手をはなすと、スプリングの力でその位置に止まります。それを繰り返して感度のよいところを探すわけです。

2つの鉱石のギャップは斑銅鉱の側のネジで調整し、スプリングの強さは2つの鉱石が当たっているときに、その力で欠けたりしない程度の力に調整します。

ここで不思議な鉱石についてお話しします。

英国の1920年代のメーカー製でとても端正に造られています。検波器は接合 型で感度もよいものです。H195xW175× D175(mm)

英国の1920年代のメーカー製でとても端正に造られています。検波器は接合 型で感度もよいものです。H195xW175× D175(mm)

このように立派に見える昔の鉱石ラジオもたいていは中にコイル1つだけということが多く、かえって不思議な感じがすることがあります。

このように立派に見える昔の鉱石ラジオもたいていは中にコイル1つだけということが多く、かえって不思議な感じがすることがあります。

未知の鉱物

昔の鉱石受信機や鉱石検波器用の鉱物を見ていると、方鉛鉱と黄鉄鉱がいちばん多く、紅亜鉛鉱や人エガレナと呼ばれるものもときおり見かけます。しかしどう見ても思い当たる鉱物がないものに出会ったことが2例ほどありました。

ひとつは上の写真の鉱石ラジオの接合型検波器についている鉱物

ひとつは上の写真の鉱石ラジオの接合型検波器についている鉱石

もうひとつはさぐり式検波器用の替え鉱石の中にあったものです

もうひとつはさぐり式検波器用の替え鉱石の中にあったものです

共に人工結晶とは思いにくい天然鉱物の外観を持ちながらも半透明で、電気的にも導通があるのです。いろいろと鉱物関係の知人に相談したりしてみましたが結局分からず、最後にX線分析によって成分検索をしてもらったところ、前者はカドミウムの硫化物、後者は亜鉛の酸化物という結果が出ました。それぞれ1920年代のもので、当時の文献にはどちらも現れていない物質なので興味深く思いました(酸化亜鉛についても当時は天然の紅亜鉛鉱しか使用されていないことになっています)。 とりわけこんなに透過性のある硫化カドミウムの単結晶はおそらく天然ではなく、人工でも現代に至るまであまり報告のないところを見ると、当時から公開理論とは別に開発の現場ではいろいろな試みが行われていたと考えられます。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

HOME

KENJI KOBAYASHI