小林健二、琥珀 ← 前へ 次へ → コハクの中の蜘蛛 おそらく不意にだろう。彼は濃厚な樹脂の中に落ちてしまった。やがて彼を取り巻いていたものは、気の遠くなるような時間とともに、一つの化石樹脂となり、彼を閉じ込め続けている。朽ち果てることも許されず、彼が見続けなければならなかったその後の地球の歴史について、どのように語ってくれるだろう。彼の故郷である地球が、それこそ不意に、急激な変化を余儀なくされた「人間」という現象の上に、まだ結果を出さずにいてほしいのだけど。