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[すすめ!永遠の科学少年]

[サイラジオ:透質結晶受信機(PSYRADIOX:ICE CRYSTAL RECEIVER)] 木、合成樹脂、電子部品、他 (透質結晶が青く光りながら回転し、同時にラジオも受信する)

[サイラジオ:透質結晶受信機(PSYRADIOX:ICE CRYSTAL RECEIVER)]
木、合成樹脂、電子部品、他
(透質結晶が青く光りながら回転し、同時にラジオも受信する)

ー実験や工作は自分自身を見つめることでもあるんだ

小林さんはオブジェ的な魅力をもった作品の製作や、『ぼくらの鉱石ラジオ』をはじめとした著作を通して、実験、工作に対するこだわりの姿勢を貫いてきた。

小林健二「僕らの鉱石ラジオ」出版:筑摩書房

小林健二「ぼくらの鉱石ラジオ」出版:筑摩書房

小林健二「ぼくらの鉱石ラジオ」出版:筑摩書房

小林健二「ぼくらの鉱石ラジオ」出版:筑摩書房

「通常、日本語で”実験”といった場合、普通の人には、化学的な薬品の反応をみるといったような意味合いが強いかもしれない。だけどぼくは、”実験する”ということは、何かに向かい合って行こうとする姿勢みたいなものだと思う。つまり、人間が森羅万象を理解して行こうとする時に関わり合う”通路”、または”手続き”と言えばいいのかな。」

ー顕微鏡ひとつで、身の回りも世界が変わる

枯れた草に火をつけるということも、古代人にとっては、生きていく上での重要な”実験(試み)だった。だからみんなもあまり難しく考えないで、身近なところから始めてみてほしい、と小林さん。例えば、忙しい日々のさなか、ぽっかりと自分の時間がとれた時などに、机の上のものを顕微鏡で覗いて見るだけでもいい。

「新品の精密な顕微鏡を買おうものなら、下手な中古車ぐらいはかかるから、学童用の顕微鏡。または虫めがねでも十分。紙が細かい繊維でできていることを頭では知っていても、現実に目の当りにすると、多分驚くと思う。そういう新たな視点、見方から触発されたり、人生観が深まることだってあるからね。」

小林健二の自作プレパラートと顕微鏡

小林健二の自作プレパラートと顕微鏡

ー工作道具をいじっているだけで、心が安らぐ効果がある

「実験や工作に、あえて目標を定める必要はないんだ。ある意味では、自分自身と向き合うことでもあるんだから。例えば、サビた刃物を無心に研ぐだけで、気持ちが次第に楽になっていく。これは実際想像するよりはるかに効果的で、一度ためしてみる価値はあるよ。心が安らげるっていう受動的な立場でありながら、刃が研げるという能動的な結果も出る(笑)。」

小林さんはこうした実験、工作の醍醐味が味わえるようなキットを世に送り出している。中の材料からパッケージまで、オリジナル部品ばかりだ。品切れのものもあるが、今後のラインナップに期待したい。

鉱石ラジオキット[銀河1型] 6,000円(税抜き価格) 仕上がり寸法:H75XW190XD120mm 部品表 ケース/エナメル線/ツマミ(黒ベーク)/スパイダーコイル巻枠/鉱石ターミナル(赤2、黄1、緑1、青1)/ナット7個/ワッシャー(小)9枚/ワッシャー(大)4枚/バリコン/透明リング/ネジ(3×10/1個/バリコン用2個)/ドライバー/銅線 S字/鉱石検波器(本体+針)/説明書/クリスタルイヤフォン/シャフト/ベークカラー/ハンダ/サンドペーパー/ゲルマニウムダイオード キットの組み立てには、ハンダゴテやペンチなどの工具が必要の場合があります。 バリコン以外は鉱石ラジオ発足当時の原形をとどめるとも言えるキットです。黒色紙製スパイダーコイルにさぐり式検波器を装置しています。このさぐり式の鉱石ラジオは、最も象徴的な形式です。 この銀河通信社製鉱石ラジオは東洋に於いては始めて作られたさぐり式の鉱石ラジオキットです。当社では数種のさぐり式鉱石ラジオキットを製作しておりますが、安定性と感度を期待できる組立キットの1つと言えるでしょう。みなさんも、この結晶式受信機によってあなたの透明な通信を受け取ってください。(説明書より抜粋)

鉱石ラジオキット[銀河1型]
6,000円(税抜き価格)
仕上がり寸法:H75XW190XD120mm
部品表
ケース/エナメル線/ツマミ(黒ベーク)/スパイダーコイル巻枠/鉱石ターミナル(赤2、黄1、緑1、青1)/ナット7個/ワッシャー(小)9枚/ワッシャー(大)4枚/バリコン/透明リング/ネジ(3×10/1個/バリコン用2個)/ドライバー/銅線 S字/鉱石検波器(本体+針)/説明書/クリスタルイヤフォン/シャフト/ベークカラー/ハンダ/サンドペーパー/ゲルマニウムダイオード
キットの組み立てには、ハンダゴテやペンチなどの工具が必要の場合があります。
バリコン以外は鉱石ラジオ発足当時の原形をとどめるとも言えるキットです。黒色紙製スパイダーコイルにさぐり式検波器を装置しています。このさぐり式の鉱石ラジオは、最も象徴的な形式です。
「この銀河通信社製鉱石ラジオは東洋に於いては始めて作られたさぐり式の鉱石ラジオキットです。当社では数種のさぐり式鉱石ラジオキットを製作しておりますが、安定性と感度を期待できる組立キットの1つと言えるでしょう。みなさんも、この結晶式受信機によってあなたの透明な通信を受け取ってください。(説明書より抜粋)」

鉱石ラジオキット[銀河2型] 5,000円(税抜き価格) 仕上がり寸法:W11XD16XH9cm 部品表 ソレノイドコイル用紙筒 /エナメル線 /木の板 /バリコンセット(ポリバリコン+ツマミ)/鉱石検波器(本体+針)/クリスタルイヤフォン/鉱石ターミナル(黒2)/ハンダ/サンドペーパー /ゲルマニウムダイオード/画鋲 2個/銅線 S字/説明書/木工接着剤/鉱石ラジオ用ニス 尚、キットの組み立てには、ハンダゴテやペンチなどの工具が必要の場合があります。 バリコン以外は鉱石ラジオ発足当時の原形をとどめるとも言えるキットです。2型は紙筒ソレノイドコイルを使用し、さぐり式検波器を装置しています。このさぐり式の鉱石ラジオは、最も象徴的な形式ですが、今まで我国でキットとして発売されたことはありませんでした。当社でも初期に設計、デザインが仕上がった組立キットの1つです。 鉱石ラジオの構造が分かりやすく配置されており、子供から大人まで手作り感覚が楽しめるキットです。

鉱石ラジオキット[銀河2型]
5,000円(税抜き価格)
仕上がり寸法:W11XD16XH9cm
部品表
ソレノイドコイル用紙筒 /エナメル線 /木の板 /バリコンセット(ポリバリコン+ツマミ)/鉱石検波器(本体+針)/クリスタルイヤフォン/鉱石ターミナル(黒2)/ハンダ/サンドペーパー /ゲルマニウムダイオード/画鋲 2個/銅線 S字/説明書/木工接着剤/鉱石ラジオ用ニス
尚、キットの組み立てには、ハンダゴテやペンチなどの工具が必要の場合があります。
バリコン以外は鉱石ラジオ発足当時の原形をとどめるとも言えるキットです。2型は紙筒ソレノイドコイルを使用し、さぐり式検波器を装置しています。このさぐり式の鉱石ラジオは、最も象徴的な形式ですが、今まで我国でキットとして発売されたことはありませんでした。当社でも初期に設計、デザインが仕上がった組立キットの1つです。 鉱石ラジオの構造が分かりやすく配置されており、子供から大人まで手作り感覚が楽しめるキットです。

 

硝子結晶育成キット 2,500円(税抜き価格) パッケージサイズ:W14XH12XD18cm 約1週間から10日で母岩の上に高さ6cm前後の淡い緑色を帯びた結晶が群晶となって成長します。

硝子結晶育成キット
2,500円(税抜き価格)
パッケージサイズ:W14XH12XD18cm
約1週間から10日で母岩の上に高さ6cm前後の淡い緑色を帯びた結晶が群晶となって成長します。

6/4,11,19の小林健二トークの時に3回にわたって育成した「硝子結晶」

6/4,11,19の小林健二トークの時に3回にわたって育成した「硝子結晶」

「今は情報が溢れすぎているから、感覚が緩慢になっているところがある。エレガントなものや、繊細なものの現象があっても、それに気づかなかったりする。だからこそ、実験や工作をやることで、自分自身を見つめる機会があってもいい。鉋をかけた経験が一つあれば、神社や寺なんかの建築の細工に驚くこともあるかもしれない。そういうことに気づけたり、感動できる受け口は、いくらあってもいいんじゃないかな。」

*2001年のメディア記事を抜粋編集し、画像は新たに付加しております。また、キットのキャプションは銀河通信社サイトから転用しております。

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KENJI KOBAYASHI

6/11[小林健二Talk+WET]

小林健二 Talk [工作のヒント]+[不思議な世界]+[結晶育成] 会場:メガラニカ(Magallanica)

小林健二 Talk [工作のヒント]+[不思議な世界]+[結晶育成]
会場:メガラニカ(Magallanica)

6/11の小林健二トーク+WETは昨日で終了しました。

トークの風景

トークの風景

今回はガラス切りの工具の紹介からはじまり、実際にガラスをカットしてみます。そして小林によってよく仕立てられた鉋やノコギリ、ケヒキなど数点を説明しながらの作業実演です。ガラス切りといってもいろいろな形や種類があるものですね。

その後ドリンクや近所のイタリアレストランに注文したピザなどが届いた後は前回同様に歓談です。WETでは参加者同士の会話も弾み、形式的な取り決めが無い集いですので、各々のペースで残ったり、会場を後にしたりと自由に楽しまれていったのが印象的でした。

 

[夜たちの受信機 晶洞よりの呼びかけ 紅玉庭園 そしてサファイヤの書物] を見せているところ。

小林健二作品[夜たちの受信機 晶洞よりの呼びかけ 紅玉庭園そしてサファイヤの書物]を見せているところ。電気を使った作品の解説になると不思議なものばかりで、自然と身を乗り出していく参加者たち。

[夜たちの受信機 晶洞よりの呼びかけ 紅玉庭園 そしてサファイヤの書物] 「鉱石ラジオ」という言葉のイメージから製作された作品の一つ。音声に同調して部分的に結晶が白く明滅し、レンズに映る鉱物のみがゆっくりと回りながら赤く輝く。

[夜たちの受信機 晶洞よりの呼びかけ 紅玉庭園 そしてサファイヤの書物]
「鉱石ラジオ」という言葉のイメージから製作された作品の一つ。音声に同調して部分的に結晶が白く明滅し、レンズに映る鉱物のみがゆっくりと回りながら赤く輝く。

WET風景

WET風景

次回6/19は最終日です。 WETでは小林健二が中学高校生時代に自作した曲をギター演奏で歌うという、ミニミニオマケライブも追加されました。

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6/4[小林健二Talk+WET]

小林健二 Talk [工作のヒント]+[不思議な世界]+[結晶育成] 会場:メガラニカ(Magallanica)

小林健二 Talk [工作のヒント]+[不思議な世界]+[結晶育成]
会場:メガラニカ(Magallanica)

2016,6/4の小林健二トークが昨日終了しました。

小林の道具談義から始まり(今回はケヒキについてでした)、電気を使った作品などを参加者と共に楽しみ、結晶育成の手始めの作業を進め(最終日6/19には完成予定だそうです)、自然とWETへと流れていきます。人数限定でのトークショーですが、トークの後に参加者といろいろな話をしていくWET(ウイークエンド・イヴニング・トーク)が企画されました。

小林の話を聞くというだけのスタンスと違い、工作や道具への質問や実際ものを作っている人からは製作工程でのアドバイスを聞いたりなど、歓談する場面が多く見られ、とても有意義な試みであったと思われます。

2016,6/4のトーク風景

2016,6/4のトーク風景

[遠方結晶交信機] 別の場所にいる人々交信し合える装置。水晶のような結晶の表面にのみ、お互いの動画が映し出される作品。一つのトーク会場で紹介するため、今回は2mほど離れたいるが同じテーブルの上で実験。

[遠方結晶交信機]
別の場所にいる人々が交信し合える装置。水晶のような結晶の表面にのみ、お互いの動画が映し出される作品。今回は一つのトーク会場で紹介するため、2mほど離れていますが同じテーブルの上で実験。

WET風景

WET風景

 

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[結晶の世界]小林健二

小林健二自作結晶

小林健二自作結晶

幼い頃から透質のものが好きでした。さざれた硝子の破片や透明性さえあれば取りあえず何でも好きになったのです。

プラスチック製の宝石も消しゴムも、クラゲや下敷きでさえ、そのようなものたちを光に透かして見ているのが好きだったのです。ですから科学博物館で水晶と出合った時は、まさに心を奪われたという感じでした。

二十年くらい前「鉱石ラジオ」というものにのめり込んだ時期がありました。そんな折、工作を楽しんでいる中でクリスタルイヤフォンは自作できないものかしらと思ったのです。「クリスタル」というところに取り分け惹かれたのです。

それはちょうどミョウバンや塩の結晶を作るように、ロッシェル塩という物質で行うものなのですが、ぼくは当初の「圧電効果を供なう結晶」を作るということよりも、水溶液の中に析出してくる透明な結晶の方に不覚にも再び心を持って行かれてしまったのです。さすがにこの結晶は見つづけていても見る見る成長するということはありませんが、日に日にその変化を確認することはできます。やがては薬品問屋の方からも今月は何ですか?と言われる程多種の成分での結晶育成を試みるようになってしまいました。

透き通った赤や青、黄や紫、緑やピンクといった色々なものから、水晶の群晶のように無色の柱状のものもあれば、蛍石のように四角いものなど様々な形のものまで、まさに「安定した生活」を投げ打っての自己中心世界旅行真っ最中であったのです。

そんなある日偏光フィルターを使って結晶を接写している時に、結晶先端の溶液に靄のようにゆらいで見えるものを見た気がしました。一つの幻であったのも知れません。しかしそのイオンの流れのように見えたかも知れない何がしかの働きが、溶液中に結晶を析出させていることは間違いないことです。ギ酸ストロンチウム二水和物やクロム酸リチウム三ナトリウム六水和物、硫酸プラセオジム八水和物といった一般的にはおそらく聞き慣れない物質たちが、まるで天然世界の気の遠くなるような時間の中でなされる神秘の光景を、かいま見せてくれたように感じたのです。

それは無生物と言われる彼らの世界に何か美しい姿を現わす一つの技術や感性を想起させてくれたとも言えるのです。言い換えるのなら、感性という溶液の中で析出し育成してゆく技術とでもいうのでしょうか。

便利さや利益、ムダや競争とはかけ離れた、ただ美しいというだけの世界であっても、美しさとは何かといった一言では語りつくせない多様な要素を孕んでいると考えた時、自分を含む人の世は彼らからはどのように写っているのだろうと、ふと想ったりもしたのです。

結晶+撮影+文:小林健二(2005年のメディア掲載記事より編集)

小林健二自作結晶

小林健二自作結晶

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