基本的なゲルマラジオの製作

簡単な受信機がどのような作動をするのか確かめながら、かつて少年たちが夢見た受信機の製作へと少しずつ近づいていってみましょう。

基本のゲルマラジオ(プロジェクト1)

まずは鉱石ラジオの作動を確認するために、手近な材料とゲルマニウムダイオードを使ってゲルマラジオを作ってみましょう。

基本のゲルマラジオ(プロジェクト1)

基本のゲルマラジオ(プロジェクト1)

プロジェクト1の実体配線図

プロジェクト1の実体配線図

材料・ トイレットペーパーの芯 1本/ 15 cm角くらいの木の板 1枚/ 竹串 1本/ 画鋲 5つ/ エナメル線 20mほど/ クリスタルイヤフォン 1個/ グルマニウムダイオード 1本(使用する時、向きはどちらでもよい)/ サンドペーパー少々

材料・ トイレットペーパーの芯 1本/ 15 cm角くらいの木の板 1枚/ 竹串 1本/ 画鋲 5つ/ エナメル線 20mほど/ クリスタルイヤフォン 1個/ グルマニウムダイオード 1本(使用する時、向きはどちらでもよい)/ サンドペーパー少々

材料はこれでなければだめというわけではありませんので、家にある材料を利用してください。今回はハンダ付けをしないので、部品の固定や接合を安定させるために画鋲を使います。エナメル線は0.4~ 0.7mmくらいのもので、色は好きなものを使ってください(作例では0.5mmのものを使っています)。ダイオードはゲルマニウムタイプなら(lN60、 lN46、 lN34など)どれでもかまいません。

この工作では、ゲルマラジオから放送が聞こえるのを体験することがいちばんの目的ですから、接合部分さえきちんとすれば、コイルの巻き数が少々ちがったり、コイルの芯の太さが多少異なってもかまいません。

まずコイルの芯を作ります。 トイレットペーパーの芯に、焼きとり用の竹串か、割 り箸を細くしたようなものを、ボンドかセロテープで固定します。

まずコイルの芯を作ります。 トイレットペーパーの芯に、焼きとり用の竹串か、割 り箸を細くしたようなものを、ボンドかセロテープで固定します。

竹串をはさんで紙筒に2カ所穴をあけ、ちょうど竹串の下をくぐらせるように10~ 15 cmくらいエナメノン線を引き出しておいて、巻きはじめを固定します。

竹串をはさんで紙筒に2カ所穴をあけ、ちょうど竹串の下をくぐらせるように10~ 15 cmくらいエナメノン線を引き出しておいて、巻きはじめを固定します。

エナメル線はどちらでも巻きやすい方向へ、なるべくつめてしっかりと巻きます。

エナメル線はどちらでも巻きやすい方向へ、なるべくつめてしっかりと巻きます。

巻き数は120~ 150回くらいです。ひととおり巻きおわったら巻きはじめと同じようにして固定し、引き出し線を10~ 15 cmくらい残して切ります。 竹串によって出っ張った部分の被覆をサンドペーパーではがし、銅を露出させます。(作例では、見やすいように色のついた線を使用しています)

巻き数は120~ 150回くらいです。ひととおり巻きおわったら巻きはじめと同じようにして固定し、引き出し線を10~ 15 cmくらい残して切ります。
竹串によって出っ張った部分の被覆をサンドペーパーではがし、銅を露出させます。(作例では、見やすいように色のついた線を使用しています)

全体を組み立てます。

コイルの筒は画鋲で板にとめ、エナメル線の接続部分の被覆をサンドペーパーではがします。

コイルの筒は画鋲で板にとめ、エナメル線の接続部分の被覆をサンドペーパーではがします。

今回はハンダ付けをしないので、線と線をねじって接合します。ハンダ付けをするときは、下のようにハンダ付けをして出っ張りを切りますが、ねじっておけば再びはずすこともできます。

今回はハンダ付けをしないので、線と線をねじって接合します。

コイルから引き出した一方のエナメル線にクリスタルイヤフォンをつなぎます。もう一方にゲルマニウムダイオードをつなぎ、さらにダイオードを介してイヤフォンヘとつなぎます。ところどころに画鋲を打ってそれぞれの線を台に固定します。そして10 cmくらいの長さに切った銅線の両端の被覆をはがし、一方を折り曲げてねじり、コイルの被覆をはがした部分に当てる接点とし、もう一方はアンテナヘの線とからめて画鋲で留めます。コイルのダイオードとつながっていない方の端にアースヘの線をからめ、やはり画鋲で留めて出来上がりです。

アンテナやアースヘの配線については下記記事を参考にしてください。

アンテナやアース

このゲルマラジオは、分離があまりよくないので混信は多いのですが、ダイオードを使っているために失敗は少なく、アースがちゃんととれていれば、アンテナが小さくてもきっとどこかの放送は聞こえると思います。調整のしかたは、アンテナからの線とつながっているコイルの中ほどの線を被覆のあるところを持って、コイルの導体の出ているところにゆっくりと先を接して動かしていきます。いちばんよく聞こえるところを見つけたら、そこにセロテープなどで固定して放送を聞いてみてください。

コイルにタップを出して作るゲルマラジオ(プロジェクト2)

この簡単なしくみのゲルマラジオを、タップのあるコイルを使って作ってみましょう。

コイルにタップを出して作るゲルマラジオ(プロジェクト2)

コイルにタップを出して作るゲルマラジオ(プロジェクト2)

プロジェクト2の実体配線図

プロジェクト2の実体配線図

プロジェクト2 の回路図(ポリヴァリコンを取り付けた部分を取ればプロジェクト1の回路図となります。

プロジェクト2 の回路図(ポリヴァリコンを取り付けた部分を取ればプロジェクト1の回路図となります。)

材料はプロジェクト1と同じですが、必要ならばポリヴァリコン(単連290 pF)も用意しておいてください。

まずトイレットペーパーの芯に2つ穴をあけてそこにエナメル線を通し、10 cmくらい引き出して巻きはじめを固定します。10回巻いたところで竹申を横から入れて、 1回竹申をまたがせて巻き、また竹申をはずして10回巻きます。10回目、20回目、30回目と竹串をまたがせて巻くことでタップを出していきます

まずトイレットペーパーの芯に2つ穴をあけてそこにエナメル線を通し、10 cmくらい引き出して巻きはじめを固定します。10回巻いたところで竹申を横から入れて、 1回竹申をまたがせて巻き、また竹申をはずして10回巻きます。10回目、20回目、30回目と竹串をまたがせて巻くことでタップを出していきます。

初めのころはぐらぐらして巻きづらいですが、そのうちしっかりしてきます。作例では150回巻いて15カ所のタップを出してみました。

芯に穴を2つあけてエナメル線の巻きおわりを通して固定したあと、サンドペーパーでタップのところの被覆をはがしておきます。

芯に穴を2つあけてエナメル線の巻きおわりを通して固定したあと、サンドペーパーでタップのところの被覆をはがしておきます。

組み立て方はプロジェクト1と同じです。

また、写真のようなポリヴァリコンをこの回路に付加すれば、鉱石ラジオの代表 的なパーツがそろうことになります。

また、写真のようなポリヴァリコンをこの回路に付加すれば、鉱石ラジオの代表的なパーツがそろうことになります。左上は自作ツマミ、左下はポリヴァリコンにつけるシャフト、中央がポリヴァリコン、右上はシャフトをつけた状態、右下は目盛。

ハンダを使わないで配線をする場合、あらかじめ被覆をはがしたエナメル線をヴァ リコンの端子に巻きつけて、ちょうど10 cmくらいの2本の触角のように出しておいてから、コイルの両端に並列に取りつけます。この際、ヴァリコンの端子にはなるべくしっかりとつけたいのですが、端子といってもちょっと厚い箔状のものな ので、こわさないように様子を見ながら作業してください。

ハンダを使わないで配線をする場合、あらかじめ被覆をはがしたエナメル線をヴァリコンの端子に巻きつけて、ちょうど10 cmくらいの2本の触角のように出しておいてから、コイルの両端に並列に取りつけます。この際、ヴァリコンの端子にはなるべくしっかりとつけたいのですが、端子といってもちょっと厚い箔状のものなので、こわさないように様子を見ながら作業してください。

ヴァリコンをつけた場合は、ヴァリコンをちょうど中央(裏から見ると、回転する部分が半分隠れ、半分出ているところ)にセットしておいて、コイルの感度のいちばんいいタップをまず探します。そしてそこに線を固定して、ヴァリコンを動かしてみてください。選局も少しできるはずです。他のタップのところでも、いろいろ試してみてください。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

材料は東京秋葉原のパーツ屋さんで揃えることができますが、通販でしたら銀河通信社で「ゲルマラジオセット」が紹介されていて、基本的なパーツが手に入ります。

 

KENJI KOBAYASHI

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