前回の続きです。
鉱石ラジオとは、いったいどのような姿をした受信機だったのでしょう。ぼくのコレクションのなかから、当時のものをいくつかお目にかけたいと思います。
英国製でメーカーはわかりませんが、 1920年代のものです。内部には大きなコイルが1つとマイカの固定コンデンサーが入っています。検波器の内部には、見た目には方鉛鉱と思える人工鉱石が入っています。H180× W225× D152(mm)
検波器の拡大
この大きなコイルが特徴的なものは英国製です。メーカーは不詳ですが、一種のキットのようにして1930年代に米国でも同じタイプのものが多く造られました。
検波器には黄鉄鉱が使われています。H200X W213× D170(mm)
これはラジオの部品のパーツです。左のコイルはチューニングコイルでまん中の真鍮の工をうごかして使います。右のものは米国フィルモア社製のさぐり式検波器のキットです。
米国ブローニングドレイク社製で1920年代のものです。ヴァリオカップラーを使ってあります。検波器はガラス製のカップの付いたかわいらしいものです。H163× W152 X D178(mm)
検波器の拡大
英国の1920年代のメーカー製でとても端正に造られています。検波器は接合
型で感度もよいものです。
H195X175X175(mm)
このように立派に見える昔の鉱石ラジオもたいていは中にコイル1つだけということが多く、かえって不思議な感じがすることがあります。
英国でアマチュアによって1940年代に製作されたと思われるものです。パーツは自分の好きなものを集めて作ってあります。 H225× W233 X D163(mm)
検波器はとりわけ高級品で、鉱石には黄鉄鉱が使用してあります。
英国のアマチュアが1950年代に製作したと思われるものです。当時の金属製 のフィルムケースや試験管を使って作っています。中にはコイルと小さなヴァリ コンが入っています。H140× W130×D130(mm)
米国のミゼットラジオ社製のもので、 1939年から造られ始めたものです。中には木の角棒に巻いたコイルがあり、その本に穴をあけて中に検波器を埋め込んでありますが、外観はともかくメーカー製のイメージからは想像しにくいほど手作りの感じです (ヘッドフォンはフィルモア社製)。H53XW80×D48(mm)
フィルモア社製ヘッドフォンと接続したミゼットラジオ。
米国のミゼットラジオ社製のラジオの内部
これは1925年製の英国ジェコフォン“ジュニア”と呼ばれるものです。方鉛鉱を用いた検波器で精度高く造られています。通常300~ 500 mの波長に対応していますが、H75× W145× D206(mm)
内部はヴァリコンと木の棒を芯としたコイルによって構成されています。
検波器の下のU字型のショートプラグをはずし別売のコイルを差し込むと1600 m らいまでの波長にも対応できるようになっています。
*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。
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KENJI KOBAYASHI