タグ別アーカイブ: 日本の道具

木工具-鉋(その2)

東京田端にある中古道具を扱う店で道具を見る小林健二

作品を製作する上でも欠かせない道具たち。小林健二は性分としても道具好きです。

旅行先の蚤の市や国内の骨董市などで入手した道具たちは、大切に仕立てられ実際に使われています。刃が錆びてしまったり、半ば壊れてしまったような中古の鉋たちを、再び使えるようにする作業は、とても充実して気分転換にもなるそうです。

今回も引き続き、小林健二の道具から鉋をご紹介します。

典型的な西洋の鉋で、台は金属製のものです。(小林健二の道具より)

上の鉋から刃を外した画像。刃(カンナミ)の刃角や刃の出具合をネジで調節できるようになっていて、とても合理的な構造です。(小林健二の道具より)

これも古い西洋の鉋ですが、台は木製です。(小林健二の道具より)

上の鉋を分解したところ。これより刃の研ぎや調整などをして、使用できるように仕立てていきます。このような作業はとても充実すると小林健二は話します。(小林健二の道具より)

鉋にも色々な種類があります。一般的には英語でいうとplaner、つまり平面に削る道具ですが、例えばしゃくるように削るための鉋や、色々な断面に削るものなど様々で、断面の名前もついています。

平鉋に関して、日本の鉋の場合は刃の研ぎや出具合、台の調整など注意が必要です。

西洋の鉋はその辺りがネジで調節するなど合理的に出来ていて、国民性がうかがえます。

また古来から使用してきた木の種類によって道具が発展してきた経緯もあるため、民俗学的にも研究していくと面白いです。

色々な日本の鉋(小林健二の道具より)

西洋の鉋(主に断面や溝を削るもの)(小林健二の道具より)

両手で左右の柄を持ち、しゃくるように削っていきます。(小林健二の道具より)

断面を削る特殊な鉋。二丁ザシ(一番左)になっているものもあります。(小林健二の道具より)

上の鉋の裏面。このような断面に削れていきます。固定してある木を定規にして削っていくわけです。ちなみにオスメスのインロー面に削れる面取り鉋です。(小林健二の道具より)

面取り鉋の色々。(小林健二の道具より)

上の鉋の裏面で、刃の形から削れる断面がわかります。一番右の鉋は、小林健二自作の鉋です。(小林健二の道具より)

木工具ー鉋(その1)

KENJI KOBAYASHI

 

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

アーティストのアトリエと道具

小林健二に道具や材料、技法のことを語らせると、そのまま本が何冊かできてしまうほど。古道具屋や工具店をのぞくのが気分転換にもなるという。

”道具マニア”だが、ただ集めているのとは違い、実践が伴っている。使い込まれた彫刻刀、ノミ、かんな・・・懇意の職人さんから譲り受けたものもあれば、道具屋で発見した江戸のもの、自分で作ったものもある。「『藤白』と書いて”とうしろ”銘を持つ刃物もある。その洒落気が心憎い」と話す。

入り口から奥を臨む。この場所は小林健二が20代に文京区に構えた最初のアトリエとなります。

小林健二最初のアトリエ

旋盤などの機械や、金属加工用の様々な工具が置かれたアトリエにて。小林健二

金属をけずったり磨いたりするグラインダー類。「ぜひ、田端新町へ行って欲しい」と語る小林健二。明治通り沿いに、中古の電動工具を扱う店が並んでいて、いいものが格安で手に入る。新品1台の値段で写真のグラインダーが全部買えるくらいだ。「特にモーターを使った工具はいい。淘汰されている。モーターの周波数とベアリングがなじんできて、新品より音がうるさくない。」という。何台も揃えておくと、いちいち砥石を付け替えなくても済むので便利。

まるで作品のように美しい金工用のゲージ。やはり中古を購入。

絵の道具一式。絵の具を意味なく無駄にしたくないので、パレットはいつも綺麗にしておく主義。描くというより塗るに近い状態になると筆より指が活躍する。先端に曲玉のような石のついたスティックはバニッシャー(テーブルの上)。本来は金箔を磨くものでメノー棒と言われるが、小林健二は主として鉛の艶出しに使用。細いピンはブロックス社製アンバーニス(テーブルの上)。フランドル絵画の堅牢な絵肌を作ったと言われるもの。「真偽はわからないが夢があるから」と手に入れた。

小林健二の道具の引き出しの一部。かんなやノミ

小林健二の道具。彫刻刀の引き出し。

*1991年のメディア掲載記事より抜粋編集し、アトリエ全体の画像以外は記事より複写しております。現在、小林健二のアトリエにある道具の数もかなり増え、美しく手いれされた古今東西の道具たちは、今でも大切に扱われています。

記述にある田端新町に関する記事も下記にリンクしておきます。

ぼくの遊び場

現時点ではかなりお店の数も減っているようですが、興味があれば自転車などでまわってみるのも面白いかもしれません。というのは明治通り沿いに点在しているため、歩くには少々道のりがあるようです。この取材当時は、中古の機械を扱うお店が並んであったそうです。

KENJI KOBAYASHI

 

6/11[小林健二Talk+WET]

小林健二 Talk [工作のヒント]+[不思議な世界]+[結晶育成] 会場:メガラニカ(Magallanica)

小林健二 Talk [工作のヒント]+[不思議な世界]+[結晶育成]
会場:メガラニカ(Magallanica)

6/11の小林健二トーク+WETは昨日で終了しました。

トークの風景

トークの風景

今回はガラス切りの工具の紹介からはじまり、実際にガラスをカットしてみます。そして小林によってよく仕立てられた鉋やノコギリ、ケヒキなど数点を説明しながらの作業実演です。ガラス切りといってもいろいろな形や種類があるものですね。

その後ドリンクや近所のイタリアレストランに注文したピザなどが届いた後は前回同様に歓談です。WETでは参加者同士の会話も弾み、形式的な取り決めが無い集いですので、各々のペースで残ったり、会場を後にしたりと自由に楽しまれていったのが印象的でした。

 

[夜たちの受信機 晶洞よりの呼びかけ 紅玉庭園 そしてサファイヤの書物] を見せているところ。

小林健二作品[夜たちの受信機 晶洞よりの呼びかけ 紅玉庭園そしてサファイヤの書物]を見せているところ。電気を使った作品の解説になると不思議なものばかりで、自然と身を乗り出していく参加者たち。

[夜たちの受信機 晶洞よりの呼びかけ 紅玉庭園 そしてサファイヤの書物] 「鉱石ラジオ」という言葉のイメージから製作された作品の一つ。音声に同調して部分的に結晶が白く明滅し、レンズに映る鉱物のみがゆっくりと回りながら赤く輝く。

[夜たちの受信機 晶洞よりの呼びかけ 紅玉庭園 そしてサファイヤの書物]
「鉱石ラジオ」という言葉のイメージから製作された作品の一つ。音声に同調して部分的に結晶が白く明滅し、レンズに映る鉱物のみがゆっくりと回りながら赤く輝く。

WET風景

WET風景

次回6/19は最終日です。 WETでは小林健二が中学高校生時代に自作した曲をギター演奏で歌うという、ミニミニオマケライブも追加されました。

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小林健二 Talk [工作のヒント]+[不思議な世界]

小林健二 Talk [工作のヒント]+[不思議な世界]+[結晶育成]

2016年6月4日(土)・11日(土)・19日(日) 14:00-16:00(13:30開場)

*6/4・6/11・6/19は終了しました。

会費2,000円(1ドリンク付)

要予約(高校生以上)先着順にて定員(少人数を予定)に達した時点で締め切ります。

会場:メガラニカ(Magallanica)

ご予約はメールにて受け付けております。

magallanica@kenji-kobayashi.com

*小林健二の作品はいろいろな素材や技法で表現されています。今回はそれらの技法に関しての質問コーナーに多く時間を割く予定です。また、素材のひとつでもある電気を使用した作品の紹介や化学実験なども時間内で行う予定です。工作に興味のある方や、実際に工作をしている方々は是非ご参加いただければ幸いです。

同時に会場には珍しい和洋のカンナを中心に展示し、解説などをトークの中に盛り込めればと考えております。

6/4,11(土)トーク終了の16:00より約一時間、WET(ウイークエンド・イブニング・トーク)としてみなさんといろいろお話できる機会をつくりたいと考えております。

WETには[工作のヒント]にご参加いただいた方が引き続いてご希望によりお残りいただくようにしておりますので、WETのみの参加は受け付けておりません。

尚、WET参加費は無料とさせていただきます。

6/4,11,19は程同じ内容となります。ご都合のいい日程をWET参加あるいは否も含めてお知らせ下さい。こちらからの返信によりご予約が確定いたします。

3日間通してのご参加をご希望の場合は、3回分会費4,000円(初日にいただきますが、キャンセルの場合、返金できませんのでご了承ください)とさせていただきます。

以上宜しくお願い致します。

画像は小林健二作品[EUINFINIS(無極放電管の作品)]の一部

画像は小林健二作品[EUINFINIS(無極放電管の作品)]の一部

トークの時に展示予定の道具の一部

トークの時に展示予定の道具の一部

[美術家の木工具]

「PSYRADIOX(サイラジオ)」と名付けられた1987年の作品。アンティックラジオのように見えるが、筐体はもちろんプレートやツマミに至るまで自作されている。木工技術を使った作品の中でも小さなものではあるが、小林氏は趣味的にもこのような工作は好きであると言う。ちなみにこのラジオは受信した放送の音量によってガラスドーム内の結晶が光りながら明滅氏、また色の七色に変化する。

「PSYRADIOX(サイラジオ)」と名付けられた1987年の作品。アンティックラジオのように見えるが、筐体はもちろんプレートやツマミに至るまで自作されている。木工技術を使った作品の中でも小さなものではあるが、小林氏は趣味的にもこのような工作は好きであると言う。ちなみにこのラジオは受信した放送の音量によってガラスドーム内の結晶が光りながら明滅氏、また色の七色に変化する。

ー刃物との出会い

小林さんのアトリエには数多くの道具類がありますが、まず木工の手道具に興味を覚えたきっかけというのを教えてください。

小林:ぼくは生まれが下町だったからか、周りに職人さんが多かったんですよ。それに加えて父が刀をつくっていたから、ぼくと刃物との出会いはそこにありそうに思うでしょ。でも子供の頃から工作が好きで、プラモデルに夢中だったり、自分の中では自然と工具に親しんでいたんだよね。例えばエンピツを削ったりするときのボンナイフと言われる カミソリ製の廉価な刃物やトンボ印の彫刻刀なんかが、刃物との最初の出会いと言えるかしら。砥石でそれらの刃物を研いで切れ味が良くなった時の充実感は、今でも覚えていますよ。そして子供ながらによく使いこまれた道具や工具って美しいものだなって思っていました。

実家は電気関係の修理業も営んでいたんですが、まぁ言ってみれば町工場のようなもので、いろんな道具や工具があふれていたから、その影響があったかもしれない。小学校で夏休みなんかに工作の宿題が出ると、そこにあったあらゆる道具を駆使して凝ったものを作っていったんです。ぼくの担任の先生にどうやって作ったのかを説明しても、ボール盤は丸ノミなんていう単語はわかってもらえなかった(笑)。

もちろんそのコウバに木工具も置いてあり、刀のさやなんかを作ったりするためのカンナも含まれていた。父の知り合いだった関係で、中には今では貴重ないわゆる「名人」が作った鉋も多数あり、ぼくの手元に今も残っています。とにかく小さい時から工具にとても興味があって、自分なりに工夫したものもあったり、「三つ子の魂百までも」ってとこですかね(笑)。

古い木材を彫刻して作った1991年頃の作品。大きさはおよそ40cm,長さは2m強で一人で持ち上げるのはなかなか大変である。チェーンソーなどで加工する人も多いが、小林氏は手道具だけで仕上げたとのこと。

小林健二の作品

古い木材を彫刻して作った1991年頃の作品。大きさはおよそ40cm,長さは2m強で一人で持ち上げるのはなかなか大変である。チェーンソーなどで加工する人も多いが、小林氏は手道具だけで仕上げたとのこと。

上の作品を製作した時に使用した道具。大きさの違う手釿(てぢょうな)の刃幅は左から37,76,104mmで柄は自作。中ほどの大型のノミのようなものは「スリック」と呼ばれるもので、全長80cmくらいあり、重さも3kg以上ある。その重さで突き彫る道具であるとのこと。また上のように長い球状の作品では仕上げにスリックの上に乗っているドローナイフ(左)、右の銑(せん)も使う。

上の作品を製作した時に使用した道具。大きさの違う手釿(てぢょうな)の刃幅は左から37,76,104mmで柄は自作。中ほどの大型のノミのようなものは「スリック」と呼ばれるもので、全長80cmくらいあり、重さも3kg以上ある。その重さで突き彫る道具であるとのこと。また上のように長い球状の作品では仕上げにスリックの上に乗っているドローナイフ(左)、右の銑(せん)も使う。

もちろん彫刻にはノミ(チゼル)を使うわけだが、やはり彫る対象が大きいものだと、必然的に大きめになる。この写真は国外の製品であり、中ほどの幅が広く見えるノミは、フィッシュデイルチゼルと言って、刃幅76mmのもの。

もちろん彫刻にはノミ(チゼル)を使うわけだが、やはり彫る対象が大きいものだと、必然的に大きめになる。この写真は国外の製品であり、中ほどの幅が広く見えるノミは、フィッシュデイルチゼルと言って、刃幅76mmのもの。

こちらは日本のもの。右下の三本のノミは北海道(どさんこ)ノミとも言われ、堅い木材用のもので首が太く、強打にも耐えるように作られている。また変わった形のものは、表面の効果などに使われている。

こちらは日本のもの。右下の三本のノミは北海道(どさんこ)ノミとも言われ、堅い木材用のもので首が太く、強打にも耐えるように作られている。また変わった形のものは、表面の効果などに使われている。

ー若い時代を支えた額縁製作

その後美術家を目指されたわけですが、若い頃の生活を支えたものに木工もあったのですか?

小林:絵だけで最初から生活できるというと、いつだってそれが難しいよね。だから若い頃は体を使ったバイトなんかしました。でもガスやアークでの溶接や溶断なんかはそれはそれで勉強になった。その頃、趣味も兼ねて凝って作っていた額縁がもとで、額縁を作る仕事が舞い込んできました。それこそ伝統的な古典絵画が入りそうな額です。木を彫刻して下地を塗って、金箔を貼ってみがいたり、、、その他にもオリジナルの技法をこの時結構生み出したりもしました。鏡を入れるための額縁が欲しいとか、大使館で歴代大統領の写真を入れる額縁が必要とかで需要があり、そう言ったオーダーがぼくのところに来たわけです。もともと木工は好きだから熱も入ってやりましたね。額縁製作のために面取り鉋も収集して。見たこともないような面を取れる珍しいものを道具屋で見つけると、買わずにはいられなくてね(笑)。さらに自分でも、欲しい面を取れるように考えて面取り鉋自体を作っていました。本末転倒ですが、それを使うために額の断面をデザインしたりして(笑)。自分の制作活動が忙しくなってきて額縁からは離れましたが、今でも全ての鉋はきちんと手入れして使える状態になっています。

若き日の小林氏の生活を支えた額縁作りは、いろいろな木工技術の集合とも言える。木地から作る本格的なものなどでは、木組みや接合方などの技術や、とりわけ木彫する時には、数をこなすうちに学んだことがたくさんあったとのこと。

若き日の小林氏の生活を支えた額縁作りは、いろいろな木工技術の集合とも言える。木地から作る本格的なものなどでは、木組みや接合方などの技術や、とりわけ木彫する時には、数をこなすうちに学んだことがたくさんあったとのこと。

額縁用の入子面取り鉋など。研ぎにはコツがあるとのことだが、一丁で複雑な面が取れるので重宝したそうだ。

額縁用の入子面取り鉋など。研ぎにはコツがあるとのことだが、一丁で複雑な面が取れるので重宝したそうだ。

ー現在の木を使った造形活動について

現在製作している造形作品にも、木工の技術や道具が生かされているんですか?

小林:そうですね。作品には平面もあれば立体もありますが、イメージに出来る限り忠実になろうとすると、いろいろな表現方法や技法が必要になってきて、必然的に素材もさまざまで、その中でも木工は結構使ったりするんです。例えば古く見える木の作品とかは、それこそ鉋やノミなんかがないと製作できないし、古色をかけて昔のものみたいに見せる方法は、額縁製作時代に手に入れた技法の一つですね。ぼくは基本的に手を動かすのが好きだから、図面だけ書いてあとは外注するという方法は出来たらしたくない。やっぱりつくりながらリアルになってくるイメージもあるしね。でも大きな作品なんかは先ずは模型を作って構造なんかを確認し、それから本番に取り掛かるときもあります。美術館など大きなスペースでその会場で作る場合なんかは失敗ができないからね。

「ヨモツカド」1990年製作。まさに額縁の技術も用いて製作された作品。絵の部分は油彩で描かれ、その周りの鉛箔をはった部分がそれにあたる。作品自体は2m四方ほどの大きさのため、枠の細いところでも10cm以上はある。

「ヨモツカド」1990年製作。まさに額縁の技術も用いて製作された作品。絵の部分は油彩で描かれ、その周りの鉛箔をはった部分がそれにあたる。作品自体は2m四方ほどの大きさのため、枠の細いところでも10cm以上はある。

1991年の美術館での展示の一部。左の絵の重厚なパネル、中央の塔のようなもの、手前右の大きな立体は基本的に木工技術を中心に製作されている。塔のようなもので高さ7mもあり、このくらいの大きさになると、さすがに電動工具が活躍するそうだ。

1991年の美術館での展示の一部。左の絵の重厚なパネル、中央の塔のようなもの、手前右の大きな立体は基本的に木工技術を中心に製作されている。塔のようなもので高さ7mもあり、このくらいの大きさになると、さすがに電動工具が活躍するそうだ。

ー道具に求めるもの

小林さんは道具というものについて、自分との関わりをどう考えていますか?

小林:例えば「自分勝手」って言葉ばありますよね。悪い意味で使われることが多い言葉ですが、道具の仕様を示す言葉で「左勝手」「右勝手」というのがあることを考えると、「自分勝手」というのが自分仕様にカスタマイズされた道具をさす言葉だと思えば、別の見方も生まれてきそうでしょ。道具というのは自分の手に馴染んで愛着が生まれ、それがないと落ち着かないような、人間、特につくり手にとってそんな関係にあるんじゃないかな。ぼくが手元に置いているもので、絵の具を混ぜる時に使う棒があるんですけど、これはもともとなんてことない割り箸で、気にも留めないで混ぜ棒として使っていたんですが、使い終わって捨てるのももったい無い気がして、ウエスで拭いてまた違う絵の具を混ぜるのに使ったりしていたんですね。ある時ふと気がつくと、長い間に色々な絵の具が擦り込まれて、いい感じになっていたんですよ。割り箸に、使い込まれた道具としての美を見出したわけです(笑)。こうなると絵の具の準備をしようとする時にコレがないと落ち着かなくて、まずこの棒を探すことから始めます。暇な時などには持ちやすいように工夫したり、磨き込んで手入れをしてみたりしてね(笑)。ただの木切が使い手との歴史を重ねるうち、なくてはならない道具になっていたわけです。

道具には、長い歴史の中で様々な工夫と改良がなされ、伝えられてきたものが多くあります。人間との関わりの中で熟成されてきたモノな訳ですが、最終的にその道具に命を与えるのは使い手です。それぞれがその道具の持つ歴史を知った上で、自分の最も使いやすいものに調整していくことこそ、道具への本当の理解に繋がっていくのではないでしょうか。

普段木工手道具の中で最も使用しているスタンレーの鉋。No.1の小さなものからNo.7の大きなものまで写っている。

普段木工手道具の中で最も使用しているスタンレーの鉋。No.1の小さなものからNo.7の大きなものまで写っている。

俗に言う名品と呼ばれる鉋。父親が刀匠であり、その父と親交のあった落合宇一氏、石堂輝秀氏、などなど、多数の道具を譲り受けた。ただとても合板などに使用するわけにはいかないので、大切に使っていると言う。

俗に言う名品と呼ばれる鉋。父親が刀匠であり、その父と親交のあった落合宇一氏、石堂輝秀氏、などなど、多数の道具を譲り受けた。ただとても合板などに使用するわけにはいかないので、大切に使っていると言う。

若い頃から折につけ趣味で自作した小鉋など。鉋身は購入したり古い包丁やノミの刃を利用したりしているが、台は全て自作したそうだ。

若い頃から折につけ趣味で自作した小鉋など。鉋身は購入したり古い包丁やノミの刃を利用したりしているが、台は全て自作したそうだ。

やはりお気に入りの真鍮製の洋鉋各種。目的によって各々を使い分ける。使い込んだ道具の美しさが輝いている。

やはりお気に入りの真鍮製の洋鉋各種。目的によって各々を使い分ける。使い込んだ道具の美しさが輝いている。

コンパスプレーンと言う特殊な鉋。下端を供に外反りや内反り鉋として可変して使用することができる。上記の大きな塔のような作品の横スリにも使用したとのこと。

コンパスプレーンと言う特殊な鉋。下端を供に外反りや内反り鉋として可変して使用することができる。上記の大きな塔のような作品の横スリにも使用したとのこと。

鉄製の洋鉋の一例。木の板に古典技法によって絵を描くとき、パネルに引っかき傷をつけ、その上にのる下地の定着を良くする特殊なもの(左より2つ目)も含まれている。

鉄製の洋鉋の一例。木の板に古典技法によって絵を描くとき、パネルに引っかき傷をつけ、その上にのる下地の定着を良くする特殊なもの(左より2つ目)も含まれている。

音がほとんどせず、ギヤーによって作動させることができるジグソーの一種。 バヨネットソーの作動を説明している小林氏。確かに彼のアトリエにある電動工具はみな静かな作動音である。彼に言わせると、考えながら作業するのに音が大きな工具では使いにくいからということだ。

音がほとんどせず、ギヤーによって作動させることができるジグソーの一種。 バヨネットソーの作動を説明している小林氏。確かに彼のアトリエにある電動工具はみな静かな作動音である。彼に言わせると、考えながら作業するのに音が大きな工具では使いにくいからということだ。

*2005年のメディア記事より抜粋編集しております。

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KENJI KOBAYASHI

 

砥石と研ぎ用具

余暇のある時や休日だけに出現するものであるにせよ、専用の研ぎ場があるというのは工作をするものにとって幸せなことです。自分なりに工夫を重ねながら研究を深めてゆくのは、何よりも楽しみを感じさせてくれるでしょう。

余暇のある時や休日だけに出現するものであるにせよ、専用の研ぎ場があるというのは工作をするものにとって幸せなことです。自分なりに工夫を重ねながら研究を深めてゆくのは、何よりも楽しみを感じさせてくれるでしょう。

研ぐということ

「研ぎ澄ます」という言葉があります。これはまさに刃物などを一点の曇りもないように研ぎ上げることを表わしていますが、同時に研ぎ上げている者の心までも澄みわたらせるといったニュアンスも持っています。実際、刃物がスッキリと研ぎ上がった時は本当に気持のよいもので、研ぎ上がってゆく過程でも心が少しづつ落ち着いてゆくものです。水で研ぐということが、とりわけ爽やかな印象を与えるのでしょう。これらの研ぎに対する精神的な側面について、我が国では独自の文化と考えがちなところがあります。しかし一般的には欧米においては普及していて、かえって日本の方が失いかけている文化といっても過言ではないでしょう。なぜかと言えば、単純に日本では刃物を研ぐという生活慣習が現在失われつつあるからです。只、このように「失われる」と書いてしまうと、悲しい事柄のように思えてしまいますが、これから趣味の工作を楽しもうとする中で、自分愛用の刃物たちを研ぎ上げてゆく経験ができると考えれば、ワクワクするところが多いでしょう。よく本職の料理人が刃物の仕立てが重要と言われるのは、単に切れ味をよくするという意味だけではないように、書家の人たちもまた硯に向かって墨を磨るのも、これから行う行為をよりイメージするのに重要なことと考えるのでしょう。まさに工作をするために刃物を研ぎ上げるということは、気持を整えたりウォーミングアップする上で、大切な準備となることでしょう。さらに付け加えて言うならば、研ぎをいつもしている人は刃物に触れ慣れているからか、刃物によるケガが少なくなることも事実です。また研ぎをする上でいくつか大切なことがあります。それは刃物の構造やその仕組みや働きを知ることです。ただがむしゃらに砥石で研いでみても、よい刃が付くわけではありません。それぞれの目的にあった刃物の知識と、刃が付くということはどういうことかという概念を理解することが重要になります。そしてまずは実際に刃物を研ぐための用具などの準備が必要となってくるでしょう。

簡易な研ぎ場を作る。

どのようにすばらし刃物や砥石、あるいはやり遂げようという意志があっても、それらが発揮できる状態にないならば、気持よく研ぎをすることはできません。そこで研ぎ場が必要となりますが、大掛かりな行動に出ると家族から追放される人もでてくるかも知れません。ですからあくまでも工作を楽しみながら少しづつ整えていくように考えてみましょう。だいたいどの家にもステンレスのシンクがあると仮定して、そこに掛け橋のように板で砥石をのせる台を作り、そこを研ぎ場とするのです。この方法はそれまで日本では研ぎは一般的に地面で行っていましたが、戦後流し場が普及してからよく使われた方法です。この研ぎ橋を作る上で一番考えなければならないのは、なるべくしっかりとしていて、砥石が動かないように固定できるということです。そしてまた研いだ後の研ぎ汁に含まれる石質の水分などがシンクの下のパイプを詰まらせてしまわないように、配慮することも大事でしょう。また、砥石について興味を持つ方がいても不思議ではなく、ぼく自身地質学的興味も手伝い、百種以上の砥石を持っています。しかし、ハナからこのようなところに足を踏み入れるのは、はなはだ危険なことなので、まずは人工の中砥(キングの800番~1200番くらい)を一本用意することをお勧めします。砥石の魅力について語るのはまた別の機会にまわすとして、とりあえず入手しやすいもので研ぎ場の環境を整えてゆきましょう。

裏押し裏出しについて

日本の刃物は独自な構造をしており、これは情報が世界に行き渡った現在、各国方面から注目されまた踏襲されはじめてもいるものです。それは大別して二つの要素があり、一つは地金と刃金という軟硬2種の鋼を合わせて作ってあるということです。この方法ですと刃金の部分をより硬くすることができ、また研ぎを楽にすることができます。すべてが硬い鋼でできていると、薄く作らなければとても研ぐことはできませんし、平面を保って研ぐにはジクを工夫しなければフリーハンドでの研摩は難しくなります。また柔らかい地金を厚くすることで、研摩面が広くとれ、刃の平面性を保ち研ぎやすくしますし、後で説明する「裏出し」のような技法も使えるのです。もう一つは「裏」があるということです。工作に使うのみや鉋の刃には「裏すき」という部分があって、それが刃物の定木面としての平面性を保ちやすくしているのです。ともあれ刃物の研ぎをすることで学ぶことは多く、刃物自身に最も近く触れる行為でもあるため、いろいろな面で感覚を高めてくれるでしょう。そして研ぎを上手に行うコツのようなものがあるとしたら、それは只々ゆったりとした気持で時間や手ごたえに逆らわないということかも知れません。無心とはまさにぴったりの言葉でしょう。

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もちろん簡単なオケなどの廃物を利用したり、工作の好きな方はこのような研ぎ桶を作ってみても楽しいでしょう。

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砥石に台をつける最大の理由の一つは、砥石を固定することですが、この例のように保管する時など砥石同志がぶつかって割れたりするのを防ぐ保護もかねる場合があります。右は薄くなった砥石に木を貼り足しています。

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また左のように幅がとても広かったり、右のようにかたまり状であった場合も台をつけることで研ぎを安定して行う工夫をすることができます。

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後で説明しますが、砥石の中には割れ易い種類のものがあり、そんな時は砥石の周囲をうるしなどで補強したりしますが、直接台木とくっつけてしまう方法もあります。

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仕上げ砥石の中には高価なものがあり、それらはまた比較的厚みが薄いものもあります。その場合何かの衝撃で割れてしまうので、台につけておきます。

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これは一つの趣味としての例ですが、箱状の引き出し付き砥石台です。箱全体はうるしで砥石とともに固めてあり、小さな名倉砥石がはめ込まれています。

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引き出しの中には和剃刀が入っていて、下の板を180度回転させると下板が大きくなって安定するように工夫しています。

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これは油砥石で、どこの国でも専用のケースや箱などに入れておきます。それは保護のためと油がにじんで他を汚さないためです。

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フタを開いたところです。左のような不定形のものは木をその形に凹型に彫り、丸いタイプは丸く切った板を砥石の形に地透きにしてへこまして皮を貼り、厚紙をうるしで固めてカバーとしたり、それぞれ自作しました。

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研ぎ橋の製作

それではシンクで使う研ぎ橋を作ってみましょう。あまりに簡単な工作について丁寧に説明しすぎるようにみえますが、いかなる高度な工作も結局はこのように簡単な段取りに分けることができると考えれば、難しい工作はなくなるわけです。まず適切な木の板を実際シンクに取り付ける位置にしるしを付けます。

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長さを切り整えた後、ひっかかりとなる落とし込みの部分をノコギリで切ります。切り欠きが多少ななめになっているのは、 シンクのフチが内側に少し傾斜しているのに合わせたからです。

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実際にシンクに合わせてみたところです。少しわざとらしいですが4-5mmほど隙間があります。これでは研ぐ時に前後の方向に力がかかるのでガタついてしまいます。

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そこで隙間の部分に木を足してみますが、接着剤を用いるならもちろん耐水性のものです。またやわらかい木を木クギで止めてもいいでしょう。その時付ける木は多少大きめにあつらえておきます。

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充分に接着剤を乾かしてしっかり付いているのを確認したら、ノコギリで出っ張った部分を切り落とします。

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このように少しづつゆっくりと工作していきましょう。いろいろな行程を実用的に急いで進めなくてはならないわけではなく、心ゆくまで気に入ったように仕上げてゆくことこそ趣味の楽しさでしょう。

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この出っ張ったところもそのままでもよいのですが、鉋やくぎ引き鋸などで平らにしてもよいです。

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せっかく付け木までしたのですからここでノミや鉋で削りすぎてはいけません。シンクに合わせながらゆっくりと作業しましょう。少し押すとぴったり入るくらいが適当です。

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次に上に乗せる砥石によって止め木の位置を決めます。砥石がいくつかある場合は一番長いものに合わせ、それよりも短いものはくさびで固定すればよいと思います。

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止め木を当てた位置にしるしをスコヤで付けた後、ケヒキで止め木の半分くらいの位置にしるしを付けます。

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研ぎ橋の上部に付けた止め木の墨線より内側にハの字になるようにほんの少し片方が狭くなるようにノコギリで必要な深さまで切り込みます。

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少し狭くなった方から広い方へと向かってノミで切り込んだところまで木を彫り取ります。

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最後はウスノミなどで仕上げます。

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止め木を仮に差し込んでその深さのところまでしるしを付けます。この時まだ止め木は長いままです。

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その線のところを多少くさび形になるように鉋やノミでわずかに削ります。作例では相決(あいじゃくり)鉋を使っていますが、このような工作専用のものです。

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加工が終った止め木をゆっくりと押し込んでゆきます。そして少し長め(2-3mm程)のところで切って面を取っておきます。

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全体の角ばったところの面も取って出来上がりです。砥石を研ぎ橋の上に乗せてガタがないかどうか確かめて、もし手を加える必要があったら、木を濡らしてしまう前に手を入れておきましょう。

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研ぎ橋が仕上がれば実際に使う砥石を付けてその砥面(とづら)を調整します。水をかけながら平面の出ている金剛砂砥石などで平らにします。

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専門に砥石の面直し用に市販されているものもあります。数本以上の砥石を持つようでしたら、このような砥面直しを持っているといいでしょう。

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さあこれで研ぎにいつでも入れる状態となりました。

裏押し

鉋については他にウラスキのあるノミ等と比べても、裏押しという作業は大切な研ぎ行程の一つとなります。つまり鉋身(かんなみ)の裏側をきちっと平面にしておく行程です。写真は上部左より竹製2つ、ガラス製2つでそれぞれ金剛砂が入っていて、次に全体の表面を整える砥石、水の入った器と匙、その下が金板でその下が押え木です。

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専用の金板が売られています。四隅に足のあるものやネジで下木に止めたりするものといくつかありますが、好きなものを求めましょう。

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下木は幅があると手が当たり使いづらく、高さはあった方が使いやすいでしょう。また金板のウラにはうるしやカシューを塗ってサビないように加工します。

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まず金板の表面を整えますが、砥石は中砥くらいの小さなもので充分です。金板と水となじませる意味もあります。

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金板が安定し動かないように手ぬぐいなどを水で濡らしたものを下にしいて、まず耳かき4-5杯くらいの量の金剛砂をとり、金板の上に出します。

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同量の水で軽くなじませておきますが、これからの作業がはじめての方は量を少なめにしたもので感じをつかむといいでしょう。只、もう一度作業する時はよく水洗いをし、残った金剛砂がないようにした上で行うといいでしょう。

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力を入れて裏押しはするものなので、刃先の方に力が行くように押え木を使います。最初は金剛砂もあらくザリザリっとしますが、除々に細かくなっていきます。この時なるべく途中で様子を見たりしないで一息に水気がなくなるまで押し切るのがコツです。

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裏が平面となり段々と鏡のようになって行きます。ゆっくりとなるべく均一に力を強くかけて行います。

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充分に平面が確保できたと感じたら、次に水だけでカラ押しをします。金板に先程と同じくらいの水を取り準備します。

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押し木を使う程ではないにせよ、少し力を入れて安定したストロークで時間をかけて、水がなくなり金板が多少熱くなるまでこの作業を中断せずに続けます。

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裏が仕上がった状態です。鏡のようになってそこに映り込んだものに歪みがなく、まっすぐになっていれば出来上がりです。

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刃の裏出し

写真のような裏になった鉋身を「裏切れしている」と言います。こうなってしまうとちゃんと木を削ったりすることができません。これをもとのような裏の状態にもどす一連の作業を「裏出しをする」と言います。

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用意にはレール台や金床のように安定した台となるもの、クランプなどの鉋身をとめるもの(慣れてくるとあまり必要はありません)。刃をいためない為の鉛やハンダなどの薄い金属板、ポンチとハンマーや玄能などです。

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ポンチやくぎしめの先端はあらかじめ鋭く研いでおきます。

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この裏出しの作業をハンマーで刃を打ちまげるように勘違いされている方がいますが、そのような方法でこの硬い刃を変形させることはできません。仮にまがっても後で割れてしまうことでしょう。あくまでも刃の幅の半分くらいから刃の近くまでの部分を軽く何回も少しづつ叩いていきます。この時刃の部分を叩くと割れてしまうので、決してしてはいけません。

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気長に地金の部分を叩いてゆくと除々にその部分が伸びて、鋼の部分を押す事で鋼が裏の方へと向いて行きます。

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ここまで出来たら裏押しをします。すると今まで裏切れしていたところに裏が出て来ます。この裏出しという作業はあまり出くわすことではありませんが、その理屈を理解しておくことは大事だと思います。

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砥石の割れ止め

これはとても顕著な例ですが、この砥石が頁岩(けつがん)のため、時によって天然砥石はあっさりと割れてしまいます。この他凝灰岩、砂岩などの砥石にも割れ易いものがいくつかあり、そのような場合は割れ止めを施すことになります。

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これはあくまでも割れ止めの一例ですが、側面を布とうるしで固めるものです。写真では地固め用にくいつきをよくするためのカシューの下地を用意しますが、最初の層は固めの一号の方がいいでしょう。

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竹や木のヘラで砥石の側面に押し込むようによく伸ばしていきます。一日くらいおいて乾いてはもう一度というようにして2-3度するといいでしょう。

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さらに数日完全に乾かしてから次の作業に移ると理想的です。また砥石の下面が平らでないものは、この時に歯科用の硬石膏などで平らにしておくといいでしょう。

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耐水ペーパーの100-150番くらいで丁寧に研ぎ上げていきます。

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この例では製本用の麻布を使いましたが、このようになるべく強くまた目の開いた布を幅に切り、部分的に瞬間接着剤などでとめておきます。

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カシューの下地二号くらいを隙間に押し込むようにヘラで塗っていきます。

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一回で塗りきろうとはせず、乾いたらまたヘラで塗り込めるようにしてゆっくりと丁寧に作業します。

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それが乾燥したら水とぎをして、次にカシューかうるしなどで数度上塗りをして出来上がりです。

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割れ止めをした砥石の例。上より浄教寺砥、伊予砥、小さな対馬砥、そして今回の例とした陸前東上砥石です。これらはそれぞれ多少割れ止めの技法が異なり、たとえば伊予砥は和紙をうるしで固めておこないます。

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一般的ではないかも知れませんが、ダイアモンドブレードを取り付けたバンドソーで、砥石を好きな大きさにカットしているところです。もう既に割れてしまったり小さくなってしまったものを用います。

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また専門的な機械を使用しなくても、水をかけながらゆっくりと金ノコで切っても薄いものなら簡単にトリミングできますし、最近では金ノコで使用できるダイアモンドブレードも売っています。

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好きな大きさに整えた砥石の上部は耐水ペーパーに木をあてておろすと、必要な丸みを出すことが出来ます。

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それらを適当な木の上に乗せ使い易い場所を決定したら、その幅で彫り込みます。この時あまり薄いものはピッタリの大きさに彫ると、押し込んで入れる時に砥石が割れてしまうので、後で接着すると考え少し大きめに彫っておきます。

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この砥石を木の板に付けるには、うるしに砥の粉を加えて練ったものか、エポキシ系接着剤を使います。その場合も砥の粉をまぜると流れることなくパテ状になり、また色みも合うのでいいでしょう。

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凸とともに凹も作りました。凹の形に砥石を整えるのは、ドリルなど丸い棒や丸めた板の端などに耐水ペーパーを巻いて行います。また当たって砥石が欠けてしまわないように木などでカバーを作るといいでしょう。

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研ぎ上がった後には油を引くことが大切です。研いだばかりの刃物は酸化皮膜がなくとても錆び易いからです。写真左上は弁柄(ベンガラ)と練った椿油を未晒しの綿にしみ込ませたもので、箸などで塗る伝統的なもので、スポイト付きの油びんや小筆を入れた油びんも重宝します。これらの場合は茶色のびんがよいでしょう。また竹などに油をしみ込ませたガーゼを丸めハンドルを付けたものは、研ぎ上げ後すぐにとりあえず油を引く時に便利です。

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また研ぎ上げの時にノミや鉋などの刃のまわりをきれいにするために、小さなウズクリ状のもので研ぎ汁にこの砥の粉を加えてまわりを擦るときれいに仕上がります。写真のものはパキンの切りワラです。

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天然砥石のいろいろ

 

小林健二(写真+文)2004年

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