タグ別アーカイブ: 旋盤

初めての模型用工作機械

ベルメックスのショールームを訪ねて

ベルメックスインターナショナルのショールーム内部

ベルメックスで紹介している工作の洋書。小林健二は[WORKSHOP PRACTIS SERIES]をほとんど揃えている。

ぼくがはじめてベルメックスインターナショナルへ行ったのは、かれこれ20年近く前になります。それまでは経済的事情から中古機械を入手していました。ところが仕事上どうしても棒状の挽物を作らなくてはならなくなり、いつもペンチやドリルなどを売ってもらっていたお店に「それくらいのサイズの木工旋盤なら」と日本橋のベルメックスを紹介されたのです。

ベルメックスは今も当時も高級そうな立派な工作機械が整然と並んでいて、その頃お金にあまり縁のない人間にとって、場違いな気がするほどでした。

その素人のぼくに丁寧に対応してくれたのが、何を隠そうそこの社長であったというわけです。一時間後ぼくは工作機械購入の初体験をしたのですが、それはまさに機械と呼ぶのにふさわしく、芯間1100mm、振りが350mmの鋳鉄製で、重量200k議場の木工旋盤でした。にもかかわらず、とても廉価だった記憶があり、それ以来勝手にゴヒイキという次第です。

ぼく自身その後バンドソー、グラインダー、12Vの溶接器、ベンダー、ベルトサンダー、動力用ベルトサンダー、小型高速ボール盤などなど・・・細かいものを入れると数十に及ぶ機械を購入させていただきました。

小林健二が初めて手にした大型木工旋盤。ベンダーも下に見える。

小林健二の木工旋盤が置いてある壁に設置された自作の棚に、バイトなどが使い勝手がいいように並べられている。

ここのショールームの良さは、興味ある機械や工具を直接試すことが」できるということです。まだ機械にあまり慣れていない初心者にとっては、このことはとても重要で、大抵購入した後でもう少し大きかった方が・・とか、その逆とか・・、あるいは違うタイプのものの方が良かったと気づくことがあるからです。また金工系の洋書も扱っていて、内容を確認してから買うことができるのも嬉しいことです。

多種色々なキットや小型から大型の機械もあり、廉価なので近くに行かれた折には立ち寄られるといいでしょう。なお、ホームページも充実していますから、こちらものぞいてみてください。独自オークションも行なっています。

 

ベルメックスインターナショナル

地下鉄日比谷線小伝馬町駅近く、江戸通りに面している。http://www.bellmex.com

 

*2005年のメディア掲載記事を抜粋編集し、上から2枚目までの画像は記事の複写、それ以外の画像は新たに付加しています。

 

KENJI KOBAYASHI

手道具と電動工具1

趣味の工作をするために専用のスペースを確保するということは、なかなか難しいことでしょう。でも少しづつでも工具を入手し、また使いやすいように工夫するのは楽しいことです。左の写真はボール盤とベルトサンダーです。

趣味の工作をするために専用のスペースを確保するということは、なかなか難しいことでしょう。でも少しづつでも工具を入手し、また使いやすいように工夫するのは楽しいことです。

手道具と電動工具

趣味として工作をするということはとても楽しいことです。日々の日常の中で自分が作りたいと思うことがらについて考えたり、またその内容や目的を深く知ってみようとするうちに、今までの自分には無かったような価値観を理解できるようになったりして、多少でも視界が広がったと感じる時などうれしい気持ちになったりもします。ぼくが工作に熱中しはじめた中学や高校生の頃は、主に手道具ばかりを使用していたので、電動工具についてはあまり興味を感じていませんでした。その後工作を進めていく内に手道具だけでは作ることが出来づらい製作行程に出合ったりする事多くなって、だんだんと電動工具の必要性や必然性を思うようになりました。でも実際に電動工具を使ったりするまでには、いくつかの障壁がりました。一つには騒音です。近所で家が建つ時など大工さんが電動カンナなんかを使っていると、あまりのその音の大きさに恐ろしささえ感じる程だったので、どうも積極的になれないところがあったのです。それともう一つには経済的な面で、まだ学生の感覚では電動ドリルでさえ高価なものだったからです。このような問題の背景には、ぼくが電動工具をそれまであまり使った経験がなかったことが一番大きかったかも知れません。つまりどのような目的にどのような工具が適切か、またそれぞれの工具にはどのような特徴があって、何ができるのかがよくつかめていなかったせいがあります。事実、電動工具は注意を怠ったり使用法が適切でなかったりすると、思わぬ事故になったりします。しかしお店に入って「試しに使わせてください」とはなかなか言えるものではありません。そんな折、中古工具を売っている所があると聞き、早速地図で調べてその町に友人たちと連れ立っていきました。それは東京は北区にある田端新町という場所でした。明治通りを挟んで左右におよそ百余店はあるだろう中古機械、中古工具の店、ぼくは電動工具と言えばトリルやジグソー、糸鋸ミシンくらいしか知らなかったので、見た事も聞いた事もない程の多種多様な工具たちに出合い、気が遠くなるくらいにワクワクしたのを覚えています。そしてまたそれらの各店で、ぼくにとっての問題点が一挙にはらわれていきました。たとえば電気を通じてその作動音を聞かせてもらったり出来るばかりか試し使いも出来、しかも廉価この上なく、何より道具の選び方まで教えてもらえ、一石何鳥と思いたくなるくらいこの魅力的な魔法の町との出合いが、ぼくの生活に多くの影響を与えたことは言うまでもありません。この町へ最初に行った時からもうすぐ30年くらいが経ちますが、今はその頃の活気とはもうすでに異なってしまいました。しかし時々自転車でその町にぼくは行きます。そんな時、新しい代のお店の人から「こいつぁどう使うんですかね?」なんて聞かれたりすると、いつのまにか覚えたことを得意になって話したりしていて、何か不思議な気持ちになったりするものです。電動機械だからといって手道具のようにデリケートな仕事には向いていないと思われる方居らっしゃるかも知れません。でも好みの違いや何かは在ったとしてもそれは使う側の問題で、いかなる工具も其の工具の特性をよく理解し手入れすることを怠ることなく刃物を切らせる用にいつも心掛けていれば、いろいろな事を彼等はぼくたちに教えてくれると思います。みなさんも工作をする上でそれぞれの特性をうまく活かして、各々のホービーライフを楽しんでみてください。

pro-tool165

これは大型の木工旋盤です。旋盤に慣れないで急にこの大きさを使用することは出来づらいですが、今回紹介している小型の木工旋盤も基本的には同じ構造なので、小型が使い慣れれば大型も使えるようになります。この旋盤は長さ1m強のものまで扱う事が出来ます。

pro-tool167

据え置き型のベルトサンダーでは最も小型なタイプ(右)。ベルトサイズは1インチX30インチ(約25,4mmX762mm)。それよりもう一段大きめのサイズでポピュラーなサイズのもの(左)。ベルトサイズは100mmX915mm。共に100V用です。

 

pro-tool168

小型の木工旋盤。アメリカのドレメル社製です。随分と以前に購入したものなのですが、今でも現役です。最近はいろいろと小型木工旋盤も発売されていますから入手しやすいでしょう。

pro-tool170

小品用のターニングツールです。金工用のバイトに当たるものでチゼルとも言います。

pro-tool169

ターニングツールの先は一見彫刻刀のようにも見えますが、本格的な旋盤用の工具と全く同じ形状です。

pro-tool171

小さな旋盤と言っても機械ですから作業台に作業中動かないように固定します。この場合は板に足のはまる穴を開けて動かないようにしてあります。

pro-tool177

作業を安全にそして確かに仕上げるのには機械の手入れと刃物の研ぎは欠かすことができません。ターニングツールはオイルストーンで丁寧に刃が丸刃にならないように注意します。

pro-tool178

上記の旋盤キットに付いていたプラスチック製のセンターゲージですが、自作も出来ます。このように丸棒や角棒の中心を求めてからセットします。

pro-tool179

工具や材料、また工作内容について配慮した上で、周囲を整頓して作業に入ります。

pro-tool180

木づち等でドライバーヘッドのかかりを刻印してからセットするとよいでしょう。

pro-tool181

写真右側のテイルストックに固定した後、工作しようとする材を手で回してみてツールレストに当たらないようにしてからレストを固定します。

pro-tool182

たとえばヤスリ等のハンドルを作ってみる場合、全体のサイズをまずスケッチしてから始めるといいでしょう。

pro-tool183

レストと被工作材との間はなるべく狭くしてターニングツールをしっかりと持ち、少しづつ調子を見ながら削っていきます。

pro-tool184

被工作材をナナメに削る場合、少し削る毎にレストもその形になるべく添わせるようにしましょう。

pro-tool185

木工用のヤスリ等も使用できます。只あくまでも強く押しつけず、削れる量のままに作業します。

pro-tool186

サンドペーパーの幅を細く切って軽く当てるようにして表面を滑らかにできます。サンドペーパーが巻き込まれないように注意します。

pro-tool187

また鋼でできたみがき棒(バニッシャー)を軽く当てて磨くこともできます。

pro-tool188

ペースト状のワックス等は指に付けて塗ってゆきます。布などにつけると慣れないと巻き込まれてかえって危険です。

pro-tool189

少しづつ広げてゆきますが、多く塗りすぎると飛散することがあります。

pro-tool190

また固形のワックスもいろいろあり、色付け等もできます。慣れてくると熱で溶けるシェラック棒なども使用できます。

pro-tool191

撮影の為に簡易に作りましたが、目的の工具を入れる穴を開けてからセットすれば、充分に柄として使用できます。もちろん溝を刻んだり自分専用の特殊な形状のものも作る事ができます。

pro-tool192

pro-tool193

同じ型や大きさのものを数多く作るには鋼板を必要な形にグラインダー等で形成した後、焼き入れして使用します。写真は以前ドールズハウスの手摺を作った時のものを使っているところです。この場合最終的に抵抗が高くなるので、終盤になるほど力を抜いて作業します。

pro-tool194

中型のボール盤です(チャックは13mm)。先に話した田端で購入しました。もう20年以上使っていますが、故障したことはありません。今ではホームセンターでも扱っていて入手しやすい中型機械の1つです。

pro-tool195

チャックしめを磁石で付けるようにしています。チャックしめを無くしたりしないようにとチェーンで吊るしていた友人が、ちょっとしたはずみでチェーンが絡んで大変な事故になったことがありました。また昔のボール盤には手元を照らすライトが付いているものもあります。

pro-tool196

ボール盤は穴をあけるものですが、その他にもいろいろと使用できる機械です。たとえばワイヤーブラシでサビを取るのもしっかり両手が使えて便利です。

pro-tool197

ワイヤーブラシといっても多種多様にあるので目的に応じて使い分けるとよいでしょう。

pro-tool198

ドラム式のサンドペーパーや木工用やプラスチック用のおろし金状のものもあります。

pro-tool199

このようなものは曲線で切った側の面をなだらかにしたりする時に有効です。

pro-tool200

またローターリープレーナーというものは板などの厚み出しの時使用します。

pro-tool201

ローターリープレーナーの裏側には3個のハイスビットが付いていて、低速で使用します。

pro-tool202

また写真のような皮製の丸板状のものもあり、その側面が平らや稜状になっていたりします。これらは青棒(酸化クロム)や研摩剤を付けて刃物の磨きにも使えます。

pro-tool203

ハンドドリルでは難しくてもボール盤ならフォスナービットで10cmくらいの大穴でも平らできれいな穴を安全にあけることができます。

pro-tool205

通常のドリルビットも0,2mm~13mmくらいまで0,1mmピッチで、また13~23mmくらいまで1mmピッチ(13mmシャンクの場合)で市販され必要なものを少しづつそろえるといいでしょう。他にインチタイプ等があります。手前のはドリル台です。

pro-tool206

金属等の大穴はホールソーを使用します。

pro-tool204

研摩を目的とした多数の先端工具。スポンジ状、サンドペーパーを回転羽状にしたものなど幅、径、硬さ、粒度等多種目的に応じて使いわけます。

pro-tool207

一般的なドリルビットにも各種材料や目的によって使いわけが必要です。左上から右下へとガラス用、アクリル用、テーパー孔用、118゜cカウンターシンク、プラスチック用、下部がきれていますが座ぐり式ビット2種、木工用、板ギリ、金属薄物用、金属用。

pro-tool208

特に大きな穴をあけるタイプの工具。

pro-tool209

穴の径を自在に変えらることができる大穴木工用ビット。

pro-tool210

中型ボール盤では1mm以下の穴や電子基板のガラスエポキシ系の板にはうまく穴があきません。その時には高速の小径用ドリルを使用します。

pro-tool211

中型のバンドソーです。サイズはそのブレードの長さで大抵大きさで把握します。このタイプはブレードの長さが1785mmのものです。木工用にも金工用にもあるいはゴム用にもブレードを変えることで対応できます。サークルカット用の治具が付いています。

pro-tool212

中は3つのホイールによってベルトを回転させ、そのうち1つがプーリーのベルトによってモーターから駆動する力を伝達させる仕組みになっています。

pro-tool213

時間さえかければ相当厚い木も経木のように薄く切ることもできます。ジグソーや糸鋸と比べると一方向に動くブレードで切断する為、切り口がキレイなのが特徴です。

pro-tool216

これはとても小型のバンドソーでブレード周は680mmです。精密な作業に適してます。

pro-tool214

サイズはブレード周1220mmですが、これはダイアモンドブレードを使用して3cmくらいの厚さのガラスや大理石を簡単に切断できます。

pro-tool217

本来ベルトの後ろにあるプレーンプレートをはずしてしまうと、彎曲した面の研摩や磨きに重宝します。

pro-tool215

これはドレメル社の小さなベルトサンダーです。ベルトには中位のテンションローラーがベルトに適度な張りを持たせています。

pro-tool218

またこのような小型のベルトサンダーには、別売りでフェルトベルト等が用意されている場合が多く、ポリッシュをする時に役に立ちます。

pro-tool219

かつてジャンクで入手した立って作業する台付タイプのもので200V3相型のベルトサンダー。音も静かでとても強力なのですがこの機械に合うベルトがなく、研摩材屋さんに特注しました。ベルトサイズは156mmX1227mm。

pro-tool220

pro-tool221

pro-tool223

pro-tool222

ベルトサンダーは平面に木材を削ったりする時に比較的正確にそして迅速に作業できます。たとえばもう使いすぎて下端(したば)が変形してしまった鉋の台も御覧のとおり平面を容易に得ることができます。もちろんこれはあくまでもベルトサンダーの一例であって、鉋の下端の調整はもっと慎重にしなくてはなりません。

pro-tool224

ベルトサンダーの表面は使用前、あるいは使用後に専用のラバーを使って目づまりを取り、クリーニングをするとサンドペーパーの寿命が数倍から数十倍と長もちします。

これより以下のベルトサンダーは代表的なサイズのもので、大抵手持ちで作業する式のものです。このサンダーのベルトサイズは100mmX610mmです。力が強いので荒目の粒度で使っています。

pro-tool227

pro-tool228

このサンダーはスピードを調節でき、また精密研摩用の治具が取り付けられるようになっていますので、細目の磨き等に便利です。ベルトサイズ76mmX533mmです。

pro-tool229

これは ディスクサンダーにベルトサンダーアタッチメントを付けて使用できる タイプです。ベルトサイズは15mmX550mmです。

pro-tool225

比較的部分の研摩に有効でベルトサイズは30nnX533mmです。

pro-tool226

細部の研摩に有効な小型のもので、ベルトサイズは10mmX330mmです。

小林健二(写真+文)2004年

HOME

KENJI KOBAYASHI

 

保存保存

あると便利な自作の治具や工具2

あると便利な自作の治具や工具(その2)

肩ならしのちょっとした工作。そんな時、治具や自家製工具を作ることはまさにうってつけです。そして自分の本当にやりたい方向と出合う機会にもなるかも知れません。 今回の記事のために作られた様々な治具や自家製工具。

肩ならしのちょっとした工作。そんな時、治具や自家製工具を作ることはまさにうってつけです。そして自分の本当にやりたい方向と出合う機会にもなるかも知れません。 今回の記事のために作られた様々な治具や自家製工具。

海外の豊富なアクセサリーや治具

何かを作って楽しむ趣味について言えば、日本での「ホビー」は一部のマニアと言われる高度な技術を持つ人たちを除くと、まだまだ始まったばかりといっても過言ではないでしょう。ですからホームセンターなどで電動工具を見てもプロ仕様のものが多く、 アマチュアが使いたいものと比べると、大抵は大きくまた力も強く作動音も大きいといったものが多数を占めています。しかも、小さく手ごろなホビー工具があったとしても、一般的にプロ仕様のものよりも生産数が少ないことから割高になるケースが多いようです。そのへんが「工作がとても好きな人」以外の「ちょっと何かを自作してみたいと思う人」を、実際にトライすることから遠ざけている理由の一つかもしれません。

また、ちかごろはコンピューターシステムの普及によって、インターネットを通じて海外の工具や工作材料のサイトにアクセスする方も増えたことと思います。そんな時にそれぞれのホームページを見て少なからず驚くことも多いはずです。なぜならホビー用であっても、たいていそこで紹介されている工具などは、日本では思ってもみなかったような豊富なアクセサリーやアタッチメントを市販品として有しているからです。個人輸入などで手に入れられれば問題ありませんが、いろいろなアクセサリーについては自作することもできるのですから参考になることも多いはずです。

工作をする前のウォーミングアップ

本来専用工具や治具とはそれぞれの目的に対して特化したものであるだけに、特殊なものや他には流用することができないことが多いものです。ですから、汎用な目的をもつ本誌のような書籍で著すのは、ある意味で矛盾する場合もあると思います。でも、工作好きの方なら分野を超えてこの記事がヒントになってもらえたらと思い、前回に続いていくつかの治具や自家製工具について、工作例を紹介したいと思います。

これら簡単な(多少そうではないものもあるかも知れませんが)工作は、まさに競技の前の準備運動のような側面を持っています。仕事でいつも工具を使うわけではない方が、急に電動工具を使用して思いもよらない事故を被ったり、そこまでいかずとも、材を間違えて短かめに切ってしまい、残念な気持になったりということもあるでしょう。またいろいろな工作をする上で、なかなか解決できない事柄によって前に進めずにいる時に、ちょっとした思い付きから作った治具や自家製工具でかえって楽しく作業ができたりすることもあるでしょう。常日頃、時間がありさえすれば様々な工作について考えていることは、まさに趣味としての一番の喜びでもあるです。自家製の工具や治具は一般的に市販されていないとか、自分の求めている用途や目的には多少沿わないとかいった折に作ることが多くあります。ですからここに示すものもまったく同じ例で作りたい思う方は少ないと思われますが、あえて作例としたのは、あくまでも目的に沿って考えればフルオーダーメイドとして自作できるという点です。

また近ごろはコンピューターシステムの普及によって、インターネットを通じて海外の工具や工作材料のサイトにアクセスする方も増えたことでしょう。そんな時にそれぞれのホームページを見て少なからず驚く人も多いはずです。なぜなら、大抵そこで紹介されている工具などは、思ってもみなかった様なアクセサリーやアタッチメントを有しているからです。何かを作って楽しめる趣味について言えば、日本での「ホビー」は一部のマニヤと言われる高度な技術を持つ方々を除くと、まだまだ始まったばかりといっても過言ではないでしょう。ですからホームセンターなどで電動工具を見ても、かえってプロ使用のものが多く、アマチュアが使いたいものと比べると、大体は大きくまた力も強く作動音も大きいといったものが多数をしめています。しかも、小さく手ごろなホビー工具たちは、一般的にプロ使用のものよりも生産数が少ないことからも、割高になるケースが多いようです。その辺が「工作がとても好きな人」以外の「ちょっと何かを自作してみたいと思う人」を、実際にトライすることから遠のかせている理由の一つかも知れません。でもいろいろアクセサリーについては自作することもできるのですから、参考になることも多いはずです。趣味とは土台好きで行うことなのですから、たとえば欲しいものの製作に、購入するよりも資金や時間がかかったとしても、換えがたい充実感が得られたりもします。工作する喜びには努力のあとの達成感も大きな要素の一つかも知れません。また失敗ばかりしながらも工作に熱中していけるような人はそれが特性であって、多分この世に生まれたその人なりの人生を見つけようとしている行為なのでしょう。それこそがある意味で趣味の真中にあるような気がします。

今回はサンドペーパーのホルダーやハンマーなどを作ってみましたが、わざわざ何で百円ショップでも売っていそうなものをと思う方もいるかも知れませんが、一度試してみてください。結構楽しいものです。

またぼくは自分の髪を乾かすのにドライヤーを使ったことはほとんどないのですが、絵具を乾かしたり工作する時々に結構役立ちます。以前から持っていたこの古いドライヤーは、もともと台が付いていて、立てて使えるようになっていたものですが、ぼくが入手した時はすでになくなっていました。ですので「ちょっと作ってみよう」と思ったのが今回の記事に至った理由でもあり、どうせ作るのなら角度も変えられた方がいいと考えたわけです。この一連の工作は思いの他いろいろな要素が含まれていて、木工加工、金属加工、そして塗装(今回は写真での紹介は省きました)などです。しかしながらこれが当り前の工作する姿で、様々な行程入ってくることがまた楽しみを増やすことだといっていいでしょう。それぞれに学ぶことが多く、それが何よりも工作好きをさらに深い世界へと誘ってゆくことでしょう。

pro-tool055

おなじみの小さなサーキュラソーテーブル。ホームセンターでもよく見かけるタイプ。

pro-tool056

この日本製の電動工具のためにアメリカで市販されているが日本では販売されていないアクセサリーの一部。とても目の細かく薄いハイスブレードやレジノイド製のものなど、多種あります。またリップフェンスに付けられるアタッチメントはとてもしっかりとしている。そして透明アクリル製のブレードプレートなど。写真には写っていませんが、他に切断幅を容易に決めることができるリッピングゲージやクロスカット用のスライディングプレートなどもあります。

pro-tool057

小さなテーパージグ。左側の小さな出っ張りに材をひっかけ、右側をリップフェンスにくっつけて押して、自在にテーパーを切ることができるもの。自作するのも容易にできるので参考にしてください。また小さくてもキックバックは危険なため、それをふせぐ水平方向と垂直方向用のフェザーボード。とても小さくかわいいが正確に作られていて充分実用的である。小さな万力は リップフェンスに取り付ける時のもの。

pro-tool058

この可動フェンスは少し説明しずらいですが、指で持っている部分をスライドさせるととても正確に少しづつ切断を可変できる仕組みになっています。しっかりとした銅製で、0~最大4ミリくらいまで驚く程微調整ができます。

ソルダーハンマー+マレット

pro-tool059

ハンダを使ってハンマー等を作ってみます。一番上のものが長さ18センチくらい。その下は樫で頭を作ってあり、その下2点がやはりハンダ製で、長い方が27.5センチです。ハンダで頭を作るというととてもやわらかく思うかも知れませんが、市販の鉛ハンマーよりは固めになり、ハードな使い方でなければ一生ものとして充分たえる仕上がりとなります。

pro-tool060

まず柄になる部分を用意する。作例では旋盤を使用しているが、木工ヤスリの荒いもので深めにキザミをつけてもいいでしょう。早い話が頭の部分の抜け止めです。

pro-tool061

柄の太さは自分の好みによって考える。ここでは15ミリくらいの棒から作りました。あまり太くしない方が小さなハンマー(作例のものはマレットと呼ばれるタイプ)は力の加減がしやすいように思います。

pro-tool062

ハンダを流し込む型となるものを木に穴をあけて作る。作例では20ミリで穴を深さ35ミリ程あけ、片方を30ミリくらいまで広げたテーパー状の形にしてみました。この場合使っているのは木工用の鬼目ヤスリ。

pro-tool063

また頭と柄との間を厚紙によって塞ぐ。もちろんハンダが流れ出さないためで、この場合は写真のように柄の左右からはめ込む式がいいでしょう。

pro-tool064

すでに作った型や柄を組み合わせてハンダを流し込む準備をする。作例では土台にしっかりとした紙筒を使い、センタクバサミで止めました。只ハンダは思いのほか熱くまた重いというのを忘れず型を作りましょう。

pro-tool065

錫60パーセント前後のものなら190℃くらいで溶かせます。その時ゆっくりと落ち着いて流し込むこと。もし失敗したと感じたら、あわてず作業を中断して冷えてからもう一度溶かしてやり直せばいいでしょう。

pro-tool066

ハンダが充分に冷えた後、型からはずす。もしはずしにくいならノミで木を割って取り出します。

pro-tool067

型からはずしたところ。このままでも使用できますが、ハンダのバリはヤスリ等で形を整えたり、また鉄のハンマーで軽く全体的に周囲を叩くと表面の強度が高くなります。

pro-tool068

このような小さなマレットは頭の部分を持って作業します。小さいといってもそれなりの比重があるので使いなれてくると小さい彫りものには欠かせなくなるでしょう。

pro-tool069

また型を木板によって作ることもできます。作例は三角の形をした特殊なハンマーでグラスハンマーと呼ばれるもの。型をしっかりと固定してハンダを流し込みます。また木の柄にはネジを貫通させて頭が外れないように工夫してあります。

pro-tool070

型から外したところ。一応出来上がりということですがこのままではとても重くなってしまいます。只どのくらいの重さになるかが分らない場合もあり、このことも考慮して型を作ってみました。

pro-tool071

さらに今使用した型を切りつめて小さなものを作ってみました。大小あるといろいろと重宝するからです

pro-tool072

後からこのようにハンダは金ノコで楽にカットできるということです。厳密にこんな形に最初から型をつくるより、外で調整した方が作りやすい面もあると思います。

pro-tool073

これらはヤスリで形を整えるが、目を詰まらせてしまいがちです。そのような時はチョークをあらかじめヤスリにこすっておいくといいでしょう。また、写真のような削り台を作っておくと何かと役に立ちます。

pro-tool074

グラスハンマーを使用しているところ。額縁や窓枠、あるいはガラスの入る扉などにガラスを針やその他の打ち込んで止める金具などで止める時に使用します。ガラスの面をスライドさせて軽く打ってゆく時、鉄製のものだとガラスにキズが付くことがありますが、ハンダなので比較的心配がいりません。独特な三角の形はもちろん打ち易い為です。

pro-tool075

またもっと軽いものが欲しい時には、小さな木製のマレットを作るのもまた自分用特別仕様となっていいものです。

アブラシブテープホルダー+ワイヤーブラシ

pro-tool076

この紐状あるいはテ-プ状のヤスリについては以前にもこの連載で紹介したことがあります。写真左から太さ0.76ミリ丸180番、太さ1.4ミリ丸120番、幅2.38ミリテープ150番、幅4.76ミリテープ150番といったものです。これらは用途によってとても有効で、製品としては0.31ミリから6.35ミリのものまで市販されています。

pro-tool077

しかし旋盤などの電動工具といっしょに使用する時、巻き込まれて事故を起こすケースもあるので、写真のようなホルダーを目的に合わせて自作するといいでしょう。

pro-tool078

細かくくびれたところなどについてもこのホルダーがあると安全に楽しく作業できます。作例では3X6ミリの平棒スチールを使い、刃寸100X50ミリくらいのもので作りました。

pro-tool079

止め具部分の仕口。ブラインドリベットで一方を固定し、他辺をネジでヒモヤスリを挟んで止め、細いものは穴を通してひっぱりながら固定した後にカットします。

pro-tool090

作例では幾つか作ってみましたが、いざ必要を感じてから初めて簡単に作ることができ、まさにウォーミングアップにはもってこいの実用品です。

pro-tool091

やはり以前に紹介したベルト状のサンドペーパー。この式のものはたいてい1インチ(2.5ミリ)幅なのでそのくらいの木切れと自分で工夫できる止め部分の金具によって、いくらでも自在にホルダーを作ることができます。

pro-tool092

例では金属を削って金具を作ったりしていますが、本来木辺でも充分です。また丸棒の止め具も締める程に引き込まれるのでキッチリと張ることができます。

pro-tool093

また単に切り込み部分で最初にベルトをはめて、終りの部分をクサビで止める方法は手ごろです。左のようにしっかりとテンションを与えたい場合は、このような式も有効です。

pro-tool094

弓状の部分があるものの作例。工作は至って簡単です。コンパスやナベの蓋などを利用して、あるいは自分の求める曲率のものをうつし、カットして止め具の位置を決めてもよいです。

pro-tool095

ベルトを画鋲で止めてもいいですが使用するとすぐに弛んでしまいます。そこでテーパーのついた木辺でとめています。

pro-tool096

写真のものはサンドペーパーの有効な使用面の長さは47センチ程あります。凸でも凹でも好きな形状のものを作ってみでください。

pro-tool097pro-tool098

またこのようなアルミパイプとスチール線を束ねて作ったワイヤーを使ってワイヤーブラシを作ることもできます。好きな長さにカットしたワイヤーをアルミパイプに入れて口金を押しつぶして固定します。固定が完了した後でぼぐしてみてもいいし、またぐらつくようなら瞬間接着剤で補強するとしっかりします。

pro-tool099pro-tool100

使い終った歯ブラシもその毛足をとても短く刈り込んだだけで多用途のツールへと変化します。只一見ハサミなどで短く毛を切りそろえられそうですが、案外簡単にはいかないので、一旦瞬間接着剤などで木辺や板に固定してからカッターで切ればいいでしょう。もし毛細管現象でブラシが固まってしまっても、ハクリ剤でもとにもどります。

pro-tool101

前頁のハンダの工作や簡単な旋盤技術でビット等を整理したりする台を作ることも楽しいです。このような場合、木製のものにも裏側にくぼみを作ってハンダを流し込んでおくと、重さが出て使い易くなります。

pro-tool102

もちろん四角い木や金属、あるいはアクリル樹脂によって作ることも有効です。右の作例は先端工具の取り付け方がネジになっていたり、ピンジャック式になっていたりするのを活用して固定できるようにしたものです。

ドライヤースタンド

pro-tool104

ドライヤーと台となる丸板。丸板はそのまま只の丸でもいいし、あるいはハンダも使って製作してみてもいいですが、今回はオリジナルの台に少し似せて製作してみました。

pro-tool103

このように15ミリくらいの比較的薄い板をさらに削るためには、裏に他の木を付けておいた方が安全です。

pro-tool105

金具を木の台となる部分に取り付けるために埋没式の雌ネジに合うようにダイスで8ミリの真鍮棒でネジを切っているところ。

pro-tool106

一見ダイスやタップは簡単に見えますが、まっすぐ使うには多少の経験が必要。一回し一回し丁寧に、加工する品物とハンドルがしっかり直角になっているか確かめながら作業することが大切です。左はうまく出来ているが右はナナメに切り込んでしまっているのが分ります。

pro-tool107

この写真は製作中の棒状の蝶番。曲げた板を棒のところにハンダ付けをするのにもあらかじめ中心にそれぞれタップを立てておいて、ある程度締め付けてからハンダ付けします。

pro-tool108

余分なところは後から切断して形を整えます。写真では中心の3ミリの全ネジを糸ノコで切り取っているところ。

pro-tool109

棒状の蝶番が出来上がったところ。

pro-tool110pro-tool111

このような埋没式の雌ネジを木部に叩き込むにしても、もしボール盤があればチャックにボルト等を取り付けてゆっくりと(もちろん電源は入れない)押し込むと安全に正確に作業できます。

pro-tool112

塗装して出来上がった台。金具を取り付けてみたところ。

pro-tool113

しっかりと角度を可変して作業することができた完成写真です。

pro-tool114

作った台にあえてファイバー製の道光を使っているところを写り込ませていますが、このようなフニャフニャのファイバーの先端を保持するものも自家製です。

pro-tool115

たとえばこれは何?という感じですが、このようなものは仕事場に溢れています。左のもののハンドルはまだ旋盤を持っていなかった頃作ったので、木工ヤスリで削ったりしたものです。

pro-tool116

何に使用するかと言えば木や金属の板などの表面にテクスチャーを付けるために使用しています。

pro-tool117

またこれらは自分のミニ旋盤のチャックをバーチカルに取り付けてタップなどを垂直に立てるための治具です。

pro-tool118例えばカンナの台などを自作する時、割り台で製作するとどうしてもコッパが出てしまいます。それをハンドルに使って作った木のマレットです。また古い木のクランプを模して作ったものです。

pro-tool119

ドリルのケースなども自作するのも楽しいことです。そして保管にも一役買うでしょう。いろいろまわりを見回すと工作の楽しみがたくさんあることに気付くっことでしょう。

小林健二(写真+文)2005年

HOME

KENJI KOBAYASHI

保存保存

保存保存