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基本的なゲルマラジオの製作2

前回ご紹介した[基本的なゲルマラジオの製作]の続きです。

コア入リコイルとヴァリコンのゲルマラジオ

コア入リコイルとヴァリコンのゲルマラジオ 「ぼくらの鉱石ラジオぼくらの鉱石ラジオー小林健二著)」より

コア入リコイルとヴァリコンのゲルマラジオ
「ぼくらの鉱石ラジオぼくらの鉱石ラジオー小林健二著)」より

コア入リコイルとヴァリコンのゲルマラジオの回路図

コア入リコイルとヴァリコンのゲルマラジオの回路図

材料 コア入リコイル 1本(作例ではマックス印のPA 63Rというタップ付きインダクタンスコイルを使用しています) ポリヴァリコン(単連290 pF)1個 ヴァリコン用ツマミ 1個 ゲルマニウムダイオード 1本 抵抗1/4W(4分の1ワット)500kΩ(キロオーム)1本(この抵抗はなくてもかまいません) ターミナル、あるいはそのかわりとなるネジ等の金具 配線用エナメル線 10 cmほど クリスタルイヤフォン 1個 ケース(作例では透明のプラスチックの箱、外形4 cm× 7cm X 1 5cmを使いました)

材料
コア入リコイル 1本(作例ではマックス印のPA 63Rというタップ付きインダクタンスコイルを使用しています)
ポリヴァリコン(単連290 pF)1個
ヴァリコン用ツマミ 1個
ゲルマニウムダイオード 1本
抵抗1/4W(4分の1ワット)500kΩ(キロオーム)1本(この抵抗はなくてもかまいません)
ターミナル、あるいはそのかわりとなるネジ等の金具
配線用エナメル線 10 cmほど
クリスタルイヤフォン 1個
ケース(作例では透明のプラスチックの箱、外形4 cm× 7cm X 1 5cmを使いました)

このラジオはC(コンデンサー)同調式といいます。(詳しい原理などはおってアップ予定です)L(コイル)は動かしません。作例では実験として各タップにもアンテナをつなげられるようにしてみましたが、回路図のように黄のタップは実際には使用しません。

使用したコイルは小型ラジオを製作するために作られたもので、フェライトの磁性体をコイル筒の中央に入れることでインダクタンスを高くしているため、太さ8 mm、長さ(本体)3 cmと小型にできています。4 cmくらいの長さに出ている銅線は取り付け用のもので、ハンダ付けをしたり、途中で適当に切ったりできるものです。

なおプラスチックケースは熱に弱いので、部品は瞬間接着剤でくっつけました。

PA-63Rの取り付け方

PA-63Rの取り付け方

裏から見たところです。

裏から見たところです。

実体配線図

実体配線図

プラスチックケースの加工

プラスチックケース(スチロール製)は、アクリルや塩化ビニルやABS樹脂とくらべると加工がしづらくて、 ドリルで穴をあけようとするとかえって割れてしまったりするのですが、熱したクギなどでもすぐに穴があけられるので、いろいろと工夫してみてください。プラスチックケースがなければ、マッチ箱などを利用するのもいいと思います。

調整と聞き方

アンテナを自のタップのところにつけて、アースもつけ、ヴァリコンを動かして同調をとって聞きましょう。もし感度がアンテナが小さいことでうまくいかないようなら、黄のところにもつなぎかえたりしてみてください。

ミュー(μ )同調器を使ったゲルマラジオ

ミュー(μ )同調器を使ったゲルマラジオ 「ぼくらの鉱石ラジオー小林健二著」より

ミュー(μ )同調器を使ったゲルマラジオ
「ぼくらの鉱石ラジオー小林健二著」より

ミュー(μ )同調器を使ったゲルマラジオの回路図

ミュー(μ )同調器を使ったゲルマラジオの回路図

材料 ミュー同調器 1個 セラミックコンデンサー(100pF)1個 ターミナル 4つ ツマミ 1個 グルマニウムダイオード 1本 配線用エナメル線 10 cm クリスタルイヤフォン 1個 ケース(作例では透明のプラスチックの箱、外形4 5cm X7cmX2cmを使いました)

材料
ミュー同調器 1個
セラミックコンデンサー(100pF)1個
ターミナル 4つ
ツマミ 1個
グルマニウムダイオード 1本
配線用エナメル線 10 cm
クリスタルイヤフォン 1個
ケース(作例では透明のプラスチックの箱、外形4 5cm X7cmX2cmを使いました)

回路図中及び実体配線図中で、アンテナ 、アース 、コイル、 ダイオード、コンデンサー 、イヤフォンの関係がいろいろな位置で表してありますが、最終的にどことどこをつなぐかさえ正しければよいのです。また、コンデンサーやコイルの矢印のあるものは可変できることを表しています。

回路図中及び実体配線図中で、アンテナ 、アース 、コイル、 ダイオード、コンデンサー 、イヤフォンの関係がいろいろな位置で表してありますが、最終的にどことどこをつなぐかさえ正しければよいのです。また、コンデンサーやコイルの矢印のあるものは可変できることを表しています。

裏から見たところです。

裏から見たところです。

このラジオはL(コイル)同調式で、C(コンデンサー)は100 pFで固定されています。ミュー同調器はコイルの中のコアを動かしてLを変化させるので、コアの動くスペースを考えておかなければなりません。それ以外はあまリスペースを取らないので、作例では余ったスペースにイヤフォンを入れるようにしました。

ミュー同調器はなかなか入手しづらいかもしれませんが、参考としてあげました。コルの中のコアを出し入れするものですから、自作はそれほど難しくありません。

調整と聞き方

ミュー同調器はメカニックで動くので、組み立てる前に、スムーズに動くように油などをギヤ部にさして調整をしておき、組立て後にも再度調整をしましょう。アースとアンテナを逆につけかえたりして感度をみてください。

ミュー同調器の自作

ミュー同調器が手に入らなかったり自作したい場合のために、ダストコアと呼ばれるものを紹介します。これは直径4~10 mm長さ2~ 20 cmくらいまであるフェライトなどの磁性材料を使って棒状に作られたものです。これをミュー同調器のようにギアを使ったり、あるいは図のようにプーリとワイヤーでコイルのなかにダストコアが出入りする機構を作ってあげればいいのです。

ミュー同調器の自作

ミュー同調器の自作

ミュー同調器の自作

ミュー同調器の自作

ミュー同調器とヴァリコンを使ったゲルマラジオ

ミュー同調器とヴァリコンを使ったゲルマラジオ 「ぼくらの鉱石ラジオー小林健二著」より

ミュー同調器とヴァリコンを使ったゲルマラジオ
「ぼくらの鉱石ラジオー小林健二著」より

材料 ミュー同調器 1個 ヴァリコン単連290 pF l個(作例では古いミゼットヴァリコンを使用しています) グルマニウムダイオード 1本 ツマミ 2個 ターミナル 4個 配線用エナメル線 10 cmほど クリスタルイヤフォン 1個 ケース(作例では透明のプラスチックの箱、外形4cmX10cmX2 5cmを使いました) (写真には抵抗も1本写っていますが、今回使用しませんでした)

材料
ミュー同調器 1個
ヴァリコン単連290 pF l個(作例では古いミゼットヴァリコンを使用しています)
グルマニウムダイオード 1本
ツマミ 2個
ターミナル 4個
配線用エナメル線 10 cmほど
クリスタルイヤフォン 1個
ケース(作例では透明のプラスチックの箱、外形4cmX10cmX2 5cmを使いました)
(写真には抵抗も1本写っていますが、今回使用しませんでした)

ミュー同調器とヴァリコンを使ったゲルマラジオ の「回路図

ミュー同調器とヴァリコンを使ったゲルマラジオの回路図

実体配線図

実体配線図

ミュー同調器とヴァリコンを使ったゲルマラジオの裏

ミュー同調器とヴァリコンを使ったゲルマラジオの裏

調整と聞き方

このラジオはL、C同調式で、可動部が2つあるのでしっかり製作してください。

聞き方としては、まずヴァリコンを真ん中の位置にしてミュー同調器を動かし、感度のいいところを見つけたらヴァリコンを動かし、またミュー同調器を動かすというようにしてみてください。

 

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

KENJI KOBAYASHI

基本的なゲルマラジオの製作

簡単な受信機がどのような作動をするのか確かめながら、かつて少年たちが夢見た受信機の製作へと少しずつ近づいていってみましょう。

基本のゲルマラジオ(プロジェクト1)

まずは鉱石ラジオの作動を確認するために、手近な材料とゲルマニウムダイオードを使ってゲルマラジオを作ってみましょう。

基本のゲルマラジオ(プロジェクト1)

基本のゲルマラジオ(プロジェクト1)

プロジェクト1の実体配線図

プロジェクト1の実体配線図

材料・ トイレットペーパーの芯 1本/ 15 cm角くらいの木の板 1枚/ 竹串 1本/ 画鋲 5つ/ エナメル線 20mほど/ クリスタルイヤフォン 1個/ グルマニウムダイオード 1本(使用する時、向きはどちらでもよい)/ サンドペーパー少々

材料・ トイレットペーパーの芯 1本/ 15 cm角くらいの木の板 1枚/ 竹串 1本/ 画鋲 5つ/ エナメル線 20mほど/ クリスタルイヤフォン 1個/ グルマニウムダイオード 1本(使用する時、向きはどちらでもよい)/ サンドペーパー少々

材料はこれでなければだめというわけではありませんので、家にある材料を利用してください。今回はハンダ付けをしないので、部品の固定や接合を安定させるために画鋲を使います。エナメル線は0.4~ 0.7mmくらいのもので、色は好きなものを使ってください(作例では0.5mmのものを使っています)。ダイオードはゲルマニウムタイプなら(lN60、 lN46、 lN34など)どれでもかまいません。

この工作では、ゲルマラジオから放送が聞こえるのを体験することがいちばんの目的ですから、接合部分さえきちんとすれば、コイルの巻き数が少々ちがったり、コイルの芯の太さが多少異なってもかまいません。

まずコイルの芯を作ります。 トイレットペーパーの芯に、焼きとり用の竹串か、割 り箸を細くしたようなものを、ボンドかセロテープで固定します。

まずコイルの芯を作ります。 トイレットペーパーの芯に、焼きとり用の竹串か、割 り箸を細くしたようなものを、ボンドかセロテープで固定します。

竹串をはさんで紙筒に2カ所穴をあけ、ちょうど竹串の下をくぐらせるように10~ 15 cmくらいエナメノン線を引き出しておいて、巻きはじめを固定します。

竹串をはさんで紙筒に2カ所穴をあけ、ちょうど竹串の下をくぐらせるように10~ 15 cmくらいエナメノン線を引き出しておいて、巻きはじめを固定します。

エナメル線はどちらでも巻きやすい方向へ、なるべくつめてしっかりと巻きます。

エナメル線はどちらでも巻きやすい方向へ、なるべくつめてしっかりと巻きます。

巻き数は120~ 150回くらいです。ひととおり巻きおわったら巻きはじめと同じようにして固定し、引き出し線を10~ 15 cmくらい残して切ります。 竹串によって出っ張った部分の被覆をサンドペーパーではがし、銅を露出させます。(作例では、見やすいように色のついた線を使用しています)

巻き数は120~ 150回くらいです。ひととおり巻きおわったら巻きはじめと同じようにして固定し、引き出し線を10~ 15 cmくらい残して切ります。
竹串によって出っ張った部分の被覆をサンドペーパーではがし、銅を露出させます。(作例では、見やすいように色のついた線を使用しています)

全体を組み立てます。

コイルの筒は画鋲で板にとめ、エナメル線の接続部分の被覆をサンドペーパーではがします。

コイルの筒は画鋲で板にとめ、エナメル線の接続部分の被覆をサンドペーパーではがします。

今回はハンダ付けをしないので、線と線をねじって接合します。ハンダ付けをするときは、下のようにハンダ付けをして出っ張りを切りますが、ねじっておけば再びはずすこともできます。

今回はハンダ付けをしないので、線と線をねじって接合します。

コイルから引き出した一方のエナメル線にクリスタルイヤフォンをつなぎます。もう一方にゲルマニウムダイオードをつなぎ、さらにダイオードを介してイヤフォンヘとつなぎます。ところどころに画鋲を打ってそれぞれの線を台に固定します。そして10 cmくらいの長さに切った銅線の両端の被覆をはがし、一方を折り曲げてねじり、コイルの被覆をはがした部分に当てる接点とし、もう一方はアンテナヘの線とからめて画鋲で留めます。コイルのダイオードとつながっていない方の端にアースヘの線をからめ、やはり画鋲で留めて出来上がりです。

アンテナやアースヘの配線については下記記事を参考にしてください。

アンテナやアース

このゲルマラジオは、分離があまりよくないので混信は多いのですが、ダイオードを使っているために失敗は少なく、アースがちゃんととれていれば、アンテナが小さくてもきっとどこかの放送は聞こえると思います。調整のしかたは、アンテナからの線とつながっているコイルの中ほどの線を被覆のあるところを持って、コイルの導体の出ているところにゆっくりと先を接して動かしていきます。いちばんよく聞こえるところを見つけたら、そこにセロテープなどで固定して放送を聞いてみてください。

コイルにタップを出して作るゲルマラジオ(プロジェクト2)

この簡単なしくみのゲルマラジオを、タップのあるコイルを使って作ってみましょう。

コイルにタップを出して作るゲルマラジオ(プロジェクト2)

コイルにタップを出して作るゲルマラジオ(プロジェクト2)

プロジェクト2の実体配線図

プロジェクト2の実体配線図

プロジェクト2 の回路図(ポリヴァリコンを取り付けた部分を取ればプロジェクト1の回路図となります。

プロジェクト2 の回路図(ポリヴァリコンを取り付けた部分を取ればプロジェクト1の回路図となります。)

材料はプロジェクト1と同じですが、必要ならばポリヴァリコン(単連290 pF)も用意しておいてください。

まずトイレットペーパーの芯に2つ穴をあけてそこにエナメル線を通し、10 cmくらい引き出して巻きはじめを固定します。10回巻いたところで竹申を横から入れて、 1回竹申をまたがせて巻き、また竹申をはずして10回巻きます。10回目、20回目、30回目と竹串をまたがせて巻くことでタップを出していきます

まずトイレットペーパーの芯に2つ穴をあけてそこにエナメル線を通し、10 cmくらい引き出して巻きはじめを固定します。10回巻いたところで竹申を横から入れて、 1回竹申をまたがせて巻き、また竹申をはずして10回巻きます。10回目、20回目、30回目と竹串をまたがせて巻くことでタップを出していきます。

初めのころはぐらぐらして巻きづらいですが、そのうちしっかりしてきます。作例では150回巻いて15カ所のタップを出してみました。

芯に穴を2つあけてエナメル線の巻きおわりを通して固定したあと、サンドペーパーでタップのところの被覆をはがしておきます。

芯に穴を2つあけてエナメル線の巻きおわりを通して固定したあと、サンドペーパーでタップのところの被覆をはがしておきます。

組み立て方はプロジェクト1と同じです。

また、写真のようなポリヴァリコンをこの回路に付加すれば、鉱石ラジオの代表 的なパーツがそろうことになります。

また、写真のようなポリヴァリコンをこの回路に付加すれば、鉱石ラジオの代表的なパーツがそろうことになります。左上は自作ツマミ、左下はポリヴァリコンにつけるシャフト、中央がポリヴァリコン、右上はシャフトをつけた状態、右下は目盛。

ハンダを使わないで配線をする場合、あらかじめ被覆をはがしたエナメル線をヴァ リコンの端子に巻きつけて、ちょうど10 cmくらいの2本の触角のように出しておいてから、コイルの両端に並列に取りつけます。この際、ヴァリコンの端子にはなるべくしっかりとつけたいのですが、端子といってもちょっと厚い箔状のものな ので、こわさないように様子を見ながら作業してください。

ハンダを使わないで配線をする場合、あらかじめ被覆をはがしたエナメル線をヴァリコンの端子に巻きつけて、ちょうど10 cmくらいの2本の触角のように出しておいてから、コイルの両端に並列に取りつけます。この際、ヴァリコンの端子にはなるべくしっかりとつけたいのですが、端子といってもちょっと厚い箔状のものなので、こわさないように様子を見ながら作業してください。

ヴァリコンをつけた場合は、ヴァリコンをちょうど中央(裏から見ると、回転する部分が半分隠れ、半分出ているところ)にセットしておいて、コイルの感度のいちばんいいタップをまず探します。そしてそこに線を固定して、ヴァリコンを動かしてみてください。選局も少しできるはずです。他のタップのところでも、いろいろ試してみてください。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

材料は東京秋葉原のパーツ屋さんで揃えることができますが、通販でしたら銀河通信社で「ゲルマラジオセット」が紹介されていて、基本的なパーツが手に入ります。

 

KENJI KOBAYASHI

複焦点プレパラート製作法について

光学的な顕微鏡の観察は、実体顕微鏡のようなシステムを除くと、ほとんどがプレパラートの製作と関係している。そして、プレパラートと言っても、動物、植物、鉱物、金属、樹脂など、それぞれに独自な技法を、用する場合も多く、生物系では一時的な観察の為のものから、何年もの保存に耐えるものまで、種々の作り方がある。

スンプ法(セルロースの板を薬品で膨潤させ、試料に押し付け、型をとって、その表面を観察する方法)や、封入法(シリコンゴムなどで立体物を封入して観察する方法)まで入れると多様だ。ホビーとしてはあまり聞いたことはないが、ぼくは結構楽しんでいる。まして、それらを色々に染め分けてみたり、また組み合わせてみたりすることは、無限に発想を与えてくれる。

このようにして作られたプレパラートは、本来のサイエンスとしての意味はすでに逸脱せざるをえないものでも、コハクの中の昆虫のようだったり、あるいは多くの色彩を持つが故に、まるで宝石のように輝いて見える。

また、複数の切片を積層して作るプレパラートは、顕微鏡のように焦点距離の極めて抵深度のものでは、複数の焦点を持つことになる。もう少し解りやすく言えば、一枚のプレパラート上で、動物細胞を観察中に焦点を変えて行くと、植物細胞にピントがあって、あたかも動物細胞が、植物細胞へと変化したような不思議な錯覚を得ることになる。

最近実験中?なのは、薄く培地を引いたLSIのマイクロフィルムの上を移動する細胞性粘菌の実態撮影である。技術的にはなかなか困難なことであるのに、科学的進歩には何ら貢献しないわけだ。しかしながら、情報が氾濫する時代の中で、見ようと意志しなければ見えない世界は、ぼくにとっては、どういうわけか安心を与えてくれるのだ。

投影型偏光顕微鏡 このような小型(投影型では)のものを最近あまり見なくなった。今回のようなギャラリーでの展示に使用するのには上部の投影板(像が映る曇りガラスの部分)は暗く、照明用の ハロゲンランプの発熱の為必要な、強制冷却ファンの音が大きく、必ずしも理想的ではないかもしれない。個人的観察の為に入手したもので、比較的安価出会ったのと、何よりこの奇妙な形体に引かれたところがあった。

投影型偏光顕微鏡
このような小型(投影型では)のものを最近あまり見なくなった。今回のようなギャラリーでの展示に使用するのには上部の投影板(像が映る曇りガラスの部分)は暗く、照明用の ハロゲンランプの発熱の為必要な、強制冷却ファンの音が大きく、必ずしも理想的ではないかもしれない。個人的観察の為に入手したもので、比較的安価出会ったのと、何よりこの奇妙な形体に引かれたところがあった。

光学的単眼顕微鏡 この顕微鏡は長年使用しているものだ。少々ガタがきているので、時間のある時にゆっくり分解掃除をしてやりたいと思っている。これはまた、決して高価でも最新型でもないが、通常のプレパラートの観察では十分力を発揮してくれる。上の写真では、写真撮影用のカメラアダプターとカメラが取り付けてある。高倍率の実際の撮影には、あと外部にケーラー照明の光源が必要だろう。

光学的単眼顕微鏡
この顕微鏡は長年使用しているものだ。少々ガタがきているので、時間のある時にゆっくり分解掃除をしてやりたいと思っている。これはまた、決して高価でも最新型でもないが、通常のプレパラートの観察では十分力を発揮してくれる。上の写真では、写真撮影用のカメラアダプターとカメラが取り付けてある。高倍率の実際の撮影には、あと外部にケーラー照明の光源が必要だろう。

円筒ミクロトーム これは植物などの切片材料でプレパラートを製作するときには欠かせないものだ。丸い穴の所に試料をはさみ入れ、シリンダーの部分をマイクロゲージのように回転させると、わずかにせり出して来るので、そこのところを下にあるカミソリで薄くそいで切片を作る。このミクロトームでおよそ1メモリ=10マイクロの精度を持っている。

円筒ミクロトーム
これは植物などの切片材料でプレパラートを製作するときには欠かせないものだ。丸い穴の所に試料をはさみ入れ、シリンダーの部分をマイクロゲージのように回転させると、わずかにせり出して来るので、そこのところを下にあるカミソリで薄くそいで切片を作る。このミクロトームでおよそ1メモリ=10マイクロの精度を持っている。

小林健二[EXPERIMENT1]

薬品など
プレパラートを作るためにはスライドガラスやカヴァーグラス、及び薬品などが必要になる。ここの説明はさけるが、以下のようなものがある。バルサム、エタノール、ホルマリン、ファーマー溶液、カルノア液、ファン液、アセトカーミン液、酢酸オルセイン液、ゲンチアナヴァイオレット、ズダンスリー、サフラニンファストグリーン、ギムザ液、ヘマトキシリン液、ジェンダー液、シャウジン液、スンプ法材料等々。

ミクロトームを使用してプレパラートを作るとき、最初よくやるのが、葉や茎の断面だ。でもこれはなかなか奥が深くて、染色法二よっては、本当に鮮やかな色彩に出来上がる。左の写真はツバキの葉の断面だけど、ときにおいてはちょっと変な地球外的生物や、有機的未確認飛行物体のように見えて面白い。

ミクロトームを使用してプレパラートを作るとき、最初よくやるのが、葉や茎の断面だ。でもこれはなかなか奥が深くて、染色法によっては、本当に鮮やかな色彩に出来上がる。上の写真はツバキの葉の断面だけど、ときにおいてはちょっと変な地球外的生物や、有機的未確認飛行物体のように見えて面白い。

これは動物の硬骨組織と淡水植物プランクトンのケイ藻類との重複プレパラートだ。もちろん写真ではどちらか一方しか焦点が合わないわけで、この場合は硬骨組織にピントが合っている。 科学的根拠はほとんどないが、硬骨を形成するカルシウムは、生命現象を地球上に強く関係付けている物質である。有機的な物質というとぼくはどうしてもカルシウムを連想するのは、それによって作られる動物の骨、人も恐竜も共にその外形はいつも有機的だからかもしれない。 また、ケイ藻などは名の示す通り、細胞膜にはペクチン質を基本にしていても、それ以外はケイ酸化合物によって作られている。 ケイ酸イオンは、ぼくにはシリコンウエファーなどを連想させて、無機的なイメージが強い。共に高倍率では、結晶的な構造が強くて、生物における精神や意識の所在を、ふと考えさせられる。だからこのプレパラートは、ぼくにとっての無機と有機の生物学的結合なんだ。

これは動物の硬骨組織と淡水植物プランクトンのケイ藻類との重複プレパラートだ。もちろん写真ではどちらか一方しか焦点が合わないわけで、この場合は硬骨組織にピントが合っている。
科学的根拠はほとんどないが、硬骨を形成するカルシウムは、生命現象を地球上に強く関係付けている物質である。有機的な物質というとぼくはどうしてもカルシウムを連想するのは、それによって作られる動物の骨、人も恐竜も共にその外形はいつも有機的だからかもしれない。
また、ケイ藻などは名の示す通り、細胞膜にはペクチン質を基本にしていても、それ以外はケイ酸化合物によって作られている。
ケイ酸イオンは、ぼくにはシリコンウエファーなどを連想させて、無機的なイメージが強い。共に高倍率では、結晶的な構造が強くて、生物における精神や意識の所在を、ふと考えさせられる。だからこのプレパラートは、ぼくにとっての無機と有機の生物学的結合なんだ。

白雲母(Muscovite)と普通輝石(Augite) これらは共に珪酸塩鉱物である。ただ、前者フィロ珪酸塩と後者イノ珪酸塩出会って、偏光顕微鏡で観ると、見え方はまるで違う。しかし、両方共とても美しく、数多くの色を発色する。このプレパラートはただ単純に合わせて見ると、奇麗かなと思って作ってみた。

白雲母(Muscovite)と普通輝石(Augite)
これらは共に珪酸塩鉱物である。ただ、前者フィロ珪酸塩と後者イノ珪酸塩出会って、偏光顕微鏡で観ると、見え方はまるで違う。しかし、両方共とても美しく、数多くの色を発色する。このプレパラートはただ単純に合わせて見ると、奇麗かなと思って作ってみた。

上記以外のものでは、雲母の中のミジンコ。(次回の記事でご紹介予定です)

鉱物中に生命体が封じ込められていることは通常ありえないが、載物台を回転させて、種々の色が現れると、まるで時間が止まった水の中を泳いでいるようで面白い。あるいは、分子雲を写したフィルムの上の夜光虫、種々の花粉の咲き乱れる中の小さなテクタイト。銀河のように見える扁平上皮細胞の上の赤いゾエアは、ロボットの様だ。網膜の断面の横にリシウム鉱が偏光しているのも、とてもきれいだ。植物の切片や鉱石の薄片が紡いでゆく世界。ぼくの心を虜にしてしまう。

解説+写真:小林健二

*1993年の小林健二ART BOOK[EXPERIMENT1]に書かれた文を編集し、当時の写真がモノクロだったため、画像もモノクロで掲載しております。

KENJI KOBAYASHI

 

 

[銀河通信事業]という幻

銀河通信社製の鉱石ラジオなどを作るための部分品

銀河通信社製の鉱石ラジオなどを作るための部分品

[キット開発者から見た側面]

ぼくが子供時代を過ごした昭和三十年代は、今と比べるとそれほど慌ただしくなく、一般的に貧しくありながらも子供にとってはワクワクしたりできる事がたくさんあったように思います。

ビー玉やメンコ、カンケリ、駄菓子屋通いといった遊びはもちろんでしたが、ぼくにとっては科学博物館や模型店に行くことは特別でありました。ただ今と比べれば当時は多かれ少なかれ誰しもが、模型や工作に接する機会が割合あったのです。それは文房具店や本を扱う店でも模型材料を置いているところが多く、また大人用の専門的な模型店もかなりありました。

それ以外にも少年雑誌などには、切手コレクション、天体望遠鏡や顕微鏡、自転車等の広告と共に、必ず模型や科学キットの関係も載っていたものです。ぼくが高校へ通う頃の昭和四十年代も後半になると、理由はいろいろと考えられますが、急激にそれらの店は少なくなって行きました。その頃時々訪れる「友人の誕生日」などのプレゼントを贈る時に、ちょっとしたキットを作ったりすると思いのほかウケがよく、一種の通信販売をする会社のようなスタンプを消しゴムで作ったりしていました。キットと言っても紙ヒコーキであったり、簡単なモーター、あるいは厚紙で作る筆入れや箱といったたわいの無いものばかりでしたし、説明書は手書きやガリ版刷りといった具合です。

屋号は「コバケンコメット社」というように、やはり子供の頃より好きで作っていたプラスチックモデルの日本の飛行機名である、「彗星」「流星」「銀河」といったものをその都度使っていたと言うわけです。

これら美しい名前の飛行機が実は悲しい時代に造られ、そしてたいそうつらい任務に付いていた事も知っていたことが、ぼくにとってそれらの呼称に対して一種の感慨を込めさせていた次第なのです。

鉱石ラジオキット「銀河1型」

鉱石ラジオキット「銀河1型」

やがていつのまにか二十代も後半になった頃より鉱石ラジオに興味を持つようになり、いろいろとオモチャのようなものを作ったり、友人へのプレゼントに「銀河通信社謹製」といった立派な社名?を使ったりするようになったのです。

この半ば冗談のようなママゴトのようなホビーは、十年程前鉱石ラジオの本を書く頃にはすでに結構友だちの中では人づてに伝わっていて、いっそのこと本当にキットを作ってみようと、無謀な考えがよぎることが多くなって行きました。

気持の中では遥かな無いはずの世界に引きずり回されていたわけですから、どうしても空想のお店でありはしてもいろいろと想像してしまう事もあったわけです。

それはまるで子供の頃の模型店のようなあの一見雑然としながらも、木製の引き出しや ガラスケースの中に事細かに木や金属、プラスチック等の材料、モーター、トランス、プラモデルや組み立て工作の数々が整然と並んでいて、そんな中で日永一日店主としていろいろな子供たちや専門的な工作好きと話をしたり、時間の空いた時には自分も工作に熱中する、店自身は古くて小さな木造の小屋のようでも、売り場と住居は別れていて清潔で好きなものばかりに囲まれている、そんな日常を想像して勝手に悦に入っていたのです。

時より届く遠方からの少年たちの注文や質問に手紙を添えて通信販売をする、もしそんな暮しができるのだったらいったいどんなだろうと、まるで余生の生き方を考えるように思い巡らしていたのです。しかしながら何せ合間を縫ってのホビーの延長で今に至り、中々アイテムを増やすことができません。日々の時間の中から最も優先的に注文に答えてゆくのは、想像していた昔の模型製作会社のイメージとは随分異なりますが、時々中学生から励ましの便りをもらったりすると、やはりうれしくなるものです。

既にキットらしきものを作りはじめて三十年余りが経過してきましたが、もしぼくのようなものを「キット開発者」と呼んでもらえるとしたら、この方向の製品を実際的に作ってゆくという事は、なかなか難しいところもあるのは事実です。たとえばキットを木やベークライトの材質で作りたいと思ったことによるパーツの入手不足、あるいは自作しなければならないものも随分とあって、ワークショップなどから急に数百もの注文が入ったりすると、それはもう昔の家内工業のような状態に落ち入る事もあるでしょう。それと発足時より採算をあまり考慮していなかったのが、開発困難さを決定的にする事もあるのです。

只、出来る限り合理性や科学原理の説明的なキットではなく、また一時代に対する懐古的なだけでもないようなものを目指しながら新しいキットを作り足して行きたいと願っています。

インターネットウェブに銀河通信を立ち上げて今年でおよそ七年になります。隠れているようなサイトなのにどこかから訪れる人々たちがいて、そのためこれからもキット開発?の継続を考えています。

本当は「風のフジ丸」から「分け身の術」を教えてもらえればとも思うのですが(笑)、今まで通りゆっくりとやっていこうとも思っています。しかし、いつかは何処かの町の片隅にて駄菓子屋とも模型屋とも見える風な木の造りで、小さなショーウインドウと硝子の入った引き戸の建具のある幻のお店を作ってみたいと夢みています。水色のトタンの看板には青色のペンキで「少年少女向模型各種 不思議製品多数」等と書かれてあり、その横には小さく「銀河通信社」と書いてあるような・・・。

2006年春

(一部当初の原稿を編集しています)

当初の頃などはガリ版刷りの説明書が多かったので、今でも多少その感じを残した手書きのものにしている。しかしぼく自身、字が下手なので、読みづらそうなものにはタイプ文字に変えてある。

当初の頃などはガリ版刷りの説明書が多かったので、今でも多少その感じを残した手書きのものにしている。しかしぼく自身、字が下手なので、読みづらそうなものにはタイプ文字に変えてある。

 ゲルマニウムダイオードとバリコンのセットにはエナメル線が付いていて、トイレットペーパーの芯などに巻いてコイルにしたり、それぞれ工夫して作るようになっている。右下は作例の一つ。

ゲルマニウムダイオードとバリコンのセットにはエナメル線が付いていて、トイレットペーパーの芯などに巻いてコイルにしたり、それぞれ工夫して作るようになっている。右下は作例の一つ。

キットのパーツ類などを整理したりダミー作りのための場所。自分が[キット開発者]という幻想に入り込むためにあるような一角かもしれない。

キットのパーツ類などを整理したりダミー作りのための場所。自分が[キット開発者]という幻想に入り込むためにあるような一角かもしれない。

実際にキットを製作する上でいろいろな自作した道具が必要と成る。例えばエナメル線を一定の長さに巻き取るための治具の一例。

実際にキットを製作する上でいろいろな自作した道具が必要と成る。例えばエナメル線を一定の長さに巻き取るための治具の一例。

パネルに多数の違った径の穴をあける時にも治具は必要となる。

パネルに多数の違った径の穴をあける時にも治具は必要となる。

[銀河1型]と名付けた製品のプロトタイプ。厚紙や色紙、あるいは手で描いたりして様子をみる。

[銀河1型]と名付けた製品のプロトタイプ。厚紙や色紙、あるいは手で描いたりして様子をみる。

最終的に細かな部分まで決定したら、印刷所に出す原稿や製函屋への金型の発注、そして部品の調達を確認してキットを製品化してゆく。

最終的に細かな部分まで決定したら、印刷所に出す原稿や製函屋への金型の発注、そして部品の調達を確認してキットを製品化してゆく。

[銀河1型]の内部。スパイダー式コイルの巻き枠に色の違ったエナメル線で巻の異なる部分を平易にと考えたが、段々と色エナメル線の入手が難しくなってきた。

[銀河1型]の内部。スパイダー式コイルの巻き枠に色の違ったエナメル線で巻の異なる部分を平易にと考えたが、段々と色エナメル線の入手が難しくなってきた。

[彗星1型]のキットは鉱石ラジオが生まれた当時のように黒ベークライト製のパネルやツマミなどを使用し、筐体は木製にしている。

[彗星1型]のキットは鉱石ラジオが生まれた当時のように黒ベークライト製のパネルやツマミなどを使用し、筐体は木製にしている。

彗星1型の検波器は真鍮とタングステンのスプリングでできている。

彗星1型の検波器は真鍮とタングステンのスプリングでできている。

鉱石ラジオキット[彗星1型]

鉱石ラジオキット[彗星1型]

鉱石ラジオキット[彗星2型]

[彗星2型]は当初ある博物館でのワークショップのために作ったものなので、作る人たちにもなるべく楽しんでもらえるようにとフロントパネルはベニヤ板にし、好きに色を塗って仕上げてもらうようにと考えた。

検波器をいかにして簡単に作れないかと工夫した例

検波器をいかにして簡単に作れないかと工夫した例

鉱石ラジオキット[銀河3型]

鉱石ラジオキット[銀河3型]

銀河3型の内容

銀河3型の内容

[銀河3型]の出来上がり

[銀河3型]の出来上がり

銀河3型のプロトタイプの裏側、穴の位置決めのケガキ線などが見える。

銀河3型のプロトタイプの裏側、穴の位置決めのケガキ線などが見える。

[銀河2型]のキット内容

[銀河2型]のキット内容

[銀河2型]を作ってみる。まずはサンドペーパーでコイルを巻くための紙筒のフチや板の表面や角をなめらかにすることから始める。

[銀河2型]を作ってみる。まずはサンドペーパーでコイルを巻くための紙筒のフチや板の表面や角をなめらかにすることから始める。

コイルの巻き始めや巻き終わりの固定のため、穴を開けているところ。すでに位置は鉛筆で印しがしてある。写真では見やすくするために大きめの穴があいている。

コイルの巻き始めや巻き終わりの固定のため、穴を開けているところ。すでに位置は鉛筆で印しがしてある。写真では見やすくするために大きめの穴があいている。

ニスを巻き筒に塗っているところ。このようにすることでベークライト製の筒のような感じにもなり、強度が出る。薄く何回もウラオモテを乾かしては塗るようにする。 キットに筆は付属していない。乾かす間、筆はラップで包んでおき、洗浄には燃料用アルコールを使う。

ニスを巻き筒に塗っているところ。このようにすることでベークライト製の筒のような感じにもなり、強度が出る。薄く何回もウラオモテを乾かしては塗るようにする。
キットに筆は付属していない。乾かす間、筆はラップで包んでおき、洗浄には燃料用アルコールを使う。

木の板にもそれぞれ3回塗ってもまだ少しニスが残っている。とにかく時間をかけてニスを塗り終えてから、最低1日以上置いてから次の作業に入る。じっくり仕上げていきたいキットである。

木の板にもそれぞれ3回塗ってもまだ少しニスが残っている。とにかく時間をかけてニスを塗り終えてから、最低1日以上置いてから次の作業に入る。じっくり仕上げていきたいキットである。

エナメル線を巻き始める。方向はどちらでも構わないが、ゆっくり丁寧に巻くのがコツ。このコイルはソレノイドコイルと呼ばれるタイプで一見スパイダーまきのものよりありふれて見えるが、特性はよく、ただ巻くことも思いのほか難しい。ほぐしたエナメル線は写真のように手に通したりして絡まないように注意する。

エナメル線を巻き始める。方向はどちらでも構わないが、ゆっくり丁寧に巻くのがコツ。このコイルはソレノイドコイルと呼ばれるタイプで一見スパイダーまきのものよりありふれて見えるが、特性はよく、ただ巻くことも思いのほか難しい。ほぐしたエナメル線は写真のように手に通したりして絡まないように注意する。

図のようにタップを作る。その後もう一度タップを作り巻き上げてゆく。

図のようにタップを作る。その後もう一度タップを作り巻き上げてゆく。

残してあるニスを塗って巻きを固定する。そして1日以上乾燥させる。

残してあるニスを塗って巻きを固定する。そして1日以上乾燥させる。

コイルの出来上がり

コイルの出来上がり

コイルを板に取り付ける位置に付属の接着剤でスペーサーの厚紙を貼る。

コイルを板に取り付ける位置に付属の接着剤でスペーサーの厚紙を貼る。

バリコンボックスの底板を外して画鋲で固定し(この時にボンドの残りを併用しても可)、検波器となる部分も穴にはめ込む。

バリコンボックスの底板を外して画鋲で固定し(この時にボンドの残りを併用しても可)、検波器となる部分も穴にはめ込む。

ターミナル部分へのためにリング状にエナメル線を加工したり、ハンダ付けして余分な線をカットしておく。

ターミナル部分へのためにリング状にエナメル線を加工したり、ハンダ付けして余分な線をカットしておく。

検波器の針となる部分はすでに出来上がっているので、説明図にしたがってあらかじめ曲げておく。

検波器の針となる部分はすでに出来上がっているので、説明図にしたがってあらかじめ曲げておく。

検波器はアンテナやアースを指定通りにした後、クリスタルイヤフォンで聞きながら細かな調整をする。

検波器はアンテナやアースを指定通りにした後、クリスタルイヤフォンで聞きながら細かな調整をする。

[銀河2型]の完成の一例(左)とおよそ10年前に作ったプロトタイプ

[銀河2型]の完成の一例(左)とおよそ10年前に作ったプロトタイプ

これからはもっと本格的なキットも開発してみたいと考えている。例えば金属製の鍛連エアバリコンや鉱石ラジオの初期に付いていたダイヤルを使ったものなど。

これからはもっと本格的なキットも開発してみたいと考えている。例えば金属製の鍛連エアバリコンや鉱石ラジオの初期に付いていたダイヤルを使ったものなど。

二重絹巻線などといった材料を用いたキットも考案してみたい

二重絹巻線などといった材料を用いたキットも考案してみたい

二重絹巻線は裸銅線の上に二重に絹糸を巻いて絶縁しているものだが、もはや国内ではバリコンやダイヤルと同様、まとまった量を確保するのは難しい。

二重絹巻線は裸銅線の上に二重に絹糸を巻いて絶縁しているものだが、もはや国内ではバリコンやダイヤルと同様、まとまった量を確保するのは難しい。

検波器用にと考えている透質な鉱石は、品質や大きさを一定に保つのは難しい。しかし、それほどの数は製作できないが求める方の声が多く、限定でいずれ発表したいと考えている。

検波器用にと考えている透質な鉱石は、品質や大きさを一定に保つのは難しい。しかし、それほどの数は製作できないが求める方の声が多く、限定でいずれ発表したいと考えている。

結晶のキットなどを計画する時には、なるべく安全で美しく誰にでも作れるようにと考えるため、たくさんの薬品を試すことになる。新品の試薬は保持性の高いポリ容器に入って売られているが、自分の趣味でわざわざガラス製の壜に入れ替えて使用している。 (もちろん薬品お特性に応じて密閉性を考慮している)

結晶のキットなどを計画する時には、なるべく安全で美しく誰にでも作れるようにと考えるため、たくさんの薬品を試すことになる。新品の試薬は保持性の高いポリ容器に入って売られているが、自分の趣味でわざわざガラス製の壜に入れ替えて使用している。
(もちろん薬品の特性に応じて密閉性を考慮している)

[赤色結晶育成キット] (ルビーのように光に透かすと赤色に輝く結晶が育成できる)

[赤色結晶育成キット]
(ルビーのように光に透かすと赤色に輝く結晶が育成できる)

[硝子結晶育成キット]の内容

[硝子結晶育成キット]の内容(現在で攪拌棒はプラスチック製のスプーンに変わっている)

説明書にしたがって湯と白色の粉を容器で溶かす

説明書にしたがって湯と白色の粉を容器で溶かす

小瓶に入った「色の素」と呼ばれる薬品を入れる。多ければ針状に、少なければ塊状に結晶する。

小瓶に入った「色の素」と呼ばれる薬品を入れる。多ければ針状に、少なければ塊状に結晶する。

急冷しないようにタオルなどをかけ、温度変化の少ない場所に静かに置いておく。

急冷しないようにタオルなどをかけ、温度変化の少ない場所に静かに置いておく。

1日以上放置する途中で、あまり容器を動かしてはいけなが、母岩に結晶が出来始めたところを撮影してみた。

1日以上放置する途中で、あまり容器を動かしてはいけなが、母岩に結晶が出来始めたところを撮影してみた。

ペットボトルの底で結晶した硝子結晶の一例

ペットボトルの底で結晶した硝子結晶の一例

硝子結晶と言っても硝子そのものではないが、ガラスの容器の中で育成を続けてもおもしろい。

硝子結晶と言っても硝子そのものではないが、ガラスの容器の中で育成を続けてもおもしろい。

*2006年のメディア掲載記事より抜粋し一部編集しております。

reblog:銀河通信より転載「幻的銀河通信事業」

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アンテナとアースについて

アンテナとアースについて

鉱石ラジオを聴く場合、設備としてもっとも大事なのはアンテナとアースです。とは言っても昔の本に出てくるように大きく立派な空中線を敷設することは、現代の住宅事情を考えると不可能に思えますので、簡単にできる方法から紹介してみましょう。

1)100V電源コードからとる方法

まずビニール被覆線を用意します。見かけで1~ 2 mmくらいの細いものがいいと思いますが、基本的にはなんでも構いません。

写真のように電灯線、たとえばスタンドや電化製品の電源コードに20~ 40回くらい巻きつけてその端をアンテナとして利用する方法です。これは電灯線の中によぎれこんでいる高周波電流を、巻き付けたビニール線をコンデンサーとして働かせることで拾いだそうとするものです。安全でしかも手軽なので試してください。感度が悪い場合、巻き数や電源コードヘの密着状態をいろいろ変えてみてください。

写真のように電灯線、たとえばスタンドや電化製品の電源コードに20~ 40回くらい巻きつけてその端をアンテナとして利用する方法です。これは電灯線の中によぎれこんでいる高周波電流を、巻き付けたビニール線をコンデンサーとして働かせることで拾いだそうとするものです。安全でしかも手軽なので試してください。感度が悪い場合、巻き数や電源コードヘの密着状態をいろいろ変えてみてください。

2)家庭用100V電源からとる方法

これは家庭用の100Vの電源から直接電波を捕らえる方法です。

写真の中央に見えるのは昔のアンテナソケットと言われるもので、中にコンデンサーを直列にハンダ付けして作られています。これはコンセントのどちらか一方に差し込んで使います。コンデンサーはマイカコンデンサーやセラミックコンデンサーのような高周波特性のよいタイプを使い、容量は100 pFくらいで耐圧125V以上、できたら200Vくらいの製品を選びます。 また市販のコンセントプラグを利用して2本の金属の足のうち一方には何も接続しないで、もう一方にコンデンサーを直列に入れてアンテナとすることもできます。 またもし古いタイプのコンセントプラグが手に入れば、この方が内部が広いのでコンデンサーを入れやすいかもしれません(写真右)。

写真の中央に見えるのは昔のアンテナソケットと言われるもので、中にコンデンサーを直列にハンダ付けして作られています。これはコンセントのどちらか一方に差し込んで使います。コンデンサーはマイカコンデンサーやセラミックコンデンサーのような高周波特性のよいタイプを使い、容量は100 pFくらいで耐圧125V以上、できたら200Vくらいの製品を選びます。
また市販のコンセントプラグを利用して2本の金属の足のうち一方には何も接続しないで、もう一方にコンデンサーを直列に入れてアンテナとすることもできます。
またもし古いタイプのコンセントプラグが手に入れば、この方が内部が広いのでコンデンサーを入れやすいかもしれません(写真右)。
写真上部の四角い箱は裏側にプラグの足が出ていてこのままコンセントに入れると表側のところからアンテナとして利用できるというもので昭和30年代のものです。中にはそれぞれコンデンサーとインダクター(コイルの一種)が直列に入っています。このようにコンデンサーを入れると50~ 60 Hzの低い周波数では100 pFのコンデンサーを通ることができないので高い周波数の電流だけを取り出そうとするものです。

3)室内アンテナ1(卓上アンテナ)

鉱石ラジオが使われていた時代の室内アンテナは写真のようなタイプのものが多く、主に真空管式の受信機に使われていました。この自作した室内アンテナは高さは約72 cmで腕の長さが1本30 cm、張ったワイヤーが約23mと小さなものです。作例では0.08/30の絹巻リッツ線というものを使用しましたが、0.6mmくらいのエナメル線でも同じです。 あまり大きくなると感度はよくなっても置き場所に困ると思ったからですが、これでもそれなりにアンテナとして働いてくれます。ほんとうはもっと巻き数を増やしてワイヤーの長さをかせいだ方がよいでしょう。

鉱石ラジオが使われていた時代の室内アンテナは写真のようなタイプのものが多く、主に真空管式の受信機に使われていました。この自作した室内アンテナは高さは約72 cmで腕の長さが1本30 cm、張ったワイヤーが約23mと小さなものです。作例では0.08/30の絹巻リッツ線というものを使用しましたが、0.6mmくらいのエナメル線でも同じです。
あまり大きくなると感度はよくなっても置き場所に困ると思ったからですが、これでもそれなりにアンテナとして働いてくれます。ほんとうはもっと巻き数を増やしてワイヤーの長さをかせいだ方がよいでしょう。

作り方としては9mm角の硬めの本(この場合はラミン)を使って十字に組み、木の端に切り込みのスリットを10 cmくらい切り、垂直方向に16~ 20個穴をあけておき ます。そこにちょうどコイルを巻くように鋼製の釘や竹ひごを入れながら内から外へ向かってワイヤーを巻いていきます。実用性だけなら大きめの段ボール箱にぐるぐる巻いたものでもかまわないと思います。

作り方としては9mm角の硬めの本(この場合はラミン)を使って十字に組み、木の端に切り込みのスリットを10 cmくらい切り、垂直方向に16~ 20個穴をあけておき
ます。そこにちょうどコイルを巻くように鋼製の釘や竹ひごを入れながら内から外へ向かってワイヤーを巻いていきます。実用性だけなら大きめの段ボール箱にぐるぐる巻いたものでもかまわないと思います。

使い方としては内でも外でもワイヤーの端から線を引いてラジオのアンテナとして使う他、これを一つのコイルと見なし、両端にバリコンを並列に接続して使うこともできます。もしこの室内アンテナを2m角くらいの大きさで、60~ 70mくらいワイヤーを巻いて作ると室外アンテナに劣らないようなものもできるでしょう。また、この種のアンテナはアースをつけなくても感度がとれる場合があります。ただ、アンテナの向きによって感度が違ってくるので注意しましょう。

4)室内アンテナ2

小林健二「ぼくらの鉱石ラジオ」

また室内アンテナと言っても卓上型だけでなく、図のように部屋の天丼に対角線にビニール線を張ったり、その長さを稼ぐために天丼や壁にぐるぐるとコイル状に線を巡らせるだけでもアンテナの役目をはたします。

また室内アンテナと言っても卓上型だけでなく、図のように部屋の天丼に対角線にビニール線を張ったり、その長さを稼ぐために天丼や壁にぐるぐるとコイル状に線を巡らせるだけでもアンテナの役目をはたします。

5)室外アンテナ

室外アンテナは庭の広い一戸建てや郊外の地域でないと無理のようですが、考え方によってはできないこともありません。たとえばもしマンションやアパートであれば自分の部屋から外部の壁づたいにそれほど重くないおもりをつけて線(よく電源のコードなどに使われる平行線をさいたものなど)を重らしたり、家の周りに日立たないように通わせてみたり、工夫しだいではいろいろとできると思います。ただ、もちろん安全で他人の迷惑にならない範囲で行ってください。

また同軸ケーブルやビデオデッキのアンテナ出力など、他にもいろいろとアンテナの役目のできるものがあるので試してみてください。

空中線(室外アンテナ)のいろいろ

空中線(室外アンテナ)のいろいろ

ー空中線の実際

鉱石ラジオにとって、空中線は部品というより設備に近い側面を持っていて、空中線のよしあしによっては受信できない場合もあるのです。鉱石ラジオが一般的であった時代は、都市においてもゆったりとした空中線を張ることができましたが、現在のように庭もなく、またビルの内側は電波からシールドされていて室内アンテナもあまり役に立たない環境のところもあります。このような現状ですから、昔のようには空中線を張ることはできないまでも、どのような空中線が効果的かを知るために、簡単に説明してみたいと思います。

まず電波によって空中線とアースの間に発生する電圧は、その空中線の高さと電界強度に比例します。ここで発生する電圧によって空中線に電流が流れますが、そのとき流れる電流は空中線の各部によって違い、上方の先端部より下方のアースに近いほど取り出せる電流は多くなります。空中線の導線と大地の間はコンデンサーになっていて、それぞれのコンデンサーに流れる電流は空中線の基部に集まる性質を持っているため、 下方にいくにしたがい電流は多くなります。

(A)垂直型空中線と(B)逆L字型空中線の電流の分布を仮面積で示すと図のようになります。

(A)垂直型空中線と(B)逆L字型空中線の電流の分布を仮面積で示すと図のようになります。

電流は空中線の先にいくほど少なくなるので、実際の高さより何割か低く見なければなりません。電波と電気力線はアースに垂直なので、空中線に電圧が発生するのはおもに垂直部分と考えられます。本来、水平部分は電圧を発生するには役立たないと考えられていますが、垂直部分の電流分布を増加して実効高を増すはたらきをするようです。

このように片方を接地した空中線は、波長の4分の1の実効高が最大感度となるのですが、たとえば1000kHzの電波であれば、計算すると波長約300mですから、その4分の1としても75mにもなってしまいます。

ですからできるかぎり高いほうがよく、またそこから横に張った水平の空中線でさらに補ってあげる形になるのです。以上のような空中線は開回路式空中線と呼ばれます。

ロジャース式埋没式空中線 変った空中線 地下型空中線

ロジャース式埋没式空中線
変った空中線(地下型空中線)

ー室内アンテナ

実際に屋外に空中線を張るのが難しい場合に有効なのが室内アンテナです。それには以下のようなタイプのものがあります。ループアンテナ、枠形アンテナ、スパイダー形アンテナ、そしてバーアンテナ(μ (ミュー)アンテナともいう)などでこれらはアンテナコイルの一種とも考えられます。やはり巻いた枠が大きければ大きいほど効力はよく、あまり小さいとアンテナとしては役をなさないときがあります。また、このようなアンテナは電波の到来する方向に対して指向性があり、常に感度の最大になる位置を探すことが重要です。

また室内アンテナは、その構造上コイルとしての自己インダクタンスを持っているので、ラジオの内部にある同調回路のコイルとの関係を考慮しなければなりません。小判型といわれるタイプは、導線をニスなどで同めたものです。枠型は木や厚紙、ときにはベークライトなどで作ったもので、ラジオの本体に巻き付けるようにしたりします。スパイダー型にはいろいろな形があります。バーアンテナタイプはコイルの中に磁性体を入れることでインダクタンスを上げ、磁束密度を上げるようにしたものですが、鉱石ラジオにはあまり大きなものは適していません。これらのアンテナは、電波が発射してくる方向に対して直角になるときに最大感度を持ちます。このようなタイプを閉回路式空中線と言っています。

室内アンテナのいろいろ

室内アンテナのいろいろ

ー電灯線アンテナ

家庭に来ている100Vの電流は、電灯線とも言われますが、みなさんもご存じのように大きな電信柱を伝わってきます。その交流の100V電流中に、電波が電線によって共振して混入していると考えられます。もちろんこのままアンテナとして使用して鉱石ラジオに直接つないでしまうと大変なことになるので、前にもお話ししたコンデンサーを間にはさんで使います。

コンデンサーはその容量によって50Hzの低い周波数の電圧はほとんど通さず、高周波の信号の乗った電流だけを通しますので、アンテナとして使用できるのです。実際のやり方は上記を参照してください。

6)アースについて

昔の本で接地をすると言うと、地面に穴を掘って金属の板や棒を埋めそれから引き出し線をつけてアース線としました。このアースとの電気的な関係はいまでも変わっていません。しかしなかなか地面を掘れる人ばかりいないでしょう。またよく言われる水道管への接続ですが、これも昔は鉄管や鉛管を使っていましたが、現在ではほとんどが塩化ビニル管になり、アース線を取ることはできません。しかし昔には無くて現在の方がアースを取りやすくなっている部分も多いのです。

たとえば電気洗濯機や電気乾燥機などのモーターを使用する家庭電化製品は、緑色の被覆のアース線がついていて、それらの機器をおくところにはたいていアースが来ています。あるいはコンピューターのコンセントプラグは接地付きプラグが多く、それを差し込むコンセントのところにはアースラインが来ています。

ーアースについて

アースとは接地をする、すなわち大地に回路の一端を直接つけて大地との電位をまったくの0(ゼロ)ボルトに近づけるものです。空中線の回路にしても、回路という以上それはめぐりめぐってなにがしかの力を作用するものなので、アンテナや空中線からまるで雨水のように力が入ってきても、その出口がつまっていたのでは少しも流れにはならないということなのです。ですから、その流れの口が小さく抵抗があるより、少しでも大きく抵抗が少ないほうが力を十分に使用できるというわけです。ですから、昔からアースをいかにしてよくとることができるかは重要なポイントです。

ー昔のアースの取り方

昔のアースの取り方には、 30 cm平方、厚さ1mmくらいの銅版を1mくらい掘り下げた地面に湿らせた炭などといっしょに埋め、太めの銅版1~ 2 mmくらいのものをしっかリハンダ付けしてアース線としたり、銅の大きなグリッド(格子)を埋めたり、アース棒といわれる4~ 50mくらいの導線のついた太さ12mmくらいの炭素棒を地面に打ち込んだりする方法もあります。

また、水道管に直接導線を巻き付けてアースとすることもできますが、この場合は接点の抵抗を少しでも少なくするため、しっかりと締めつけることが重要です。

また特殊な方法としては、大地が乾いていたり、うまくアースがとれないときはカウンターポイズ(counter poises)といわれる特殊な方法をとることもあります。カウンターポイズとは、地上30 cmくらいの高さのところに10~ 15mくらいの絶縁性の高いゴム、あるいはビニール被覆の1~ 2 mmくらいの鋼、電灯線用コードを張り、大地とは絶縁をしてあるものです。これは必ずしもアンテナの下に設置しなければならないということはありません。普通のアースよりもかえって分離性がよくなる場合も多いようです。

結局、空中線回路は、コンデンサーのうちの一方を空中線として、もう 一方を接地してアースとして受信効果を高めているわけですがアース自体がよくとれなければかえって聞こえにくいので、必ずしも接地だけがアースの方法というわけではありません。

ー安全装置

もしいままで説明したように、昔のようないい状態で空中線が張れたとすると、こんどは安全装置についても考えなければなりません。それは落雷の危険性がゼロではないからです。昔はアレスターと呼ばれる避雷器がありましたが、今はあまり見かけませんので、簡単な写真のようなスイッチで空中線の引き込み線を受信機とアースとに切り替えられるようにセットしておいて、受信機を使用する時は受信機のほうへ、それ以外はアースのほうへ接続しておけば、万一落雷があっても空中線からアースヘと流れます。

アレスターのいろいろ

アレスターのいろいろ

アンテナスイッチ

アンテナスイッチ

小林健二「ぼくらの鉱石ラジオ」

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

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趣味の工作は、事物や自分自身との対話を楽しむ旅

趣味の工作は、事物や自分自身との対話を楽しむ旅ーゆったり流れる手仕事の時間

マルチメディア技術は、アニメーションという、かつては経済的にも工数的にも一人の人間が趣味で取り組むには困難だった表現手段も手軽なものにしてくれた。これも技術進展の賜物だ。

一方で、昔ながらに自分の手で直接材料に触りながら何かを作っていく楽しみもある。その楽しみに自らのめり込み、その意味について思索を重ね、そうした趣味を見直そうと呼びかける小林健二さんを訪ねた。

小林さんは芸術家で、絵画、立体造形など様々な作品を作ってきたが、ここ数年は作品を発表せずに、もっぱら趣味としての鉱石ラジオ工作に没頭してきた。しかもコイルやコンデンサーなど、パーツのひとつひとつから自分で手作りしているという。

「鉱石ラジオを作り始めたのは、夢でチカチカ光る不思議なラジオを見て、そんなラジオが欲しいと思ったから。その夢のラジオを追い求めているうちに、鉱石ラジオというものに出会った。その原理を勉強したら、ぼくらが普段接している工業製品としてのラジオとは全く違うラジオが、自分の好きに作れるんじゃないかって思えてきたんだ。この装置の本質ーー人間の願望と自然の摂理の不思議な出会いを象徴する形のラジオがね。」

小林さんは本当にそんなラジオを製作した。

「趣味で作ることに失敗なんてない。どんな形になってもいい。この自由さが大事なんだ」と語る小林さんが作った鉱石ラジオとゲルマラジオ。

「趣味で作ることに失敗なんてない。どんな形になってもいい。この自由さが大事なんだ」と語る小林さんが作った鉱石ラジオとゲルマラジオ。

「これから音が聞こえてきた時は本当に嬉しかった。神秘的な現象は解明されて歴史の後ろに消えていってしまったわけじゃない。今だってこれは十分神秘的。自分の手で作ったからこそ、余計それを感じるんだと思う。」

そう言って小林さんは、今度はものを作るプロセスを体験する喜びについて語り始めた。

「こんなものがラジオになるんだから不思議だと思わない?」

「こんなものがラジオになるんだから不思議だと思わない?」

「ぼくらは工業製品に囲まれて暮らしている。だからどんな物を見ても、誰かが専門的な機械を使って作ったのだろうと思ってしまい、その物の背後に隠れている技や知恵をわざわざ考えてみようとはしない。もっぱら、役割や機能、値段という視点で物を見がちだ。でも自分の手で作ろうと思ってその物に触れていけば、そうした眼差しでは見落とされていた、先人の知恵や材料の特性が織りなす世界を紐解いていける。例えばこんな コイル一個にだって、そうした世界はあるんだ」

小林さんが最初に巻いたコイル。ラジアルバスケット・コイルといい、余計な特性(キャパシタンス)の少ないコイルを作ろうと1910年代に考え出されたものの一種。

小林さんが最初に巻いたコイル。ラジアルバスケット・コイルといい、余計な特性(キャパシタンス)の少ないコイルを作ろうと1910年代に考え出されたものの一種。

小林さんから自作のコイルを渡された。そのホイールを見ると、円筒に放射状の切れ込みを入れて、11枚の薄い羽根が差してある。どうやって、切り込みをこんな風に中心軸に向かって同じ深さだけ入れるのだろう。円周を11等分する方法は・・・ いざ作り方を考えると、いくつも疑問が湧いてくる。作ろうとしただけで、何気ないものに色々発見がある。それは物と対話しながら、ブラックボックスの蓋を開いていくワクワクする体験だという。

さらに小林さんは、工作が自分自身について考え、知る体験でもあるという。

「例えば、その切り込み味だけど、ぼくは器用じゃないから、ただ単純に鋸を当てたんじゃ、とてもこんな風には切れない。でも、切るときに円筒の側面に常に垂直に歯が当たるような状況を作り出すことは、そんなに難しくないし、鋸の歯に切りすぎ防止のストッパーを付ければ、切り込みの深さが一定になる。

即ち、ぼくの手にどの程度のことができるかを考えて、否が応でもこんな切り込みができるような工夫をすればいい。そして望んでいたように切る込みが入れられた時、とてもいい気持ちになれる」

そうやって、一つ一つのことをクリアしていくプロセスを、小林さんは旅に喩える。完成させることだけが目的ではないし、急ぐ必要もない。道中の色々な出会いや発見が楽しいのだ。

*1997年のメディア掲載記事から抜粋編集し、画像は新たに付加しています。

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[鉱石式送信機]と[1930年当時の鉱石検波理論]

鉱石式送信機

鉱石ラジオが全盛だったころ、鉱石ラジオの受話器に話しかけると近所のラジオに混信してその声が聞こえるという報告が当時の雑誌にいくつか紹介されています。これはもしかしたら鉱石式受信機が送信機になったということでしょうか。

ひとつにこの現象はアンテナをコンデンサーを介して電灯線から取っていたために起こったのではないかと説明されていますが、電源もない受信機から送信ができるとはおもしろいことだと思います。ぼく自身も本当にこの不思議な現象を何度か実験で確かめていますが、この事実を安定して作動させることはとても難しいと思います。そこでぼくは鉱石式電波発生器を使って簡単な信号を送る実験をしてみたいと思います。

ジャンク屋で手に入れたちょっと大型のライターなどの発火装置

ジャンク屋で手に入れたちょっと大型のライターなどの発火装置

鉱石式電波発生器とはいったいなにかというと、ライターなどの発火装置のことです。上の画像のものは、おそらくガス給湯器の発火装置なのでしょう。これらはピエゾ圧電素子を利用したものでボタンを押すとレバーとスプリングの機構によって中にある圧電素子をハンマーが強くたたいて、高い電圧が発生する仕組みになっています。この素子から出ている電線の端を導体に近づけると4~ 5 mmのギャップで火花が出ます。人体に触れるとビリッと衝撃を受けます。この線を空中線に接続してボタンを押すと、普通のAM受信機の局間などでパチッパチッという音を受信します。これは一種の火花送電です。

そしてもちろん鉱石ラジオでも受信ができます。

(ここで小林健二が電気工作に熱中するきっかけとなる出来事を、彼の著書「ぼくらの鉱石ラジオ」から拾ってみました。)

ぼくにとって、電子工作につながる道は意外なところから開けました。

10代のころから高じてきた音楽の趣味から、多重録音をしていろいろ曲を作っていたのですが、そんな時にいつもエフェクター(音質などをいろいろと変える機械)がほしくて、でもお金がないので、カタログを見てはあこがれる純情な毎日でありました。20代の初めのそんなある日、ギターやキーボードの雑誌でエフェクターの制作記事を見かけ、ビンボー人の執念とは恐ろしいもの、前後の見境もなく秋葉原に直行し、マッド・エクスペリメントの始まりとあいなったわけです。

当初の製作物のうち、いちおう音の出るものもあったとはいえ、一部は音のかわりに煙を出し、コンデンサーが爆竹のかわりになったりもしました。そしてその他はほとんど、なにより恐ろしい沈黙を守っていたのです。

秋葉原へのお百度参りは回を重ね、みんなから定期が必要とまで言われながらも、機械の作製は遅々として進まず、いつのまにか「電気いじりは日常」というアリ地獄ならぬ電気地獄にひきずりこまれてしまいました。友人を巻き込み、私財をなげうってのこの壮大な試行錯誤の日々は、またたく間に生活をおびやかしていきました。

そんな時、たまたま友人といっしょにDNR(ダイナミックノイズリダクション)を作っていると、ノイズを取るどころかほとんどハム(雑音の一種)発生器となった基盤の上で、ぼくらのシグナルトレイサー(回路の信号をチェックする機械)はなんと、ふいに飛び込んできたラジオ放送をキャッチしていました。

しかも、装置の電源を切った後でさえ、その放送はとぎれることがなく、音楽や会話を聞かせつづけたのです。一人になったアトリエで、ぼくはその省エネルギー的遊びをつづけました。こんなにラジオをまじめに聞いたことがはたしてあったでしょうか。イヤホーンから聞こえてくる小さな声の放送に、はじめてセンチメンタルで美しい、そして空が急に広くなりそよ風の吹いてくるような、あの電波少年たちの想いを受け取ったのだという確信をぼくは抱きはじめたのです。

小林健二が20代のはじめ頃に作った音楽のエフェクターの一つ。

小林健二が20代のはじめ頃の自作機材。

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1930年当時の鉱石検波理論

・熱電流説―一検波器の回路の中に高周波電流が流れるたびに、細い金属と小さな鉱石との接点において局部的に熱が発生することによる、というものです。この抵抗熱と熱電流によって接点の温度が変化し、それによっておこる抵抗の増減が高周波交番電流に作用し、電流がピークを迎えたとき、発電量と抵抗値が増えることによって、タイミングが合った部分の交流分の片方が流れにくくなり、整流されるというものです。

・表面酸化説一一上記のものとだいたい同じようなものですが、やはり高周波電流によって温められた接点の金属がそのつど酸化することで、金属どうしの接点抵抗が変化し、整流されるというものです。

・熱起電力発生説ーー図のように2種の金属、たとえば鉄と銅をねじりあわせたものに、ヘッドフォンをあてて金属のねじったところをろうそくなどの火であぶると、ガリガリッと音が聞こえてきます。これは2種の金属に熱を与えたことで、電子がはじき出され、電流をおこしてヘッドフォンで聞こえたのです。これと同じように、高周波電流によって温められた2種の金属の熱起電力によって、音として検出できる低周波電流に変化するというものです。

熱による起電力の発生

熱による起電力の発生

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

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鉱石と光

鉱石と光

鉱石検波器には検波できること以外にも、いくつかの面白い性質があります。そのひとつは光による起電効果です。これは簡単に言えば、鉱石検波器に光を当てるだけで、電池のように電圧が発生するというものです。

このことは実験によって容易に確かめられます。鉱石検波器の鉱石につながる端子と金属の線につながる端子にテスターのリードポイントを当てて、直流電圧(D.C.V.)の一番低いレンジに合わせます。そして鉱石検波器に光を当てたり遮ったりしてみるとメーターが触れるのが確認できます。

ゲルマニュームダオードで実験

ゲルマニュームダオードで実験

ゲルマニュームダイオードで実験の様子。テスターのデジタル数字の変化。

ゲルマニュームダイオードで実験の様子。テスターのデジタル数字の変化。

もうひとつの方法は、検波器のさっきと同じところにクリスタルイヤフォンかハイインピーダンスのヘッドフォンを当てておいて、鉱石の真上あたりで影をせわしなく動かしてみます。カリッと音がするでしょう。この方法であまりうまく聞こえない場合、もう少し手間はかかりますが電圧の発生をもっとはっきりした音として確認する方法があります。たとえばプロペラをつけた小さなモーターやちょっと太めの輸ゴムなどを用意します。そしてプロペラを回したり、ピンと張ったゴムを弦のように指ではじいたりして、規則的に早く動く影を作り鉱石の上のところに落ちるようにします。するとブーンとかポンポンとか音が聞こえると思います。影の動くスピードが周波数を決めるようにして交番電流を作り、それが受話器で音に変わって聞こえるのです。

これはまた、ゲルマニウムダイオードでも確かめることができます。昔風のガラスの部分の大きなダイオードほど効果は大きいですが、テスターの感度が高く、光が強ければ現在のものでも反応が出ると思います。ただなるべく熱は伝えないように朝の日光などで実験するとよいでしょう。

また鉱石によってトランジスターのような鉱石増幅器を作ることも、実験上なら不可能ではないと思います。これは鉱石に2本の針を紙1枚のスペースをあけて立てて実験します。詳細は長くなるので省きますが、これによって安定した作動をする鉱石増幅器ができたとしたら、オールクリスタルスーパーラジオでスピーカーが鳴るような受信機ができるかもしれません。

電子工作であると便利なテスターなど。

L・Cメーター

実際工作をしていく上で、部分品まで自作する場合、コンデンサーの容量やコイルのインダクタンスを計算式によって割り出してゆくのはかなりめんどうなことですし、またあまり高い精度は望めません。そんな時にL・Cメーターといわれる一種のテスターがあると面倒な計算から解放されますし、部分品をつくっている途中でも容量やインダクタンスを実測したりできるので、安心して工作に熱中できます。一見できそこないに見えるコンデンサーでも、テスターにデジタルで数字が表示されると妙にりっぱに見えるものです。それに工作者の不安を取り除き、カット&トライ(切ったり貼ったりして調整しながら作ること)を助けてくれます。ですから計算式によってコンデンサーやコイルのだいたいの大きさや作り方をイメージしておき、実作に入ってからはL・Cメーターによってそれぞれの定数まで追い込んでいけるようにすれば、 一段と工作も深まっていくと思います。

L・Cメーターはあまり使わない場合には高価なものと感じられることもあるかもしれませんが、電子工作をする上では、通常のテスターとともにとでも役に立つものです。

左はL・C・Rメーターで、コイルのインダクタンス、コンデンサーのキャパスタンスを直読で計れ、またRのレンジではインピーダンスを計れます。右はDMTデジタルマルチテスターと呼ばれ、直流抵抗、直流の電流と電圧、交流の電流と電圧などが計れるのでこれもまた便利です。

左はL・C・Rメーターで、コイルのインダクタンス、コンデンサーのキャパスタンスを直読で計れ、またRのレンジではインピーダンスを計れます。右はDMTデジタルマルチテスターと呼ばれ、直流抵抗、直流の電流と電圧、交流の電流と電圧などが計れるのでこれもまた便利です。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

[鉱石式送信機]と[1930年当時の鉱石検波理論](関連記事)

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自作のヴァリアブルコンデンサー

ヴァリコンは簡単な構造のものでもちゃんと機能します。

左から、ガラスに錫箔を貼ったもの、真鍮板を自在に開き具合を調節できる板の内側に取り付けたもの、太さのちがう試験管のそれぞれの外側に錫箔を貼ったものです。

自作のヴァリアブルコンデンサー。左から、ガラスに錫箔を貼ったもの、真鍮板を自在に開き具合を調節できる板の内側に取り付けたもの、太さのちがう試験管のそれぞれの外側に錫箔を貼ったものです。

ぼくの作ったヴァリアブルマイカコンデンサーです。

ぼくの作ったヴァリアブルマイカコンデンサーですが、このようにするとマイカ本来の性能はあまり期待できません。とくにスライドさせる時にマイカ同士がこすれるため、ひっかかってはがれないようにニスなどで固めておく必要があります。ニスは高周波ニスが最高ですが、ニトロセルロース系のラッカーなどで十分です。なるべく顔料などの人らない透明なものがよいでしょう。特にこのコンデンサーについては性能よりもきれいなものにしてみたかったので、ぼくはマイカを使いました。内部の導体は錫の箔を使いました。これもライデン瓶などに使われたように昔からの材料で、本来なら別に導体ならば何でもいいわけです。ただアルミ箔とくらべても革のようにしなやかで、アルミでは不可能なハンダ付けができるという利点があります。そしてなにより錫箔の落ち着いた銀色が気に入っているのです。

こういったいろいろな鉱石やニッケルやタングステンなどの金属を探しに鉱物専門店や特殊金属の店を巡るのも日常とはちょっと違って、未知の空間と出会うようで素敵です。こんなところにも工作をするよろこびがあるのかもしれません。

ここで絶縁材料について触れておきます。

普通の工作全般で使われる材料以外で、電気に関する特別なものとしては、絶縁材料が挙げられます。本来鉱石ラジオの製作だけを考えると、電庄も電流も大きくないので、厳密な指定はありません。ただ、日頃あまり手にしない材料ですが、どういうわけか美しいものが多いので、いろいろ試してみるのもおもしろいでしょう。

代表的な3種について説明します。

ベークライト、エボナイト等の棒材です。

ベークライト、エボナイト等の棒材です。

ベークライト、エボナイト等の板材。

ベークライト、エボナイト等の板材。

ベークライト(bakeute)一一板状のものは0.5mm~ 3cm厚くらいが普通で、大きさもいろいろすでにカットしたものを売っています。筒状(パイプ)や丸棒も直径2mm~10 cmくらいまであります。色は少々透過性のある黄・黄褐色・茶・こげ茶とあり、成形から時間が経つほど色は濃くなります。またこれら生地色以外にも製品として、ターミナルの頭やツマミなどには色の付いたものもあります。また布入リベークといって、なかに繊維を入れて普通のベークライト板より強度を高めたものもあります。数はあまり多くありませんが、黒ベーク板という黒色のものもあります。ベークライトは本来商品名で、材質としてはフェノール樹脂と呼ばれ、石炭酸とホルムアルデヒドにアルカリを触媒として熱を加えて作ったものです。

エボナイト(ebonite)一一前に述べたベークライトと混同している人もあるようですが、この2つはまったく違うものです。エボナイトは一種の硬質ゴムで、生ゴムに加硫といって硫黄を加えて作ります。色は黒色しかなく、その黒檀ebonyのような色から名前がついたと言われています。ただ経年するとエボ焼けといって、独特の緑がかった褐色になることがあります。形状は板、丸棒とありますが、ベーク板ほどはサイズに幅はありません。

自雲母の薄板(w15 cm)です。

自雲母の薄板(w15 cm)です。

マイカ(雲母mica)一一空気をはじめとして絶縁物はたくさんありますし、技術的に簡単と言うなら紙やセロファンもいいと思いますが、なかでもマイカは工作上美しいし、性能上も他を圧しているようにぼくは思います。

雲母は天然鉱物で鉱物学上これに属するものには本雲母群、脆雲母群等があって、実用に供されるのは本雲母群のものです。このなかには大きくわけて7種類があります。

白雲母muscovite、曹達雲母paragonite、鱗雲母lepidolite、鉄雲母lepidomelane、チンワルド雲母zinnawaldite、黒雲母biotite、金雲母phlogopiteで、日本画などで雲母末のことをきらと言うように、まさにキラキラしていてぼくの好きな鉱石の一つです。雲母はインド、北アメリカ、カナダ、ブラジル、南米、アフリカ、ロシア、メキシコ等が有名ですが世界各地で産出します。日本ではあまりとれないのでもっぱら輸入にたよっています。白雲母は別名カリ雲母といって無色透明のものですが、黄や緑や赤の色を帯びることがあります。そのうちの赤色のマイカはルビー雲母rubymicaとも呼ばれ、 とても美しいものです。比重は276~4.0くらい、硬度は28~ 3.2です。

金雲母はマグネシア雲母、琥珀雲母amber micaとも呼ばれ、比重は275~ 2.90、硬度は25~27、少々ブラウン色に透きとおり、やはりとでもきれいです。

雲母を工作に使用する際には、むやみやたらとはがさないで、最初に半分にしてそれぞれをまた半分にするというように順にはがしてゆくと厚さをそろえやすく、好みの大きさに切る時は写真などを切断する小さな押し切りでよく切れます。厚いうちに切断しようとすると失敗することが多いので、使用する厚さになった後でカットするようにした方がよいでしょう。なお工作の際、マイカの表面に汗や油をつけないように気をつけましょう。

このほか、ガラスエポキシ、ポリカーボネイトなどがあります。

*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。

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[見えない世界へ通じる魅力]ラジオ工作

ぼくは電子工作が好きなので秋葉原の部品屋によく出かける。家電などを扱う表通りに対して、その場所は電飾もなく、昔の「ヤミ市」とはこんな感じかと思わせるところが多い。タタミ一畳ほどのブースのような小さな店には、数え切れない電子部品が並べられていて、それと同じ数の夢まで詰め込まれているようだ。世の中に二つとないこんな不思議な世界を、ちょっと興味のある方は観光してみたらどうだろう。

東京秋葉原ラジオデパートのショップガイド、1994年のもので、CQ出版社が出している。この建物の中に電子部品を扱うブースがひしめいている。

東京秋葉原ラジオデパートのショップガイド、1994年のもので、CQ出版社が出している。この建物の中に電子部品を扱うブースがひしめいている。

しかしながら、この「電子人生横丁」に入る人の数も年々減ってきていると聞く。確かに最近、ぼくもこの場所で子ども達と出会わなくなったと思う。

そんなわけだからラジオ工作の雑誌は今ではほとんどが廃刊になったり、オーディオ雑誌へと変貌していたりするというのもうなずける。「 ラジオの製作」はそんな中、よくぞ続いているものだと感心する。早速7月号を見てみると、まず別冊付録が挟まっていて、「組み立てようぼくだけのパソコン」とある。

「ラジオの製作」電波新聞社

「ラジオの製作」電波新聞社

「ラジオの製作」1998年7月号

「ラジオの製作」1998年7月号

お金さえ出せば何でも手に入る時代になっても、かつての工作少年を思い出すようで面白い。記事には「ポケット・ラジオの製作」「タッチ・ランプの製作」「ステレオアンプの製作」と電子工作が9種も載っている。余暇の過ごし方がイマイチと感じる人がいるなら、これらの実用性?もある電子工作にふけってみるのも一考だろう。回路図が読めなくても作れるような配慮は嬉しい。

「エレクトロニクス入門」というコーナーでは、デジタル回路について、一般読者にもわかりやすい連載もある。日頃「もう少し電気に強かったら」と嘆いている方には打って付けではないだろうか。最近は「理科離れ」「手を動かさない日本人」とか言われるが、同じフレーズは戦前の本にも顔を出していた。基本的にはあまり変わっていないのだから、落ち込む前にこんな雑誌を覗いてみたらどうだろう。ひょっとするとヤミツキになるかもしれない。

電子の世界というと、難しい数式が支配する「合理性の親玉」というイメージがあるようだが、「ラジオ工作」に代表される電子工作について言うならば、それは当てはまらないと思う。むしろ詩の世界に通じるものがあって、その向こう側に、電化社会の便利さに追いやられてしまった大切なものを発見できるかもしれない。

本来、電子も電波も目には見えないものである。しかしかつて、幾多の少年たちの夢や期待を育んだ透明な通信の世界は、現代に生きるぼくたちに、便利なものだけでは見つけられないものがあることを伝えているような気がする。

小林健二

昭和20年代の頃には「ラジオ」とつくタイトルの雑誌が、いろいろ出版された。

昭和20年代(1950年頃から)の頃には「ラジオ」とつくタイトルの雑誌が、いろいろ出版された。

大正時代の電気の雑誌。鉱石ラジオに関する記事もあり、「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」を書くにあたって、古書店巡りに明け暮れた頃、何冊か昔の本や雑誌に巡り会えた。そのうちの二冊の雑誌。

大正時代の電気の雑誌。鉱石ラジオに関する記事もあり、「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」を書くにあたって、古書店巡りに明け暮れた頃、何冊か昔の本や雑誌に巡り会えた。そのうちの二冊の雑誌。

「ラジオの製作」は1954年に創刊、1999年に休刊になりました。また秋葉原の東京ラジオデパートの中では、現在営業していないお店もあります。

*1998年のメディア掲載記事を抜粋編集し、画像は新たに付加しています。

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