大きなコイルの筒は直径7cm、長さ5cmで、中心を貫くように8mmの穴があいています。ここにはカップリング用の口金になる筒状のネジ(左下の2組のもの)がはまって内径6mmの径になります。0.6mm径のエナメル線(作例は二重絹巻き線)を20回巻いてあります。まんなかのところに穴があいているわけですから、そこを避けるように左右に10回ずつ巻いであります。内側に入る小さなコイルの筒は、紙を巻いて作り、補強のためにシェラックニスを塗ってあります。
サイズは直径が5cmで長さが4cm、このサイズより少しでも大きいと中で回ることができません。0.4mmの導線を全部で26回、左右13回ずつ巻いであります。
写真下部中ほどのベークライトの棒はシャフトの絶縁用で、6mm径で3 cmの長さ、そのとなりの金属棒2本はカップリング用のシャフト、いちばん右の金具は圧着端子の8 mm径のものを途中で切って、タマゴラグとハンダ付けをして作った外側のコイルの口金にはめて、端子として使用するものです。
このコイルは写真のように作動します。中を貫いている棒は、中ほどをベークライトで絶縁してあり、両端の導体の部分に内側のコイルの両端が接続されていて、それがそのまま外側のコイルの口金に接触しているのです。
第二に気をつかう点は、いかにしてコイルの回転のストッパーを作るかということですが、まずシャフトに小さなネジを、大きなコイルの外側に接するように、シャフトの前のほうと後ろのほうに垂直に取り付け、前後のガタツキを止めて、後ろのほうの口金に2本小ネジをつけ、 180度で回転するようにストッパーとします。
作例では1.4mm径のネジをそれぞれタップを立てて取り付けています。タップの下穴は1mmです。
*この記事は、小林健二著「ぼくらの鉱石ラジオ(筑摩書房)」より抜粋編集しております。